225 / 239

第七章・20

「異物、だと? どれ、見せてみろ」  触角をつまんでぶら下げている、不良の仕込んだゴキブリ。  弦はすばやく、それをひったくった。 (やはり、偽物か)  よくできてはいるが、その手触りは明らかにプラスチック。  にやりと笑うと、弦はおもちゃのゴキブリを歯で噛み、口にくわえた。  バキン!  真っ二つに割れる、プラスチック製のゴキブリ。  さらに弦は、それを奥歯で噛み砕いた。    ガリ、ゴリ、バキボキッ。    不良たちが、周囲が声も出せないでいると、弦は手にした残り半分もぽいと口に放り込み、やはり音をたてて噛み砕いた後、ごくりと飲み込んでしまった。

ともだちにシェアしよう!