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第七章・20
「異物、だと? どれ、見せてみろ」
触角をつまんでぶら下げている、不良の仕込んだゴキブリ。
弦はすばやく、それをひったくった。
(やはり、偽物か)
よくできてはいるが、その手触りは明らかにプラスチック。
にやりと笑うと、弦はおもちゃのゴキブリを歯で噛み、口にくわえた。
バキン!
真っ二つに割れる、プラスチック製のゴキブリ。
さらに弦は、それを奥歯で噛み砕いた。
ガリ、ゴリ、バキボキッ。
不良たちが、周囲が声も出せないでいると、弦は手にした残り半分もぽいと口に放り込み、やはり音をたてて噛み砕いた後、ごくりと飲み込んでしまった。
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