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第七章・23
「疲れた……」
夕食ができるまで、弦はソファに身を投げ出していた。
「お疲れ様、先輩。夕食できたけど大丈夫ですか? 食べられますか?」
「あぁ、すまんな。すぐに起きる」
「無理しなくていいですよ。お腹が痛いんじゃないんですか? ゴキブリなんか食べちゃったから」
そう言って笑う千尋に、弦は情けない目を向けた。
「見てたのか」
「カッコよかったですよ、先輩」
ゴキブリを食ってカッコいいと言われるとは、と弦も苦笑いをして起き出した。
夕食を食べる弦先輩は、少しおしゃべりが多くなった気がする。
食器は自分で下げてくれるし、お茶だって入れてくれる。
執事効果は抜群だ。
一時は何だか先輩じゃなくなってしまった気がしたけど、ホントはちっとも変っていない、強くて優しい弦先輩だった。
「先輩……」
その夜、千尋は珍しく自分の方から弦のベッドに忍んでいった。
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