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第2話 新生活スタート

飛鳥井の五兄弟が修学館 桜林学園 幼稚舎に入園した 修学館は広大な面積に幼稚舎 初等科 中等部 川を挟んで高等部  山1つ超えて大学が建っていた 道路1つ挟んで桜蘭学園 と言う女子校も修学館は持っていた 右の桜林 左の桜蘭 左右で男子校と女子校が建っていた 幼稚舎から大学までエスカレーター式の学園は 幼稚舎と大学だけ共学で初等科 中等部 高等部は男子校と女子校に分かれて建っていた 2つの学校を隔てるのは決して交わる事のない巨大なフェンスだった そんな金持ちしか通えない学園の幼稚舎に 飛鳥井康太の五兄弟は通い出した 歴代 飛鳥井の男子は桜林へ通う 歴代 飛鳥井の女子は桜蘭へ通う 初代の総代が修学館の理事長と学友で、学園を創立当時 出資して建立した学園だった 飛鳥井の土地に今も学園は建っていた そう言う事もあって飛鳥井の子供は修学館へ通う習わしになっていた 次代の 飛鳥井建設 真贋を継ぐ 飛鳥井 翔 飛鳥井の礎になる流生 太陽 大空 そして神楽四季の養子になって修学館を継ぐ 飛鳥井音弥 五人の兄弟は入学前から…… 教師達に一目置かれていた なんたって……飛鳥井康太の息子なのだ 一筋縄では逝かないだろう…… 康太がスカートを捲っていた美代子先生は主任先生になっていた 三井美代子と言うのが美代子先生のフルネームだった 当時とは苗字は同じ……なのは美代子先生が嫁に行ってない……訳じゃない……多分 美代子先生は飛鳥井康太の五兄弟を大歓迎してくれた 飛鳥井康太の五兄弟の幼稚舎入園式 父兄も飛鳥井総出の入園式に瞠目した程だった 園児もそうだが…… 親達も……見目麗しい五兄弟に瞳を耀かせていた お近付きになって損はない…… ないが…大人が近付くにはリスクは大きい だから親達は子供使って言い聞かせる 「飛鳥井の子と仲良くなさい」 …………と、損得勘定がお得意な父兄は子供達を唆し教える そんな周りの思惑など迷惑そうに五兄弟は立っていた 元子爵の出をひけらかす幼稚舎一可愛いと噂の 宮本理沙が流生に近寄った 流生は理沙など目もくれなかった 無視された理沙は躍起になって流生に近付いた 「ぶちゅ!ちらい!」 流生は言い捨てた 理沙はわなわなとなった 「ぶちゅ ちぎゃう!」 理沙は流生を突き飛ばした 太陽が理沙に近づき、フンッと鼻で笑って 「ぶちゅ ちかじゅきゅにゃ!」 言い捨てた 理沙は太陽の顔を見た 女優 榊原真矢に酷似した美しい顔は…… 勝てない気がした 飛鳥井瑛太に酷似したハンサムな顔立ちの翔 緑川一生に酷似した甘い顔立ちのハンサムな顔立ちの流生 一条隼人に酷似した文句も付けられない顔立ちの音弥 榊原真矢……と言うか笙に酷似した美人顔の太陽 榊原伊織に酷似した寡黙なハンサム顔の大空 彼等は小さくとも親のDNAを確実にその容姿に出していた 可愛いとチヤホヤされ育てられた理沙は号泣した 親は文句を言いたかった 言いたかったが相手が飛鳥井康太なら…… 敵に回せば破滅の序章を唱えられる可能性もある だから下手に動けなかった 盛田の家は飛鳥井康太が唱えた破滅の序章で滅んだ アレを敵に回せば……滅ぶ 親に取ったら……滅びたくはないから……下手な事は言えなかった 理沙の母親はそれを知らなかった 「教育もなってない子ね!」 娘を庇って……母親そう言った 美代子先生は母親に近付き 「それはどちらの事を言ってるのですか?」異議を唱えた 行儀正しい五兄弟は式の間中、大人しく座っていた ビービー言ってたのは我が儘放題に育てた理沙の方だった 母親はキィーッとなり美代子先生を罵倒した 波乱吹き荒れる……スタートだった 康太は目を覆った マジかよ……頼むから大人しく終わらせてくれ…… 美代子先生は一歩も引かず 「入園式で我が儘放題にビービー言ってたのは、お宅の子供の方でしょうが!」と腹に据えて言った キィーッと怒ろうとした……その時 「お静かにして貰えませんか? 他の子供達が怯えます!」と声が掛かった 戸浪海里だった トナミ海運の社長 戸浪海里は有名だった 母親は「本当にね、礼儀のなってない子は煩くてダメね」と嗤った 戸浪は母親に「いえ、貴方が煩いので黙って下さい!」一蹴した 「飛鳥井康太の子は騒いではいなかった お宅の子が近付いたから止めただけだ! この子達は何時も五人でいた 割り込もうとしても……割り込めぬ仲なのです 判らぬ無知なお宅の娘がしゃしゃり出ただけでしょ?」と母親を睨み付けた 収拾が付かなくなり康太は神楽四季に 「式を続行しろ! 父兄は黙らせろ!」と命令した 四季「解りました!式を続行いたします! ご父兄の方はお静かに! 式の邪魔をなさるなら退出をお願い戴きます!」と式を続行させた 母親は不本意そうだった 教師が母親の隣の席に座った 「お辞めなさい……相手が悪すぎる 貴方が引かないのならば……我々は貴方をこの学園から排除します! 排除されるのは自分達の方だといい加減解りなさい!」 化学教師 佐野春彦が母親に告げた 「飛鳥井康太はこの世の誰もが、敵に回したくないと想っている人間です 敵に回せば……貴方の会社は数時間で潰れますよ? やってみますか? 彼を敵に回して……何時間持つか? 戸浪海里は賢い 彼は敵に回すのでなく共に逝く道を選んだ 彼は……この世界の頂点の人間とだって懇意にしてる 世界何処へ行っても……確実に消すのは容易い と……だけご忠告致します 『飛鳥井康太』彼の名を貴方の父上か母上に仰ると良い 此方の方からも貴方のご家族にお伝えしておきます」 と丁寧に言葉にするのは長瀬匡哉……数学の教師だった ハンサムがニコッと嗤って死刑宣告をしたも同然の言葉を告げた 母親の携帯が鳴り響くと佐野と長瀬は席を立った そして式は滞りなく終わった この日 父兄は知った 触らぬ神に祟りなし 子供達に飛鳥井康太の五兄弟に関わるな……と教えた 帰宅した母親は……両家の親から責められた…… 両家の親達が飛鳥井康太に平伏し電話を入れるのを…… 青褪めた顔で……見ていた 幼稚舎の入園式から還る康太は……大人しかった 瑛太は康太に「どうしました?」と声を掛けた 「………オレの子供だから悪目立ちしたら……可哀想だって想った……」 瑛太は康太を抱き締めた 「あの子達の親は君しかいません? そんな事を言ったらダメでしょ? 親になった日に覚悟はしたんじゃないんですか?」 厳しいことを言いながら……弟を優しく抱き締めた 「………覚悟は出来てるけど……」 「お前には伊織がいる 仲間がいる、家族もいる……それを忘れてはいけませんよ? 君に託した愛なのだから……」 「解ってるよ瑛兄」 「ではファミレスに行きますか?」 「だな、お子様ランチだぜ?」 康太が言うと子供達は、やっちゃー!と飛び上がった こうして手を繋いで向かった入学式が懐かしい…… 康太の入園式や入学式、卒園式に卒業式 全部、瑛太が出てくれた 懐かしき日々を想い出す 『康太!おめでとう』 兄は何時も愛情一杯に康太を育ててくれた この手があったから…… 康太は榊原を見た 榊原は康太の手を……強く握った 「……愛してます」 耳元で囁かれた 何があろうとも揺るぎない愛があった 康太はその顔に笑った 流生が康太に抱き着いた 「かぁちゃ」 太陽も音弥も康太に抱き着く 翔と大空は榊原に抱き着いた 「とぅちゃ」 「おにゃきゃへっちゃ!」 そう言われ榊原は子供達を抱き締めた 愛する我が子の…… 第一歩だった 桜林学園 幼稚舎 入園 天使の日記が始まったばかりだった 『オレの子は一番可愛かった!』

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