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第5話 落ち着かない

     君を追いたい……      『何言ってるんだよ?       おめぇは龍じゃんかよぉ』 きっと康太なら言うだろう…………… 康太…… 康太…… 康太…… 康太…… 康太…… 康太……… 康太……… 康太…… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太… 康太康太康太康太康太康太康太康太康太康太康太康太…… 昨夜君は僕に……言いましたね 「伊織、オレは朝早く向かえに来るから…… 逝かねぇとならねぇ…… お前は連れて逝けねぇ……所へ行く」 「……誰が……向かえに来るのですか?」 「この今の日本の事態に危機感を抱く人物が、オレを迎えにに来る……」 「………僕は………一緒に逝けないのですね?」 「ごめん伊織…… オレが逝く場所は日本であって日本じゃねぇ…… 地図にも載っていねぇ場所なんだ 当然、オレを召集する奴も………この世に存在せぬ人物だからな…… 目隠しされて何時間も走ってやっとこさ連れて逝かれる場所なんだ」 「………僕はお留守番……なのですね?」 「オレが呼んだら来いよ!」 康太はそう言い榊原を抱き締めた 「………僕も……解ってはいるのです ここ最近……僕は君から離れるのを怖がっています 知っていたのですね……君は……… 目の前で君をなくすかも……と思い知らされた日から……僕は君から離れるのを極端に怖がってるのを…… 知っているのですね 君はたとえ3センチになろうとも僕の傍に還って来てくれた…… 僕達は未来永劫……離れたりしない…… そう頭では理解してます でも心が君と離れるのを拒んでました……」 「オレが……恋人を不安させてるからな仕方がねぇじゃねぇかよ? 伊織は何も悪くない…… オレも離れたくねぇんだよ…… 伊織の傍を離れるのは嫌なんだよ オレも頭では理解してるんだ でも……自分の体躯に入れなくなった時に…… 3センチになっても伊織の傍にいたかった この体躯じゃ……伊織を愛してやれないと想っていても……オレは伊織から離れるのは嫌だった…… 今も嫌だ……離れたくねぇ…… お前が離れたくねぇんじゃねぇよ…… オレが……離れたくねぇんだよ青龍…… ずっとずっと傍にいてお前を……独占していてぇんだよ 他の奴なんか瞳に納めるんじゃねぇ!……って何時も想う 本当に汚いのは……オレの心だよ」 榊原は康太を強く抱き締めた 「………汚いなんて言わないで下さい 僕を愛してるから……なんでしょ? 僕も君だけを愛して……離したくないんです 君に何かあれば……僕は時空を超えて逝きます 僕達は……何時も一緒です」 榊原はそう言い康太に口吻けた 朝から聞いた方は疲れそうな愛の囁きだった 少し離れるだけで……これだから…… 近くにいる奴は結構大変 離れがたい想いが火を付け 朝から愛し合った その体躯を起こし康太は寝室から出て行った 僕は……康太を見送った 窓の外をずっと見ているとロールスロイスが飛鳥井の前に停まった 康太はその車に乗って逝くのだろう…… バタンッとドアが閉まる音がすると…… ロールスロイスは走り去って逝った 榊原は朝から元気がなかった いつも通りのポーカーフェイスだから…… 本当によく見ている人物にしか解らないが…… 掃除と洗濯を終え 榊原はわざと皆と時間をずらして……朝食を取りに行った 誰もいない筈のキッチンに向かう 誰もいない筈なのに…… キッチンには慎一と一生が榊原を待っていた 一生は榊原を見ると「お!やっとこさ来たな!」と食事の準備をした 榊原の隣で一緒にご飯を食べ始める 「………一生、慎一、君たちはもう食べたんじゃないんですか?」 「旦那の面倒を頼まれてるからな…… 慎一が旦那が来るよりも先に食べさせてくれる筈がねぇだろ?」 「………頼まれてる……って?」 一生は榊原にラインのトークを見せた 『一生、オレは朝からお迎えが来るかんな 伊織の面倒を頼むな!』 「了解!地図にねぇ所に行くんだっけ?」 『そう!アイツ等は関係ねぇ奴を車に乗せねぇからな……伊織を連れて逝きたくても……聞いてませんとか言いやがって、無理矢理伊織だけ置いてくだろ? その時に伊織を怪我させやがったら……消したくなるやん』 「………消したくなるのかよ?」 『この世に生かしておくもんか! だけど人に手を掛けたら怒られるやんか! だから置いて逝くしかねぇもんよー で、伊織はオレがいねぇと飯も食いやがらねぇかんな! 一生、お前が命をかけて面倒見てくれ!』 「……旦那の世話に命……かけねぇとダメか?」 『………消すぞ?赤いの! オレの青龍に何かあったら…… その時は覚悟しとけ!』 「……飯食わせて、大人しく仕事させとく……それで良いか?」 『お前ずっと張り付いてろ! 弟だろ?お前の!』 「………弟じゃなきゃ逃げ出してぇけどな」 『赤いの!それは言うな!』 「愚痴くらい言わせろ!」 『なら言ってろ!』 「………お前に何かあったら……許しちゃいねぇからな……」 『そうなったら、お前が来る前に青龍が来るぜ?』 「お前等はイチャイチャやってろ!」 『なら頼むな 車に乗れば携帯は取り上げられるからな』 「了解!ずっと待ってるから…」 そこでラインとトークは切れていた 榊原は拗ねた顔して一生を見た 「………僕の世話など要りません……」 「ほら、飯食え!」 榊原はブスッとして食事を取り始めた 食事を終えて大学に行く そして会社へ この日はずっと一生と慎一が付き添った でないと駆けていって逝ってしまうだろうから…… 傍に行きたいです…… 榊原はずっと想っていた この日は仕事にもならなかった

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