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第6話 映画

康太と榊原はゴールデンウイークで賑わう映画館に来ていた 目的はドラえもん 音弥が言い出して、全員が強請って映画館へとやって来た 子供はワクワク待っていた 映画館には一生や慎一が付き添った そして何を思ったのか………瑛太も来ていた 「………瑛兄……大丈夫か?」 康太が聞く位、瑛太は場違いだった ぱっと見、どこぞのエリートにしか見えない瑛太だった それも当たり前…… 瑛太は普段着じゃなくヴェルサーチのスーツに身を包んでいたのだから…… 映画館にいるお母様連中はお近付きになりうと虎視眈々とした視線を投げ掛けていた 流生は「どしゃぇもん」と言った 康太にはそれが「どざえもん」に聞こえて仕方がなかった 「ドラえもんって子供には謂いにくいのかな?」 康太は榊原に問い掛けた 「うちの子はまだ小さいですからね 発音事態そんなに使い分け出来ませんからね‥どうなんでしょうね?」 「でもうちの子は口は達者だよな」 「そうですね、うちの子が一番可愛いですからね」 親バカ全開の発言に皆が突っ込みを諦めていた 【映画 ドラえもん 新のびたの日本誕生のチケットをお持ちの方は3番シアターにお越し下さい 】 と館内放送が掛かり、康太は立ち上がった 音弥は「えぃちゃ らっこ」と甘えた 瑛太は音弥を抱っこして歩いた 一生は翔を抱っこした 榊原は太陽を、康太は大空を、慎一は流生を抱っこして、3番シアターへと向かった チケットを見せてチェックを受けて、映画館の中へと入って行った 子供達は纏めて座席に座らせて、大人はその周りに座った 康太は瑛太に「……大丈夫か?瑛兄」と問い掛けた 「映画は久しぶりなので、こんな風に変わってるなんて知りませんでした」 と瑛太は懐かしんで言った 瑛太が映画に来てたのは康太が中学生位の頃まで…… 康太が見たいと言うと、甘い兄はよく連れて映画館に来ていたモノだ 康太も「瑛兄はよく映画に連れて来てくれたかんな」と当時を思い出し懐かしんだ 子供達は「わー!」「きゃ-!」「ぎゃんびゃれ!」 と一喜一憂して声を上げていた 映画が終わると、榊原は息を吐き出した 康太は榊原の手を握り締めた 「大丈夫か?」 「大丈夫です!子供達のパワーに圧倒されました」 と榊原は苦笑した 映画の帰り、ファミレスに寄って皆で食べた 子供達はニコニコと嬉しそうに笑っていた 子供達と映画に行った日 康太は兄と映画に行った日を思い出した 兄は何時も康太の側にいてくれた そんな優しさに触れて…… 康太は瑛太に抱き着いた 瑛太は笑って康太を撫でた 「ありがとう瑛兄……」 「何です?改まって……」 「何時も瑛兄がいてくれたから…… オレは曲がらずに育った…」 瑛太は何も言わずに微笑んだ 翔が「えいちゃ かけゆ ぷちんたべちゃい」と甘えた 珍しい事だった 翔は本能で瑛太を避けていたから…… 瑛太は笑って「プリン頼みますね」と言い撫でた 翔はその手に擦り寄って「かけゆ えいちゃ ちゅき」と言った 瑛太は「私も好きですよ」と答えた 流生が「じゅるい!りゅーちゃもちゅき!」と言い出して 全員が瑛太にキスした 瑛太は幸せそうに笑っていた 子供達と過ごした日だった

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