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第14話 運動会 序章

入学式が終わり、GWも終わり生活に慣れた頃 桜林学園 幼稚舎は運動会の練習に入った お遊戯の練習に日々費やしていた 物覚えの良い飛鳥井の五兄弟は楽しそうにお遊戯を踊っていた 先頭に立って流生がお遊戯を踊る 楽しそうに踊る姿を学園長の神楽四季は眺めていた 佐野と長瀬も一緒に眺めていた 長瀬は「やはり流生はムードメーカーですね」と呟いた 神楽は「ですね……あの気配り……流石遺伝と言えますね」と呟いた その容姿は……何処から見ても飛鳥井康太には似てはいなかった 何処から見ても緑川一生に酷似した容姿に…… 桜林学園時代を思い出していた 音弥はお遊戯を楽しそうに踊っていた 翔と大空は堅さが抜けない 太陽は結構上手 それぞれ個性が出ていた 神楽は「女の子の視線を集めすぎな五兄弟ですね」と笑った 佐野も「ですね!翔は伊織に似ていますね……繋がりがあったんですよね?飛鳥井と……」としみじみ口にした それに神楽は答えた 「清四朗さんが、飛鳥井源右衛門の子として葬儀に出ていましたからね……認知こそされてはいないが…… 源右衛門の子として公表したも同然でしたね……」 マスコミ各社がこぞって週刊誌やテレビで飛鳥井源右衛門の葬儀の様子を伝えた 榊 清四朗が親族の席で参列していたから大騒ぎになったのも新しい 長瀬は「飛鳥井康太の子達です……その魂を受け継ぎ……生きていくのですね」とその重い定めを……口にした 子供達は元気にお遊戯の練習をしていた 長瀬が「………最近康太見ませんね」と子供達を見ながら口にした 佐野が「ニューヨークに行ってるそうだ……」と瑛太から仕入れた情報を告げた 「ニューヨーク?また………遠いところへ……」 長瀬は親であろうとしている康太と榊原を想った 離れたくないであろう…… 愛しい子の傍から離れなくななんかない決まっている 神楽も「………子供達も空元気ですね」と呟いた 心から笑った顔なんてしていなかった お迎えの時間になり、門を見る子供達の瞳は何時も、康太や榊原を探していた そして違うと泣きそうな顔になり……歯を食いしばる そして笑うのだ 元気に笑う 神楽はそんな子供達を見ていて胸が痛かった その日のお迎えは……… いち早くお迎えの人を見つけて流生は飛び出した 音弥も飛び出した 翔も太陽も大空も飛び出して玄関へと向かった そして飛び付いて泣いた 「「「「「かぁちゃ……とぅちゃ……」」」」」 子供らしい顔をして子供達は泣いていた 保母が組から出て来ようとするのを神楽は止めた 「貴方達は組に戻りなさい!」 そう言い神楽は玄関へと向かった 榊原と康太に抱き着いて泣いている子供達を見て…… 神楽は「やっと子供らしい顔になりましたね」と口にした 長瀬匡哉もやって来て 「そうですね」と安堵のため息を漏らした 佐野は「康太、お帰り!」と声を掛けた 「彦ちゃん……ただいま」 「もうじき運動会だぜ? ちゃと時間作って出てやれるのかよ?」 「あぁ、ちゃんと出るつもりだ!」 佐野は「安心した」と言い康太の肩を叩いた そして子供達の鞄を榊原に手渡した 神楽は「このまま帰って構いません」と笑った 「四季……悪かったな」 「お気になさらなずに! 私は君に逢えるだけで嬉しいのですから!」 「また茶を飲もうぜ 今暫く……忙しいけどな……」 「では総てカタが着く事を祈っております!」 神楽はそう言い深々と頭を下げた 康太は神楽を抱き締めて、離すと背を向けて 子供達と帰って行った 五兄弟は子供らしい顔をして両親に甘えていた 神楽は「………あんな顔……するのですね」と見えなくなるまで見送っていた 佐野も「……子供らしい顔……するんだな親の前では」と言い笑った 長瀬も「流生は一番甘えっ子でしたね」と思い出して笑った そして何時までもいなくなった先を想い見ていた 流生は親に「あにょにぇ うんろーきゃい ありゅにょ!」と幼稚舎の事を教えていた 音弥も「おゆーぎ やっちぇりゅにょ!」と歌を歌っていた 太陽は「おぼえちゃ!」とお遊戯を踊って見せた 大空も「かぁちゃ とぅちゃ みちぇ!」と訴えて踊っていた 翔は心配そうな顔で「きょれまちゅか?」と問い掛けた 運動会に来てくれるか……心配だったのだ 康太は立ち止まると翔を抱き締めた 「どんだけ忙しくても、お前達の運動会や行事は必ず逝くかんな!」 「ほんちょれちゅきゃ?」 「本当だ!だから頑張れ!翔」 「あい!」 翔は嬉しそうにお返事した 康太は五人の子供を抱き締めると 「全員の応援しに行くかんな!」と伝えた 子供達は康太に抱き着いた 榊原は音弥を抱き上げると 「音弥は無理は禁物ですよ?」と釘を刺した オペして一年も経っていないのだ 「あい!やくちょきゅ!」 音弥は榊原の小指を出した 約束は指切りげんまん、と決めているから 子供達と飛鳥井の家に帰った そして応接間でお遊戯を披露して貰った 日々練習しているが解って、康太と榊原は胸が熱くなった 運動会まで二週間! 子供達は闘志に燃えていた

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