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第23話 デート 一生×力哉

力哉と一生は映画館に来ていた 「一生、何見る?」 「何でも良いよ 力哉の見たいの買っておいでよ」 「良いの?」 一生は頷いた 力哉はチケットを発券に逝った そして上映時間までカフェで時間潰し 館内放送が掛かってシアターへと向かう 一生はニコニコしていた 基本見れない映画はないって言ってたから今話題の映画をチョイスした 一生はチケット番号の座席を探して、座る 「楽しみだな」 久しぶりの力哉とのデートだった 「力哉、何チョイスしたんだ?」 「ゾンビ増量中って書いてあったから、それにした」 「………ゾンビ増量中……それ……増やして意味あるのか?」 「どうなんだろ? 何時もの倍出てますって」 「………ゾンビ……増えてても俺は嬉しくないぞ…」 「でもワラワラ出ると得したし気分になるよね?」 一生はプルプル首をふった ゾンビだぞ? そんな沢山増量されても嬉しくなんてない 一生は諦めて映画を見ることにした ゾンビだろうが、力哉とのデートだった 映画が始まると増量中のゾンビがワラワラ突然飛び出して来た そのたびに力哉は一生に抱き着いた 「……突然出るのは反則だよ」 力哉はブツブツと言った 「………出ます……って言って出ると怖さ半減だからだろ?」 一生は力哉を抱き締めて……言った 「出る時は出るって言って出なきゃ! 躾がなってないって康太なら言うよ!」 確かに…… 康太なら言うだろう あの瞳は何でも映す癖に、康太はホラー映画は大の苦手だった ゾンビ増量中なんて見たら…… 大騒ぎだろう 一生は思い出してクスッと笑った 力哉はムカッときた こんなに僕が怖がってるのに…… 何で笑ってるのさ 力哉は一生の脇腹を摘まんだ 「痛ぇって力哉」 「何で笑ってるのさ」 「康太は大のホラー嫌いだからな……想像した でも、この映画をチョイスしたのはお前だろ?」 「……そうだけどさ……」 力哉はこんなにゾンビ増量中が怖いなんて知らなかった そもそも……映画なんて滅多と見ない 時々 一生が連れて来てくれる様になって、やっと見る感じなのだ 「………僕……ゾンビって……そんなに見た事ないから……」 「ならゾンビ解って良かったろ?」 「これは知らなくても良いと想う……」 「……なら出るか?」 「………勿体なくない?」 「見れないのを無理して見る方が体に悪い」 一生は立ち上がると力哉の手を引いて、シアターを出て逝った 外に出ると康太が榊原と共にいるのを発見して傍へと近寄った 「康太!」 名前を呼ぶと康太は一生の方を向いた 「お!力哉と一生やん デートかよ?」 康太は笑ってそう言った 「デートのつもりだったけど、力哉がゾンビ増量中の映画をチョイスして……騒いでたから出て来た」 一生が言うと康太は嫌な顔をした そして榊原の背中に隠れた 「………え?……おい康太……」 一生は榊原の顔を見た 「子供達もいるので、ゾンビの話は辞めて下さい」 足下を見ると流生達が一生を見上げていた 「……流生、映画見に来たのかよ?」 「かじゅ こにゃん みにきちゃ」 「お!コナンかぁ!良いな」 「かじゅ じょんび?」 「………すみませんでした」 一生は榊原に謝った 「俺もコナンにしようかな?」 一生がそう言うと榊原がチケットを二枚、一生に手渡した 「………え?」 「康太が一生が来るというので買っておきました」 「………悪い……旦那」 「気にしなくても大丈夫です それよりジュースは自分で買って下さいね!」 慎一が子供達のジュースを持ってやって来た 慎一は「あれ?康太の言うとおりでしたね」と一生と力哉を見て笑った 慎一は榊原の背中に隠れる康太を見て 「………康太、どうしました?」と問い掛けた 榊原は慎一の耳元で 「一生と力哉が見ていた映画はゾンビ増量中の映画だったそうで……子供達にゾンビと言う単語を教えたくないので離れているのです」 「……あぁ…康太は恐がりでしたね」 「そうです」 納得して慎一はジュースを榊原に渡した 館内放送がシアター入場を告げ 康太達はシアターへと向かった エスカレーターに乗り向かう 力哉は康太に「ごめんね……」と謝った 「気にすんな力哉 それよりデートが台無しになるぞ? 何時でも離れて逝って良いからな…」 「ずっと同行したらダメ?」 「オレ等は気にしねぇが……デートじゃねぇのか?」 「そうだけど……皆でいたいんだ…」 康太は笑って力哉の肩を叩いた 力哉の手を翔が取ると、力哉は笑って手を繋いだ 「りきや こにゃんみりゅのきゃ?」 「コナン大好きだよ」 「かけゆたちには むじゅかちーのら」 「………だよね」 力哉は翔と話をしていた その顔は物凄く楽しそうだった 一生のズボンを掴むと流生は引っ張った 「お!流生!」 「かじゅ らっこ」 最近は抱っこは嫌がるのに珍しい事だった 「どうしたよ?流生」 「ときろきはあちょばなきゃ、かじゅちゅねりゅ」 「………それはありがとう流生」 一生は苦笑した 「りゅーちゃ かぁちゃにらから やちゃちぃにょ!」 一生は爆笑した 「だな!流生は母ちゃん似だな! 優しいかどうかは置いといて、似てる!」 「りゅーちゃ かぁちゃととぁちゃのきょ!」 ニコニコ笑って流生はそう言った 解っていても………刹那い そんな想いは胸の奥深くに封印して…… 一生は流生の頭を撫でた 入場のチェックを受けて、シアターの中へと入って逝った 座席を見付けると子供達を先に座らせた 一番奥に力哉と一生が座り子供達が座り、慎一が座り 康太と榊原が座った 榊原は康太の手を握り締めた 「ゾンビ増量中なんて見る気になったな……」 康太は呟いた 「君は無理ですよね?」 「増量中だぞ?伊織…… 何時もの倍出て来るんだぞ しかも『出ます!』と言って出ねぇんだぞ」 康太の言い分に榊原は笑った こんなに強いのに…… お化けやゾンビは苦手だ 妖怪も宇宙人も苦手なのだ 榊原は康太を引き寄せて口吻けした 「伊織……」 「愛してます康太」 「オレも愛してる伊織」 「ゾンビがどれだけ増量して来ても、僕は君のために闘います 君を守り通してみせます」 康太は榊原に抱き着いた すっかりラブラブの二人だった 映画を見終わると康太達は、何時ものファミレスに行くという 一生は力哉を見た 「どうする?力哉」 「………皆といたい……」 「なら一緒に逝こうぜ!」 力哉はデートを台無しにて本当に悪いと想っていた なのに一生は力哉を尊重して、やりたい方を選ばせてくれる 本当に申し分のない恋人だった 康太達とファミレスに向かい、聡一郎と隼人をファミレスに呼び出した ファミレスの駐車場に向かうと、隼人と聡一郎が待っていた 聡一郎は一生を見付けると 「デートはどうしたのですか?」と問い掛けた 「映画館で康太達と逢ったんだよ」 「それはそれはご愁傷様!」 聡一郎は笑って、音弥を抱き上げ隼人に渡した 音弥は隼人に抱っこされると「おろちて!」と言った 隼人は少しだけ傷付いた顔して音弥を下ろした 音弥は「もう きょろもじゃにゃいにょ!」と偉そうに言った 隼人は笑って「偉そうなのだ!」とデコピンした 「いたいにょら!」 音弥は怒ると隼人の足を蹴飛ばした 「………痛いのだ……」 「おとたんもいたきゃったにょら!」 「音弥……ごめん」 「はやと ぎょめん!」 お互い謝って手を繋ぎファミレスの中へと入って行った 皆で座れる席を用意して貰い席についてメニューを見た 子供達は【おこちゃま!】と全員で口を揃えて言った 慎一は子供達の注文をメモに書き 康太達を待った 榊原は康太に「何が食べたいですか?」甘く囁いた 康太はサラダとハンバーグを頼んだ 榊原も一緒のを頼んだ 一生は康太があんまり食べないから心配そうに榊原を見た 「………康太……大丈夫なのか?」 「気にしなくても大丈夫です 検査も受けてますからね」 ガツガツ食べる康太なのに…… それが小食になれば心配になるのは当たり前だった 「康太は映画館で一番大きなポップコーンを映画が始まる前に食べてるのです」 「………え?一番大きなポップコーンって…… あのお盆サイズの?」 「ええ。食べたいと言ったので買ったのです」 それは食べられないのは当たり前だった 皆でワイワイ話しながら食事した 高校時代を思い出して懐かしくなった 聡一郎も隼人も慎一も懐かしい空気を感じていた 食事が終わると、お皿を下げられた そして康太や子供の前にプリンが置かれた 慎一からの心遣いだった 康太は嬉しそうに笑ってプリンを食べた 翔も流生も音弥も太陽も大空も、楽しそうにプリンを食べていた 榊原や一生や聡一郎、慎一はアイスクリームを食べていた 優しい時間が流れていた 懐かしい時間が流れていた 子供達と過ごした日だった

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