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第32話 悪巧み

青龍は魔界にいた 勿論 妻と離れるのは一分一秒たりとも嫌! と、言ってのける奴なので…… 妻である炎帝も一緒に……である 腹減りな妻は食事中 そんな妻を膝の上に乗せて、青龍は冷酷な笑みを浮かべて…… 炎帝の邸宅に呼び付けた相手と…… 話をしていた 青龍が呼び付けたのは、白虎と玄武 青龍は四神の一柱だから………珍しい訳じゃないが…… 多分 ロクな事は考えちゃいなかった ついでに司禄も呼び出されていた 「白虎、玄武、司禄、君達は朱雀と仲が良かったですよね?」 青龍が言うと白虎は「アレが一番仲の良いのは赤いのだろ?」と言葉にした 部屋の奥から赤龍が姿を現すと 「俺はアイツの弱点は知らねぇよ!」とボヤいた 玄武は「………弱点……そんなのアイツにあるのか?」とブルッと震えた 「何でも良いので思い出しなさい!」 青龍は冷酷な笑みを浮かべて、簡単に言った 白虎は思考を総動員して 「……朱雀が苦手なのは……双頭の鰐だろ?」とそれしか思い付かず言った 青龍はブチッと怒りマークを額に浮かべ 「鰐は人の世に連れて行けません! しかも頭が二つあるなんて……見世物にされてしまいます!」 と冷たい視線を向けた  白虎はチビリそうになった 玄武は「イボ蛙はどうだ?」と笑って言った 「………そのイボ蛙……兄さんが持ってくれるなら良いですけど?」 青龍の言葉に赤龍はブチッと何か切れる音を聞いた 「俺は蛙と蝙蝠と蛭がでぇ嫌いなんだ!嫌だ!」 赤龍は吠えた 「なら却下ですね……本当に何も弱味はないのですか?」 青龍は却下して、変な生き物じゃなく魔族で……と言った 司禄は「朱雀が絶対に逢いたくない輩は……ゲド師範でしょ?」とサラッと言ってのけた 青龍はキランッと瞳を光らせた 「その話、詳しく聞かせなさい!」 青龍が言うと司禄は楽しそうに 「聞くか?」と問い掛けた 二人はヒソヒソ ゴニョゴニョ カクカク シカジカ……と話をして……… ニャッと嗤った 「それは大変素敵です!」 青龍は妻を抱き締めて、そう言った 炎帝は魔界の鶏……足が四本あるチキチキチキーンの唐揚げを食べながら 「ゲド師範かぁ………オレも逢いたくねぇなぁ」と呟いた 青龍は意外な顔をした 「………ゲド師範……知っているのですか?」 青龍はそのゲド師範なるものを知らなかった 「あぁ……オレは黒龍と一緒にいたからな 黒龍は何時も何時も自分の友達を連れてオレの処へ逢いに来てくれた で、皆でゲド師範の処へ修行に行った事があんだよ 朱雀は……ケチョンケチョンにしごかれて…… 以来……ゲド師範には逢おうとしなかった ……そうか……朱雀は今もゲド師範が苦手か」 炎帝はそう言い嬉しそうに笑った 青龍は自分が知らぬ時間が口惜しかった もっと早い時期に手を付けておけば良かった…… 自分のベッドに入り込んだ日に犯しておけば…… 等と危ない考えをして悔やんだ 青龍は自分は知らないのに、皆知ってるのも腹が立つのか…… 「ゲド師範、呼びなさい!」と言った 司禄は「………それ無理だぜ?」とボソッと呟いた 玄武も白虎も「「だな…」」と納得した 「何でですか?」 「ゲド師範は偏屈者で滅多と自分の山から出ないのですよ」 司禄が言うと青龍は 「なら人の世に来て貰うのは?」 と問い掛けた その問いに答えたのは炎帝だった 「無理だな! ゲド師範は人間は大嫌いだ」 「………なら朱雀にお仕置き出来ないじゃないですか……」 ナイフの前に飛び出す子にお仕置きせねばならないのに…… 炎帝は思案していて 「黒いの……何か知らねぇか?」 ドアに向かって声を掛けた ドアが開くと黒龍が顔を出した 「お前、還ってるなら声くらい掛けろよ!」 黒龍は拗ねて言った 「黒龍、朱雀の弱点、知ってるかよ?」 「彼奴はゲド師範だろ?」 黒龍はサラッと言った 「ゲド師範が人の世に来る可能性は?」 「…………皆無だな」 「ならさ人の世に超させられる奴で弱点を頼む」 「………鳳凰だろ?」 「それはないわ……自慢の叔父上じゃねぇかよ?」 黒龍はニャッと嗤って 「自慢だけど、鳳凰は苦手なんだよ」 「複雑な奴だな………でも鳳凰を人の世に……」 「連れ出したらバランスが崩壊するだろうな……」 魔界に存在せねばならぬ神の存在 人の世に逝けば………バランスは崩壊する 「………他に苦手は?」 「別れた女」 「別れたら苦手じゃなくて、顔も見たくない ………じゃねぇのかよ?」 「朱雀はヘマはしねぇんだよ 別れた女ともちゃんと誠意を尽くして別れる 別れた後も友達だったりするんだな」 黒龍が言うと青龍が 「胡散臭い奴ですね……」とボヤいた 黒龍は爆笑した 「お前、本当に青龍かぁ? 昔のお前なら言わねぇ台詞だな」 「炎帝の愛する蒼い龍がそうそういてたまるものですか!」 火に油を注ぐから……黒龍は腹を抱えて笑った 黒龍は腹を抱えて笑って、そして続けた 「朱雀の絶対になくしたくないモノ それは昔も今も……炎帝、君でしょ?」 「なら絶交してやるか?」 炎帝が言うと黒龍は「止めてやれ!」と取り成した 「お前をなくす以外に朱雀の弱点なんてねぇよ! お前をなくしたくないから刃物の前に飛び出したんだろ? やり方は不味いがお前が狙われているなら……俺も弟達も躊躇する事なくお前を守るだろう だから……もう責めてやるな……」 「………黒龍が言うなら止めてやる でも……命を粗末にしたのには変わらねぇだろ?」 「大丈夫だ炎帝 堂嶋正義が怒りまくっていたから、お仕置きはされる筈だ! 後、久遠が何もせずに退院はさせまい!」 「………ならオレは引くとする」 「うしうし!いい子だ」 黒龍は炎帝の頭を撫でた こうして朱雀への悪巧みは阻止された 『やっぱ恩は売っとかないとな』 黒龍は人の世に逝ったついでに、朱雀に恩を売る算段をしていた こうして朱雀への悪巧みは阻止された
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