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第57話 また逢おうぜ③

バラバラになった…… 幼稚舎で出逢って以来、ずっと一緒にいた“仲間”であり“家族”だった 永遠にこの時間が続くなんて想ってはいなかった いなかったが……… 夢を見てしまった 幸せ過ぎたから…… 夢を見てしまった 夢は儚く砕け散り…… 我等はバラバラになった 一生……なんで何も言わず旅立ったのですか? 聡一郎には何も解らなかった 康太の命令で魔界で司録と仕事をして、それを終えて人の世に還って来て…… 人の世でも忙しく情報を集めていた そして気が付くと…… 一生は飛鳥井の家を出て白馬に逝ったと聞いた 本人からではなく、家族からでもなく……… 偶然逢った清家から……聞かされた 「やぁ聡一郎、一生も白馬に逝ってしまって、寂しいんじゃない? 今度食事をしようよ! 兵藤貴史もアメリカに旅立ったと言うし……当分は寂しいよね?」 頭から冷水を引っ掛けられた衝撃だった クリスマスもお正月も兵藤も一生も還っては来なかった 康太は常に忙しそうで何かをやっていた 伊織も映画が始まり…… 飛鳥井の副社長の座を……他人に譲り渡した 伊織は不安じゃないのかな? 還って来ても…… 自分の椅子に……他の奴がいるんだよ? そう思っていたら…… 飛鳥井の家にも……知らない存在が入って来た 一生は還って来るのに…… 一生のポジションに見知らぬ誰かを入れた…… 康太……こんな事をしたら…… 一生が還れないじゃないか…… 飛鳥井の家で他の誰かを見たくなくて…… 聡一郎は引きこもった 悠太は気にして声を掛けて来てくれたが…… そのうち悠太も家に還って来なくなった この世で唯一人になってしまった……気持ちになった 助けて…… 助けて…… 助けて…… 心が叫ぶ 我等 四悪童……絶対の絆で結ばれていたんじゃなかったのですか? 何故? 何故? 何故? 何故!!! そんな想いばかりが心を占める 慎一が食事を取らない聡一郎を気遣って、部屋まで食事を持って来てくれた 「慎一は……この状況を……おかしいとは想わないの?」 「主は何か考えがあってなされている事だろう 心配なら直接逢って聞けば良い 何故康太を避ける?」 「一生は還って来る! なのに……こんなの受け入れられる訳ないじゃないか!」 聡一郎が言うと慎一は溜め息を着いた 「避けてたら真実は見えませんよ?」 聡一郎は背を向けた もういい! 何も聞きたくない!………と。 慎一は部屋を出て逝った 引きこもりを続けてどれくらい経ったろう? ある日、康太に呼び出されて…… 覚悟を決めて康太に逢いに逝った 真実は………予想と違った 予想と違い過ぎて……己が愚かで泣けて来た 全部話してくれた康太は「殺し屋に狙われているからな!ちょうど良いから距離を取っていたんだよ! 悠太を隠したからな、もっと早くお前から声が掛かると想っていた」と頑なな心を詠まれて… 聡一郎は粉々に砕け散った 愚かな自分が……情けなくて……仕方がなかった 「聡一郎……」 「はい」 「誰よりも……飛鳥井から出たくなかったのは一生だ」 「……っ!………」 そうだろう……飛鳥井の家と言うより、康太の傍を離れたくなかったのだろう…… 「だが、このまま逝くと遅かれ早かれ… 大和のファームは畳まねぇとならなかった 白馬におんぶに抱っこのファームは要らねぇんだよ 白馬で足りるならば、力を分散するよりは白馬に集結させて育てた方がより密度の高い調教が出来るってもんだ 経営が破綻するよりも早く、篠崎の体躯が限界に来ていた それもそうだろ? 総ての仕事を篠崎一人が背負って逝けるもんじゃねぇ…… ならばあの兄弟を切り捨てて熟練したスタッフを雇う方が……牧場は確実に生き残れる そうだろ?聡一郎」 経営者として考えるなら…… 康太の言葉は何一つ間違ってはいなかった 経営者として甘い考えを捨てねば……生き残れはしないのだ 起業家としての判断の遅れは…即ち…死を招く死神を招き入れるも同然の事だった このまま逝けば…価値すらない…牧場にしかならない 一生は決断を迫られたのだ 慎一もそれが解るから一生を白馬に逝かせた そして自分が何をしなければならないか……解っているから…… 二人を受け入れた 本当なら入れたくはなかったろう… だがそうも言ってられない現実が…… 主を後回しにせざるを得なくさせたんだ 殺し屋に狙われている康太は、これ幸いに皆を離れた場所に置き…… 一人で闘っていたと謂うのか…… 聡一郎は悔いた 康太一人を戦場に送り出した事を悔いていた 「一生はさ、この場所を明け渡す気なんてねぇんだよ だから『さよなら』も『逝ってきます』も謂わずに消えたんだよ でねぇと当然の顔して還って来られねぇだろ? 一生だって不安なんだよ だから…オレに電話は絶対にしない!と決めて出て逝った 声を聞いたら還りたくなるから、声は聞かない 姿を見たら還りたくなるから、写真も総てデーターに移行して置いて逝った だからオレは朝倉にオレに何かあろうとも、一切一生には伝えるな!と伝言を渡した 『飛鳥井康太に何があろうとも、緑川一生には絶対に何も伝えるな! 情報を操作させて知らせないでくれ! その為に一生の恋人の安西力哉が飛鳥井康太の勅命を受けて白馬に逝く』と伝えておいた だから……一生は完遂するまで還る事はねぇだろ……それこそがオレの望みだ」 そこまで……考えた上で一生を送り出していたのか…… 「……力哉……逝かせたのですね」 「恋人は離れていたらダメだろ? 力哉には一生には一切何も伝えるな!それがお前の死命だ!絶対に……飛鳥井康太が死のうとも……一生に悟らせるな! そう言い送り出した 力哉は総て了承して白馬に逝ったんだよ」 「……力哉にとっても……大役ですね……」 自分が生きているのは康太のお陰と想っている力哉にとって、康太の危機は誰よりも敏感に想う事案の第一位として考えているだろう… それを康太の危機を絶対に勘づかせない為に情報の操作を行い、隠し通す大役を背負わされて送り出されていたとは…… 聡一郎は胸が痛くて……軋んだ 「力哉は必ず完遂するさ オレが……志半ばで旅立とうとも……オレの依頼はやり遂げてくれるだろう…」 「………康太……此処からは僕が出ます…… 一生が不在ならば僕が君の為に動きます」 「……本当はさ……お前が引きこもっているなら……引きこもらせておこうかと想っていた 此処からは……命の保証が出来ねぇ死線を越えて逝かねぇとならねぇからな……」 「ならば尚更僕が動かねばならないじゃないですか! 僕は君の頭脳の一部……遥か昔から僕は君のブレーンとして存在した その僕が君と一緒にいなくてどうしますか! 君を一人で逝かせたら司録に恨まれます! それだけは勘弁願いたいので、僕は頑張りますよ!」 「聡一郎……んなに頑張らなくて大丈夫だぜ?」 「何を!頑張って君に仕えねば司命・司録の名が廃ります!」 聡一郎は決意した瞳をしていた こう言う瞳をした聡一郎は結構手強い 康太は「なら頼むな聡一郎!」と笑って拳で聡一郎の胸をポンッと叩いた その笑顔が恋してくて……貴方の傍に来た僕達でした 何で忘れていたんでしょうね? 司録……二人で共に主を護ると決めて、交互に康太の傍に逝ったのでしたね 視てるしか出来ない君は焦れったかったでしょうね…… 今世は僕が貴方の傍にいると謂うのに…… 腑甲斐無い私を許して下さい司録 でも大丈夫です 四宮聡一郎として生きて来た時間が……目を眩ませてしまっていました 司録…お前と私とで主を護ると誓った……あの日をもう少しで忘れる所でした 一生、還りたいから別れは言わなかった君の思いが今は解ります 「康太、一生は何と言って………飛鳥井の家を出たのですか?」 そこだけが気になっていた 「んじゃ、ちょっと逝って来るわ! ……そう言って翌朝出て逝った 貴史も同じ事言って……アメリカに旅立った ちょっとそこまで逝って来るわ!みたいに気楽に旅立って逝ったぜ」 康太はそう言い笑った 「そうですか、一生らしいですね では僕はアイツ等がちょっとそこまで逝ってる間は君を優先にする事にします 隼人もそのつもりで仕事をセーブしているのでしょ? 隼人は誰よりも敏感に察知しますからね 隼人、一生や慎一、貴史の変わりに僕が共に逝きます なので君は今回の件が片付けば仕事して下さいね」 聡一郎がそう言うと隼人は 「オレ様は働きすぎたのだ だから一年や二年仕事をしなくても構わないのだ……」とあっけらかんと頑固さを発揮した 聡一郎は流石康太の長男……と言い笑った 「聡一郎、黙っていなくなった一生にはお仕置きをしておいたのだ だから許してやると良いのだ」 「………お仕置き?隼人、何をしたのですか?」 「玲香義母さんに、一生が淋しがるからと提案して『あずき』を力哉に預けて白馬に送ったのだ 貴史にも一生が淋しがるから猫を餞別に送ってやるのだ!と言いペットショップで猫を買わせたのだ! チェリーと名付けて力哉に一緒に持たせたのだ 後、北斗の為にと言ってハムスターと、兎と本の山を送り付けてやったのだ 当分は世話が大変だろうし…何も考えなくて良いのだ」 「……義母さん、あずき……よく渡したね」 「義母さんは一生の犬と力哉の猫の世話で大変なのだ! 一生が還ったとしてと多分……飼い主は義母さんだと想うだろうし、置いて出た報いはしてやるのだ!」 ………怖い…… 穢れなき天使の様に清らかな隼人が……… 策を講じるなんて…… 「オレ様が一番怒っているのは…さよならを言わなかった事じゃないのだ 一生は飼うと言った犬を置いて出て逝ったのだ ワン達は捨てられて飛鳥井に来たのに…… 一生にもう一度捨てられたのだ…… オレ様はそれが許せなかった だから義母さんにワンとニャンを飼ってやってくれ!と頼んだのだ そしたら義母さんは快諾してくれた 最初から面倒見れないなら飼ってはいけないのだ 育てられないのに生まれてしまったオレ様の様な悲しいのを……増やしてはいけないのだ オレ様には康太がいてくれた だから今も生きていられる でも……ワンとニャンは……捨てられ拾われ一生と力哉を飼い主として想っていた筈なのだ なのに置いて逝かれた…… 一生は置いて逝かれたモノの悲しみを知らないといけないのだ……」 聡一郎は隼人の頭に手を掛けると、引き寄せて胸に抱き締めた 「良い子だな…本当に隼人は良い子に育ちましたね…… 康太の愛に甘えて怠惰に過ごすのではなく、母の愛に殉じて生きているのですね」 捨てられた想いなら隼人は誰よりも強いだろう 一生も……家を出るのに精一杯で、犬と猫の事までは考えなかっただろう…… 「力哉を送り出したのはオレ様なのだ 北斗の大好きな本をアイツは一冊も持たせる事なく連れて逝った 北斗は……本を見れば飛鳥井を思い出すから、わざと持って逝かなかったんだろうけど、本が好きな北斗には…それは本意じゃないように想えたのだ だから力哉にワゴン車を買ってやって、その車の中にワンとニャンとハムスターと兎と北斗の本を詰め込んで、白馬に送り出したのだ ついでに康太の写真立てを持たせて、部屋の中央に飾っておくのだ!と言い持たせたのだ! これくらいの意地悪しても……許されるよね聡一郎……」 「許されますよ…誰が許さなくても僕が許してます 文句を言ったら僕が殴り倒してあげます」 「だったら良かったのだ 貴史は部屋に貼ってある康太の写真は総て持って留学したのだ だからオレ様は毎日貴史に康太のムービーを送ってやってるのだ 寝起きの康太とか、康太の太ももとか、脇とか…あんまりセクシーショットはチャンスがないから撮れてないから送れないけど、でも笑ってる顔は送っているのだ」 こいつ怖い…… 貴史が康太を愛してるの知ってて……やってるんだよね? 目に毒なショットばかり送られて… 貴史、お前地獄だな 「………貴史はちゃんとお礼言って来てる?」 「……隼人、微妙なショットは何を狙ってるんだ?と聞かれたのだ しかも夜中に……テレビ電話して来たのだ 隣に康太が寝てたら全裸の康太をテレビ電話で見せてやったら……電話がぶち切れたのだ オレ様は何も狙ってなんかいないのだ…… でも貴史……怒ったのか……メール……しても返事をくれないのだ オレ様は貴史が一番喜ぶ事をしてやりたかったのだ……でも嫌われた オレ様はきっと……愚鈍な奴なのかも知れない 人の想いの機敏が理解出来ていないかも知れないのだ……」 聡一郎は隼人を抱き締めた 「僕が貴史には掛け合っておいてあげます! だから君が悲しむ事はない…… 君ほどに人を思いやれる子はいない…… 貴史が何か謂うなら……僕はアメリカに逝って文句を言って来てあげます!」 「聡一郎……」 「隼人も文句言いたいですよね? ではアメリカに文句を言いに逝きましょう! 日帰りで強行軍で逝けば何とかなりますよね? 康太、還って来たら君と共に逝きます チケットを取らねばなりませんね」 聡一郎はそう言うと慌ただしく部屋を出て言った 隼人は康太に抱き着いた 康太は聡一郎の消えたドアを眺め 遥か昔… 炎帝に仕えると誓ってくれた司命と言う神を想った お前は本当に……昔から変わらない 絶対の信頼を感じていた 聡一郎と隼人は翌日、アメリカにちょっと文句を言いに言った 兵藤が部屋に還ると珍しく桃太郎が飛び付いて来なかった 不思議に想って部屋に入ると…… 聡一郎と隼人がリビングのソファーに座っていた 「………何処から入った……」 「美緒さんに話したら鍵まで貸してくれた」 あの人は!! どんだけ飛鳥井の人間に甘いんだ! 桃太郎は隼人の膝の上でゴロゴロ甘えていた 兵藤は平静を装ってソファーに座った 「…何か……あったのか?アイツに?」 兵藤が心配そうに問い掛けると聡一郎は艶然と嗤った 「まさか……康太に何かあったとして君の所に来ると想いますか?」 正論だった 何かあった時程、康太は距離を置くだろう そんな時は聡一郎や隼人だとて例外ではない 彼等は康太の意思を誰よりも受け継ぎ動く存在なのだから…… 「なら用件は?」 「うちの隼人は天然で、人の機微がやっとこさ解る様になったけど、肝心な所は何処か抜けてる所があるのです! その隼人が狙った? 何でそう勘ぐるのですか? 隼人は本心から貴方の喜ぶモノを与えてあげたかった…それだけしか考えていない! それを……文句の電話を掛ける癖に、メールの返事はしないとは……隼人を馬鹿にしたり蔑ろにすると謂う事は………我等四悪童に宣戦布告しているとみなしますよ?」 喧嘩腰で謂われて兵藤は両手をあげて降参した 「僕は隼人を蔑ろにした君を許しません!」 「……蔑ろにはしてない……」 兵藤はそう言い携帯を操作すると聡一郎だけに携帯を見せた 携帯の待ち受けが康太で笑えたけど……謂わないでおいた 聡一郎は兵藤から渡された携帯の写真のフォルダーを開いてみた 「……これは……何と言っていいか……」 「俺が狙ってるって勘繰っても……仕方がねぇだろ?」 「………ですね…許してあげて下さい 隼人は君の喜ぶ事を考えて必死になっていたのです……」 聡一郎が謂うと隼人は泣きそうな顔をして 「……すまなかったのだ貴史…… オレ様はもう二度と……メールしないと約束するのだ……だから許して欲しいのだ」 と謝った 兵藤は慌てて隼人に 「隼人、メール嬉しかった! 凄く安心できたよお前の写真 でも…俺には少し刺激が強かった だから勘繰っちまった 狙ってる訳ないのにな…… 隼人がそんな事出来る奴じゃないの知ってて……少しだけ想った 謝らねぇとならねぇのは俺の方だ! すまなかった……許してくれ! もうメールを送らないなんて謂わないでくれ……」 「……でも……あれから返事がないのだ……」 「ここ二週間、俺は課題を片付ける為に寝るのを惜しんで片付けていたからな メール返せなかったな…ごめんな隼人」 よく見てみれば兵藤の目の下には隈があった 兵藤は隼人を抱き締めたまま……眠りに落ちて、ずるっと崩れ落ちた 隼人は兵藤を抱き上げるとベッドに寝かせた 淋しい……何もない無機質な部屋だった 寝に帰るだけの部屋には備え付けの家具以外はなかった 桃太郎の部屋はちゃんとしてあるのに…… 自分の生活空間は手抜きだった 聡一郎は兵藤を寝ている間に買い物に出掛け 買い物を済ませると食事の準備を始めた 食事を作りラップで包むと洗濯をして部屋を掃除した 隼人は桃太郎の毛をトリミングして艶々にした 総て終わると聡一郎は「帰りましょうか?」と告げた 隼人は桃太郎の頭を撫でて「またなのだ桃太郎」と別れを告げた 隼人はキッチンテーブルの上に「またなのだ!」とメモを置いた 聡一郎もその下に「ちょっと来ただけなので帰ります」と書いた そして二人は兵藤の部屋を後にして日本へと還って逝った 目を醒ました兵藤は夢を見てたのか?と想った だけどキッチンテーブルの上の食事に夢じゃないんだと実感した 兵藤はPCを開けると隼人に謝罪のメールを送った 本当に康太の写真は嬉しかった!と礼を述べて、また送ってくれると嬉しいと伝えた どんな姿であろうが、その時の康太の姿のだから…見たかった 慎一は相当忙しいのか……メールはなかった 一生もメールはくれなかった 唯一メールをくれたのは隼人だけだった 悪い事をした 兵藤は心から詫びた 隼人は「気にしてないのだ!」と返事をくれた 文句を言いにでも貴史に逢えたから、それで良いのだ…と、返してくれた また逢う為に今日を生きる 兵藤も頑張らなきゃ!と改めて心に誓った そんな兵藤に隼人は 『貴史、あと少ししたら寂しくなくなるのだ! 待っているのだ! そしたら毎日オレ様と逢えるのだ!』 とメールが来た 兵藤は何の事なのか?と解らなかった 今度は長期に遊びに来るのか?と想っていた ………が、本当の意味を知り兵藤は驚いていた ハーバード大学近くのビルに、とてつもない大きさの巨大電子広告が掲げられた 逢えなくても…… 苦しくても…… 悲しくても…… 僕らは共に生きた時間がある……絆がある…… だから立ち止まらないで歩いて行こう! 僕らが共に逝く未来は繋がっているんだから! 30秒のCMがずっと流れていた 兵藤はそのCMを見て…… 隼人達の想いを胸に抱いた 隼人と聡一郎はハーバード大学近くのビルに設置された巨大な電子広告を見ていた 「聡一郎、貴史はみたかな?」 「見たよ絶対に!」 「伝わったかな?」 「伝わっているよ絶対に! 僕らが共に逝く未来は繋がっているんだから!」 聡一郎はCMの言葉を口にして、そう言った 巨大電子広告の前に隼人が立っていた ニカッと親指を立てて笑っていた その横に聡一郎が立っていた 兵藤は二人の傍に逝く為に走り出した 僕らが共に逝く未来は繋がっているんだから!

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