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第86話 愛が生まれた日~康太~
2月1日
この日は飛鳥井康太の誕生日だった
朝から榊原はケーキを作るのに必死だった
またまた恒例のウェディングケーキですかぁ?ばりのケーキを制作中だった
一生は「旦那、今年もウェディングケーキですがな、これは」と生クリームをペタペタして手伝っていた
「家族が多いので大きくないと足らなくなってしまうじゃないですか!」
何、その言い分?????
めちゃくそな言い分に苦笑しつつも一生はせっせと生クリームを塗りたくっていた
生クリームを塗った後は榊原がクリームを絞って飾り付け
一生もイチゴ片手に榊原の指示でイチゴを置いて行った
かなりの時間をかけてケーキは出来上がる
今年の誕生日はプレゼントは一切受け取らない事になっていた
毎年毎年高額になって行くプレゼントにクリスマスも誕生日もプレゼントは受け取らない事になっていた
それでもまぁ時々、安いのを見掛けたから‥‥と用意されたプレゼントは受け取るのだが‥‥
それ以外は受け取らない様にしていた
それなのに戸浪海里からは‥‥前日に‥‥船を一台プレゼントされていた
どうするのよ?これ???
と困る程のプレゼントだった
そのプレゼントと謂うのが豪華客船をポンっとプレゼントされた訳で‥‥
船は世界各国を周回していた
康太は好きな時に何時でも乗っても良いと謂われても‥‥
それは無理だわ‥‥とお返ししたばかりだった
蔵持からも高級なホテルをポンっと一つプレゼントされていた
何時でも好きな時に泊まれば良いですから!
そう言われたけど‥‥ホテルなんて大きすぎて困ると返したばかりだった
その他にも‥‥色々と届いていた
プレゼントは受け取らないと通達したのに、だ!
慎一は料理を作っていた
酒のつまみと料理を同時進行で作る
それを手伝うのは聡一郎と隼人
聡一郎は繊細な飾り付けが得意で
隼人は混ぜるのが上手かった
二人の特性を適所に配備して夕飯を作っていく
今日は康太の誕生日
何時もよりは上等な食材を使って特別な料理を作っていた
夜になりケーキも完成し料理も完成した
今夜は奥さんと甘い時間を送るつもりの榊原は上機嫌だった
夜になり家族が帰宅して、榊原の家から真矢と清四郎、笙と明日菜と子供達が駆け付けていた
「おめでとう康太」
真矢はそう言い「安いのを見付けたから康太の服を買って来たわ」と言い洋服の袋を康太に渡した
真矢は誕生日に関係なく可愛い服とか見付けると康太や子供達に買って来てくれるのだ
「ありがとう義母さん」
康太は洋服の袋を受け取った
兵藤も遊びに来ていて
子供達は大喜びだった
美緒もやって来て女性陣は楽しげに飲み始めていた
ローソクに火を点すと照明が切られた
康太は子供達と共に力を合わせて火を吹き消した
榊原が上手にケーキを切り分けてお皿に乗せて行く
康太や子供のお皿にはイチゴ多目の生クリーム多目の部分だった
「おめでとう康太
君が生まれてくれた日に感謝します」
榊原はそう言い康太に口吻けた
「ありがとう伊織」
ラブラブに突入しそうな雰囲気になると流生が母に抱き着いた
「かぁちゃ おめれとーね」
「ありがとう流生!」
「かぁちゃ あいちてるからにぇ!」
「オレも愛してんぜ流生」
康太は流生の頬にチュッと口吻けた
榊原が「君にはあげません!」と康太を奪還する
「とぅちゃにょけち!」
流生が謂うと榊原は流生を引き寄せて
「そんな事を謂うのはこのお口ですか!」と言いお口をつまみ上げた
流生は「いにゃーい!」と暴れた
聡一郎が流生を抱き上げて
「伊織、止めなさい大人げない」と止めた
榊原は「聡一郎に怒られてしまいました‥‥」と淋しそうに呟いた
康太は榊原の頭を撫でてやっていた
太陽と大空も「「かぁちゃ おめれとーね」」と誕生日を祝う
「ありがとうな、ひな、かな!」
太陽と大空は母に抱き着いた
「ひなにぇ、かぁちゃらいすきよ!」
「かなもにぇ、かぁちゃらいすきよ!」
「おー!オレも大好きだぜ!太陽、大空!」
音弥もここぞとばかりに翔を誘い
「おとたんもらいすきよ!」
と言い翔を肘で突っついた
翔も「かぁちゃ らいすきれす!」と真面目に答えた
「音弥も翔もオレの大切な息子達だ
愛してんぜ!お前達を!」
康太が謂うと榊原が
「ねぇ、僕は?」と問い掛けた
子供達に張り合う榊原に真矢は大人げないと笑っていた
「伊織が一番愛してるに決まってるやん」
チュッと唇に口吻けを落とすと
榊原は子供達ごと康太を抱き締めて
「愛してます
奥さんも僕達の子も‥‥愛してます」
と言った
子供達は父に抱き着いて甘えていた
母と父に抱き締められ子供達は本当に幸せそうに笑っていた
夜も更けて子供達は眠る時間になると
流生は「ねぇ、ひょーろーきゅん‥‥いでちょにねよう!」と悪足掻きを始めた
音弥も「ちょうよ!ひょーろーきゅんいっちょにねよう!」と言い出して
後はもう寝てくれないと泣き出してやるからな!と言う止めようがない所まで来ていた
兵藤は「なら客間を半分片付けたら布団を敷くとするか!」と言うと
太陽が「かぁちゃもとぅちゃもいっちょにねてくだちゃい!」と頼み込んできた
康太と甘い時間‥‥
でも子供達の謂う事も聞いてやりたい
榊原は究極の選択をさせられる事となった
大空も「とぅちゃ‥‥らめれすか?」と悲しそうな瞳で榊原を見ていた
折れるしかない‥‥
榊原は「なら一緒に寝ましょう!」と折れた
甘い時間は何時でも持てる
子供達の時間はそう言う訳には行かない
何時か‥‥反抗期で一緒にいることさえ嫌う日が来るかも知れない
総て話したら恨むかもしれない
そしたら親となんて呼ばない!とか言って離れて行ってしまうかも知れない
だから一緒にいられる時は一緒にいたいのだ
榊原は康太を見た
康太は笑って「子供達に根負けするお前も愛してんぜ!」と甘い父親でいろよと謂う
康太の生まれ日
飛鳥井の客間で子供達と雑魚寝となった
甘い甘い時間は‥‥
父親でいようとする気持ちが勝って‥‥
バレンタインデーまでお預けとなった
康太の生まれ日は‥‥
こうして終わりを告げた
来年こそは甘い時間を送ろう!
榊原はそう心に誓った
happybirthday 康太
来年も
再来年も
10年後も
20年後も‥‥
一緒に愛が産まれた日を祝おう
ずっとずーっと共に祝おう
それだけが二人の望みだった
未来永劫愛してる
この想いは尽きる事なく降り積もる雪の様に‥‥
二人の愛を深くして行った
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