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第94話 HandClap
康太はYouTuberのはじめ社長がやっていたHandClapと謂うのを子供達と共にやっていた
応接間の大きなテレビに映像を写し出し
汗だくで踊る
子供達も見事に康太に続いて汗だくで踊っていた
流生が「かぁちゃ、きょれはきちゅいね!」と躍りながら弱音を吐く
「おー!めちゃくそキツいなコレ‥‥」
キツいなと謂いながらも康太は踊るのを止めなかった
康太は子供達を見ながら
「キツくても止めねぇぜ!
おめぇら最近、食欲の秋に便乗して榊原の家族や飛鳥井の家族、繁雄や貴史に美味しいの食わされ過ぎて太ったからな!」
ガビーン
太った
太った
太った‥‥‥‥
音弥は必死に躍り始めた
「おとたん‥‥でぶゅになりゅ?」
「このまま美味しいの食い続けたら養豚場のブーブーさん一直線だ!」
ガビーン
養豚場のブーブーさんは嫌だ
「ぶゅうぶゅうしゃんはいやら!」
音弥は必死に躍った
翔は「かぁちゃ ボクはぶゅうぶゅうしゃんじゃにゃい」と訴えた
日々修行している翔にとって暴飲暴食は無関係だった
幾ら食えと謂われても、己の自己管理出来ない奴が真贋を名乗るな!
と日々謂われてるからだ
康太は「翔、兄弟なら付き合いもある!」と謂った
「にゃら、ぎゃんびゃりましゅ!」
翔は汗だくで踊った
今じゃ音楽聞くだけで体躯が踊り始める程になっていた
太陽は「たのちぃね!」と平気な顔で踊っていた
太陽は音弥と何時も踊っているから、Dance位で音は上げない強い子になっていた
大空は正反対でぜーぜーと疲れまくっていた
「かな‥‥ふぁいとぉー」
自分を励まし
気力で頑張っていた
その横で流生も「ちへろ はいちぇも ぎゃんばぁー」と謂い踊っていた
一生は「そろそろ解放してやれよ!」と助け船を出すが
「一生、おめぇも油断すると腹回りがブヨりんになんぜ!」
と謂われると一緒に踊るしかなかった
結構キツい
大人でキツいんだから子供はもっとキツいだろう
聡一郎が応接間にやって来ると、慣れた風に康太と共に踊り出した
疲れを知らない四宮聡一郎はキラキラと踊っていた
一生は「お前、腹回りブヨりんやないやん!」と何故踊ってるのよ?と問い掛けた
聡一郎は笑って
「日々鍛練、僕は康太が動く時、より早く動いてみせる為です
慎一はもっと踊っても疲れませんよ?」
と、兄弟なのに君は腹回りブヨりんで踊ってるのですか?と言わんばかりの台詞だった
慎一が応接間にやって来ると、画像を止めた
「水分補給は大切ですよ!」
と謂いペットボトルを手渡す
一生は慎一に「お前、踊れるのかよ?」と問い掛けた
「ええ。主にHandClap教えたのは俺ですから!」
サラッと答えた
一生は驚き
「ええええ!どういう事よ!」と慎一に迫った
「オレの場合ダイエットではなく、より動ける様に日々鍛練してます
ジムにも通ってますが、時々康太といると美味しい食生活攻撃にあいますからね
それで動ける様に始めたのです」
「康太はあんで子供達に踊らせてるんだよ」
「祖父母ってのは甘い存在です
そして康太の回りには子供には甘い存在ばかりがいます
その甘やかしが子供達の体重を確実に増やしていたのです」
現実を聞けば‥‥
甘い存在は子供達が一番望むモノを与えて甘やかす
それを続ければ丸々の体型になるのも遠からずあるだろう
慎一の目の前には烈がフンフンと鼻息も荒く踊っていた
烈の場合、骨格が太くガタイが良いから余計にコロコロに見えるのかも知れない
一生は烈に「頑張ってるな」と謂うと
「いーおときょは ろろくをおちまない!」
とサラッと謂った
一生は爆笑した
一頻り汗を流す
ダンスを終えると何故か人が増えていた
サンルームをダンスが出来る様に改造して広くした
いつの間に来たのか玲香と真矢がダンスに参加していた
皆が汗だくになりダンスをしていた
ここ最近の飛鳥井の日課になっていた
康太は玲香と真矢に
「母ちゃんと母さんはシャワーでもどうぞ!
オレも子供達をシャワーに入れて来ます」
と謂いタオルで汗を拭っていた
流生はスポーツドリンクを飲みながら
「たいちょーのあとはおふゅろよねぇ~」とご機嫌だった
大空は床にベシャッと倒れ
「かな らいじょうび?」と音弥に心配されていた
翔は大空の汗を拭いてやる
そしてスポーツドリンクを手にするとお口に咥えさせてやった
流生は大空に「ゆっくりのむよろし!」と言ってやった
応接間で皆がダンスをするとワン達も嬉しそうに跳び跳ねていた
そしてダンスが終ると水を飲んでいた
ガルが大空の所へスキップしてやって来るとペロペロ舐めた
「がるちゃ‥‥」
大空はガルを撫でてやった
コオは年なのか疲れて丸くなっていた
イオリがペロペロとコオを舐めていた
康太は玲香に「母ちゃん最近生き生きしてんな!」と嬉しそうに謂った
玲香は嬉しそうに微笑み
「若さの秘訣は運動じゃからな!」と孫や我が子と踊れる時間が嬉しくて仕方がなかった
真矢も「最近、うちの事務所の子達も踊ってるからね、私も踊りたかったのよ
でもね一人だと挫折するし、他の誰かじゃ恥ずかしいものね
康太が踊っててくれて凄く楽しいわ」と嬉しそうに謂った
流生が真矢に抱き付き
「りゅーちゃもばぁたん いっちょらとたのちぃよ!」とスリスリした
真矢は流生を抱き締めて
「ばぁたんもよ!」と手の中の宝に口吻けを落とした
太陽は玲香に「ばぁちゃ おどりのあとはおふろよ!」と一緒に入る算段をした
玲香は「真矢、客間の風呂は大きい故に全員が入れる、行くとするかぇ?」と問い掛けた
康太は烈を抱き上げ
「お前ら、ばぁたんとばぁちゃの背中を洗ってあげるんだぞ!」
と指令を渡した
子供達は【あい!】とお返事をした
とても楽しい時間だった
愛する孫がせっせと背中を洗ってくれる愛しい時間
玲香と真矢は孫と共にその時間を大切に胸に抱き客間へと向かった
榊原は康太の汗を拭き
「君は僕が洗ってあげます」と謂い烈を抱き上げ寝室へと連れて行った
一生はそれを見送り「新婚やん」と呟いた
永遠の新婚
聡一郎は一生を起こすと「父さん、僕がお風呂に入れてあげましょう!」と笑った
慎一は「なら俺も弟の背中を洗ってやろう!」と謂い聡一郎と共に浴室に向かった
サンルームにはワン達が家族を見送っていた
ガルは元気に跳び跳ねていた
コオは丸くなり
イオリは妻の横を離れる事なく我が子を見ていた
飛鳥井の変わりのない日常がそこにあった
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