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第15話

 ステップアップして行こうといった言葉の通り、神野は豊島くんにエッチのレッスンをつけて彼を育てていく。  戸惑いこそあるにしろ、徐々に豊島くんも行為に慣れて来た。  神野の手に、唇に、慣れている。  甘い時間が流れる。  愛される幸せを実感する。 「好きだよ、豊島くん」  囁きはゆるい愛撫となって彼の胸元を辿っていく。丹念に乳首を舐められてくすぐったさに首を竦めた。  でもいやではない。  今ではそれが感じていることなのだと理解している。  なにより身体が受け入れている。  神野に感じているのだ。おかしいことも恥ずかしいこともない。  恋人同士の自然な求め合いなのだ。 「神野さん、俺も神野さんが……好きです」  だからもっと欲しい。もっと触れて欲しい。キスが欲しい。神野さんが欲しい。  豊島くんの手が神野の腕を引く。 「君もようやく欲しがることを覚えたね。いい傾向だ」  うれしさをにじませながら、それでも神野の施しはどこまでも優しく慈愛に満ちていた。  神野は本当に大人だった。気が長いとも、我慢強いとも言える。  それでも、豊島くんのあまりのスローペースに焦れてはいるのだろう。  だから彼から求められるのはことさらにうれしいのだ。  神野は手で豊島くんのペニスを優しく包む。 「ん、あん……気持ち、いい……」  いたいけな甘い声が恋人を煽った。  ベッドの上、伸びあがるようにして乱れる彼の手を押さえて取る。 「君も、私のものに触ってごらん」  促すと、意外にもあっさり豊島くんは手を伸ばした。触れて来る拙い感触が神野を奮い立てる。  それでも辛抱強く確認した。 「いやじゃない?」 「いやな訳ない、です」  いつも彼の中に入って気持ち良くしてくれる神野のペニスだ。愛おしい。  豊島くんは、空いている方の手でさらに強く神野の腕を掴んだ。  ぐっと引き付ける。  神野が、感謝のキスを頬にしてくれた。  それは甘くて眩暈がする。  自分は少しずつ神野のものになっていく。  神野の色に染められていく。  それがうれしい。  そしてそれを神野が喜ばしく思っているのが伝わって来て、さらにうれしくなる。  意識して手をすばやく動かしてしごくと、神野がうめき声を上げた。  自分の手が年上の恋人の呼吸を乱しているのだと思うと、高揚感が湧き上がって来る。  そして自分も恋人の手で乱されている。  巧みで熱心な愛撫。  ふたりで織りなす極上の快楽。 「豊島くん……、気持ちいい?」 「はい。とっても……。神野さんは? 神野さんこそ……、気持ちいいです…か?」  うまく出来ているだろうか。そんなことを気にしていると、神野はそれを見透かしたように優しい瞳で彼を見た。 「気持ちいいよ。最高だ」  ふたりは互いの性器を握り込んだまま、高まっていく。  豊島くんのものは神野の手の中で。  神野のものは豊島くんの手の中で。  充分に屹立していた。  射精の時が近い。 「俺……神野さんといっしょに……、イきたいです」 「かわいいね、君は……。素直で、いじらしい………。う、…うぅ……そろそろイくよ」 「あ、ああっ……そんなにしたら、だめぇ……」  激しい波に翻弄されながらも、呼吸を合わせるようにしてふたりは達する。  迸らせた精液が互いの手の中で絡まり合った。  ねちゃねちゃと卑猥な音を立ててさらに刺激し合う。  興奮していた。  身体の内側から快楽が溢れて来る感じだ。  だから、男の象徴がふたたび硬くなるのにたいした時間はかからなかった。 「今日は、舐めさせてくれる?」 「そんな……、ちょっと待って」  神野の要望に豊島くんは戸惑う。  戸惑っていながら、身体は神野に望まれたれたことにひどく感じていた。  自分は神野の手でどんどんいやらしくなってしまう。  でも、かまわない。  神野の前ならいやらしくなってもいい。  どんな恥ずかしいことでも受け入れる。 「………」  言葉にするのが恥ずかしくてただ小さく頷くばかりだった。それでも気持ちは伝わったようだ。 「気持ちよくしてあげるよ」  そのまま神野は彼の足のほうに顔を落として行く。  緊張している豊島くんの股間に顔をうずめ、彼の分身を手で支えた。舌先で、ソフトクリームを舐める時のようにそっと先端を舐める。 「あ、ああっ」  軽く電気が走ったような感覚。  気持ち良すぎて溶けてしまいそうだ。 「あ、あ、……あぁ」 「ほんとに君は感じやすいね。それに……とてもいい声を上げる」  どうやら褒められているらしい。  それは分かったがそれ以上の凄い感触に思考がはじけ飛ぶ。  気がつけば彼のペニスは神野の口の中にあった。  舌が鈴口のあたりを圧迫して来る。  すぼめた唇は卑猥な音を漏らしていた。 「すごい……」  過ぎた快感に呆然となる。  じゅぶじゅぶと舐められ、しゃぶられ、飲み込まれ、神野の好きにされていた。  神野が前に行ったようにこの行為はとても気持ちが良かった。  良くって、乱れてしまいそうだ。  ふと、思い出したように神野が口を放す。 「いやだったら言って。すぐにやめるから」  あくまでも紳士的な申し出に、彼は首を振っていた。  むしろフェラチオを中断されたことが物足りない。もの狂おしい渇望に彼は腰を振るわせて神野を誘った。 「神野さんの好きに、して」  満足そうな顔が豊島くんの恥辱と快楽とにまみれた顔を見つめ返す。 「それ、来るなぁ…。君の『して』は最高だね」  上機嫌で再び股間に顔をうずめ、唇を開く。豊島くんのペニスはまた神野の唇に招き入れられた。 「神野さん、好き……す…き………」  ねっとりとした愛撫に下腹部をくねらせながら、彼は恋人の名を呼び続けていた。

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