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( 3) 秘密の愛撫
今更、なんでヒナタはそんな事を持ち出すんだ。
オレは、すぐさま反論する。
「ヒナタ、確かに、オレ達はセックスはできない……でも、オレ達にはあれがあるだろ!」
「あれ?」
ヒナタは、人差し指をあごに置き、考える仕草をした。
しばらくして、ニヤッとした。
「チンチン合わせ?」
「ああ、それだ……」
「でもな……」
「でもって何だよ! ヒナタ!」
チンチン合わせとは、オレとヒナタだけの秘密の言葉。
確かに、オレ達はセックスは出来なかった。
でも、あの時、肌を触れ合う事の気持ちよさを知るには十分だった。
だから、オレ達は、オレ達なりの愛し合い方を模索した。
そして行き着いたのが、チンチン合わせ。
横になってお互いのチンチンを舐めあい、大きくなってきたチンチン同士を合わせて一緒に擦り付けあい一緒に射精する。
そんな、愛し合い方だ。
ちなみに、チンチン合わせの名付け親はヒナタだ。
それが、シックスナインとか兜合わせなどと言う名称があるなんて、当時は知らなかった。
だけど、それを知った今でも、二人だけの秘密の用語として使っている。
一つ、問題があった。
チンチン合わせは、手で押さえなくてはいけないため、抱き合う事が出来ない事だった。
ある日、ヒナタが小さい輪っかのようなものを持ってきた。
「これ、お母さんが使っていた髪留めのゴム紐なんだ。捨てるって言うからもらってきた」
ヒナタは、そういうとニッコリと笑う。
それから、チンチン合わせはゴム紐で二人のものをしっかりといばいて、抱き合いながらする様になった。
「ボク達のチンチンひとつになったみたい」
「そうだな。ヒナタのチンチンはオレのチンチン。オレのはヒナタのチンチンだな」
股間を突き出し、擦りあいながら、体を密着させる。
そして熱いキス。
抱き合いながら、いきそうな互いの表情を見て、一緒に絶頂を迎える……。
これがオレ達のセックスなんだ。
オレは、そう思う事で、ヒナタと恋人になったような気持ちでいた。
そのチンチン合わせ。
「ヒナタだって、チンチン合わせが出来ればセックスしなくてもいい、って言っていただろ!」
オレの主張に、ヒナタは、でもね、と不平を漏らす。
「だって……やっぱり、ボクはあの時のビデオみたいに、その……おチンチンを入れてほしいんだ」
「くっ……」
悔しい。
オレは、唇を噛んだ。
痛いくらいに……。
何故なら、オレはヒナタの気持ちが痛いほどわかるのだ。
それは、俺も心の中、いや、体は同じことを求めているのだから……。
でも、オレ達の絆は、互いに切れない絆で結ばれている。
そう信じている。
友達? 親友?
いや、そんなありふれた言葉では軽すぎる。
もっともっと大事な存在のはずだ。
それが、高々セックスができるというだけの奴に負けるというのか……
でも、一方で、そんな固い絆だからこそ、そんな心配は無用だ。
とも思う。
いったん、かあっとした気持ちをクールダウンさせる。
オレは、ヒナタに小さな男だと思われたくない。
嫉妬深いやつという、軽蔑の目を向けられたくない。
これはオレのプライドなんだ。
「……で、そのヒナタの好きな男の名前は? 教えろよ」
ヒナタは、少し間を置いて勿体ぶって言った。
「えへへ。蓮君」
蓮、だと!?
「お前! 蓮って、本気か?」
「うん。本気だよ」
「なっ、なんだって、あんな奴……」
「へへへ。だって、カッコいいもん」
ヒナタは、得意げな顔をした。
オレは、それが余計に腹が立つ。
「ヒナタ! オレは許さないぞ! あんな奴を好きになるなんて」
「……そんな事いったって、好きになっちゃったんだもん……」
ただ、男を好きになったと言うだけでもショックを受けているのに、よりによって蓮とか……。
オレは、両手で頭を抱え込んだ。
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