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( 4) ヒナタの思い人

ヒナタは好きだといった男。 山中 蓮(やまなか れん)。 蓮は、クラスの中では人気の男子の一人。 スポーツはそこそこ。勉強は中の下。 背は高く、体格はガッチリとしている。 確か、水泳部だったと思う。 とはいえ、それが際立った特徴かというと、そんな事はない。 一番の特徴はやはり、甘いマスク、と言わざるを得ない。 悔しいが、男のオレから見てもカッコいいと思う。 涼しげな表情で、意味もなく周りの者を魅了する。 という事で、女子からの人気は絶大。 現に、何人もの女子から告白を受けてはふっているという話を聞いた。 で、男子からの人気はというと、不思議とある。 普通は、嫉妬がらみで嫌われる、というのが相場だが、その強烈な女子とのコネクションに期待する下心丸出しの男子の支持を受けているのだ。 結局は、いわば顔がいいだけのもて男子。 別にこれだけなら、害は無いし、特に毛嫌う要素はない。 オレが気に食わないのは、目つきだ。 普段は虫も殺さないような優しい目をしているが、ふとした瞬間にギラギラとした目を向ける事がある。 オレは、それを見ると一瞬で背筋が凍りつく。 何か獲物を追うような目つき。 何か悪い物を胸の内に秘めている。 オレの本能が、こいつはヤバイ、と告げているのだ。 蓮の正体に気付いているのは、恐らくオレだけ。 ヒナタがどうして蓮を好きになったのか、正直のところよく分からない。 ただ、蓮は弱い者いじめや、人を色メガネで見るような事は一切無い。 ヒナタは、その辺に惹かれたのだろうか? いや、単にあの甘いマスクにか……。 どっちにしろ、オレの観察眼が間違っていなければ、ヒナタが悲しむ事は明白。 オレは、絶対にヒナタを守る。 蓮なんかにヒナタを渡すものか。 オレがヒナタを蓮の魔の手から守らなくてはいけないんだ。

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