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( 6) 前夜

オレとヒナタは、いつものように夕食後のくつろいだ時間をソファに座りながら過ごしていた。 テレビに集中するヒナタ。 いつも観ているクイズ番組。 オレは、この間を使い、さりげなくヒナタに問いかけた。 「なぁ、ヒナタ。明日のバレンタインだけどよぉ」 「なぁに?」 「本当に蓮にあげるつもりか?」 「そうだけど」 ヒナタは、どうして、今そんな事を聞くの? とでも言いたそうな表情をオレに向けた。 オレは、それに気づかない振りをして続ける。 「で、どんな風にあげるつもりなんだ?」 「どこで渡そうかな……そうだ、放課後に教室で上げよっと。むふふ」 ご機嫌な、ヒナタ。 上げる場面でも想像しているのか……。 悔しいけど、笑顔が余りにも可愛いくて、オレまでほっこりしてしまう。 これで、上げる相手が蓮じゃなければな……。 「ねぇ、航太」 「なんだ?」 オレは、突然のヒナタの呼び声にはっとした。 「航太って、だれか、チョコ上げたい子っていないの? 可愛いと思う子とか、気になる子とか」 「オレがか? てか、そもそもバレンタインデーって女子から男子にあげるんだろ?」 「そんなのどうでもいいじゃん。男子とか女子とか!」 「まぁ、そうだとしても、チョコをあげたくなるような子はいないな」 オレの回答に、ヒナタは頬を膨らませる。 「そんなのつまんない!」 「ははは。そういうなよ。ヒナタより、可愛い子がそうはいるかよ」 「もう! ボクをおだててもだめだぞ。航太」 「おだててなんてないって。ヒナタが一番可愛いって」 ヒナタは、ちょっと満足そう。 うんうん。 もっと喜んでいいんだぞ。 ヒナタは、しばらくニコニコしていたが、視線を天井に向け少し考え込んだ。 そして、口を開いた。 「じゃあさ、航太」 「なんだ?」 「カッコいいって思う人、いないの?」 ヒナタが言った意味がわからず、ポカンとした。 「へ? どうして、カッコいいなんて思うわけ? オレは男だぞ?」 「ははは。そうだよね。ごめん、ごめん」 「まったく、お前だって、チョコ、蓮じゃなくて、可愛い女子にやれよ」 ヒナタは、またそれ? というように目を細める。 「ふん。誰に上げようとボクの勝手でしょ!」 「なぁ、そうだけど……」 ふぅ……。 とりあえず、情報の聞き出しには成功した。 さて、この話題はさっさと切り上げて、早くヒナタとイチャイチャしたい。 「なぁ、ヒナタ。キスしようぜ」 「うん、いいよ! そうだ。それより、ねぇ、航太」 「ん? 何だ?」 「今日は、二人でお風呂入らない? それで二人でアレしようよ。チンチン合わせ」 「……おう、いいぜ」 「やった!」 無邪気に喜ぶヒナタ。 お前の笑顔を見ると、オレは心底ほっこりする……。 そっか、チンチン合わせ。 そういえば、最近してなかったな。 よし、今日はヒナタを最高に気持ちよくさせてやろう。 それにしても……。 バレンタインのチョコは放課後かぁ。 よし、いまに見てろよ。 あっと言わせてやるからな!

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