12 / 25

第12話

 そんな霧也の憤りが通じたのか、仁はベッドに座ると話しかけてきた。 「昨日は……」  どんなに謝罪しようと、許さないつもりの霧也だった。  一目置いた時期もあったが、所詮はお前もろくでなしだったんだ。 「昨日は、すっげぇ悦かった!」 「え?」 「お前の身体、最高。な、俺とまた、セックスしようぜ」  馬鹿を言うな、と大声を上げていた。  どうして、お前なんかと! 「じゃあ、これ。どうする?」  返事の代わりに差し出した仁のスマホには、霧也の痴態が。 「よこせ!」 「おぉっと」  スマホを素早くポケットに捻じ込んだ仁は、とんでもない提案をしてきた。 「俺ともう一回セックスしたら、この画像消すから」 「ッ!」 「一回だけでいいから!」  仁は両手を合わせて拝み倒している。その姿に、霧也は思わずくすりと笑った。  一回だけなら。  あと一回、我慢して済むのなら。 「……いいだろう」 「マジ!?」  喜色満面の仁の顔は、まるで子どものようだった。

ともだちにシェアしよう!