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第22話
「約束は守るぜ」
スマホに残されている、霧也の無残な姿。
仁は、その画像を削除した。
『俺ともう一回セックスしたら、この画像消すから』
私はその条件を飲んで、仁に抱かれた。
彼は約束どおり、写真を始末してくれた。
終わったのだ。
これで……、これでもう、仁とは……。
自分でも、混乱していた。
彼がもう、私を訪ねてこないなんて。
「俺さ、お前に惚れてた」
もう一度、仁は恥ずかしそうに告白した。
「一目惚れ、ってヤツ。結構モーションかけてたんだけど、気付かなかった?」
もしかして、例の不良たちに私が注意するたび、彼らを眼で恫喝してくれてたアレか?
何とも色気のないモーションだ。
「霧也は、マジ最高。顔だけじゃねえ。その男前なところがス・テ・キ」
「茶化すな」
頭もいいし、腰に手ぇ当てて牛乳一気飲みするし、ヤンキーにも堂々注意するし。
「そう言えば、あの後ひとりひとり呼び出して、ヤキ入れたって? 腕っぷしが強いところにも惚れた」
そして仁は、手にした缶コーヒーに視線を落として呟いた。
「画像の消去にかこつけて、恋人ごっこしてれば霧也も俺の事好きになってくれるかなぁ、なんて思ったけど、ダメだったな」
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