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第23話

 そんな思いで、私の元へ通っていたなんて。  身体めあてだったんじゃない。  仁は、私の事が好きだったんだ。  では、私は?  私も……仁の事を……。  心が揺れる。 「今まで楽しかったぜ。じゃあな」   仁が、行ってしまう。 「待て!」  霧也は、反射的に彼の腕を掴んでいた。  行かないで。  行かないでくれ 仁。 「コーヒーくらい、最後まで飲んでいってもいいんだぞ」 「あ、ありがと」  座りなおした仁は、睫毛を伏せている霧也に困惑していた。 (これって、脈あり、ってこと?)  コーヒーを飲んで気を落ち着かせようとしたが、心臓が早鐘を打って落ち着かない。  他愛ない話を交わしているうちに、コーヒーは飲んでしまった。  本当に、これで最後だ。  霧也は、ようやく正面から仁を見た。 「あの連中とは、縁を切ってくれ」 「……」 「そうすれば、考えないでもない」 「?」 「お前と、交際をしてみてもいい」

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