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夕飯も風呂も済ませて のんびりしていたら 龍煌のスマホが鳴った。 時刻は午後十時半。 『啓毅だ』 母さんとはまだ一緒なのか 別れた後なのか。 『出れば?』 龍煌が電話に出て スピーカーにした。 《兄さん、今いいか?》 《大丈夫だ》 《由姫梛さんの息子君が 恋人って本当に本当なのか?》 弟さんが疑うのも無理ない。 《ああ、本当だし 付き合い出してもう七ヶ月だ》 先月、あの店に行ったのは 半年記念を祝うためだったからな。 龍煌は律儀に 一ヶ月毎に祝ってくれる。 《因みに、息子君は今も一緒?》 此処にいますよ(笑) 《俺の隣にいるが そういうお前は彼女と一緒か?》 さっき、俺も思っていたことだ。 《一緒だよ。 息子君が電話に出ないって 由姫梛さんが言うから 兄さんにかけたんだ》 母さんから電話? 《わかった、紫音には後で かけさせるからと伝えといてくれ》 《わかった》 電話が終わり、 傍らに置いていたバッグから スマホを取り出すと弟さんの 言う通り、三件、母さんからの 着信が入っていた。 時刻は、ちょうど 風呂に入っているころだ。 『かけ直しな』 《もしもし、母さん 電話気付かなかったよ、何か用事?》 《啓毅君のお兄さんと話をしたくてね》 龍煌と? だったら、 弟さんに連絡先訊けばいいのに。 《俺を仲介しなくても 彼に訊けばいいじゃん》 《なんとなく訊けなかったのよ》 変なの…… 《わかった、代わるよ》 『龍煌、母さんが話たいんだと』 スマホを渡した。 そして、またスピーカーにした。 《先程は先に帰ってしまってすみません》 一応、悪いとは思ってたんだな(プッ) 《そんなことはいいのよ それと、これは親として 気になったから訊くけど 本当に紫音のことを愛しているのかしら?》 母さん!? 《啓毅から俺の歳を聞いたんですね(苦笑) 確かに俺達は一回り以上離れてますし、 どちらかといえば貴女の方が 歳が近いですからその心配もわかります。 ですが、俺は本当に紫音を愛しています》 多分、恋人が逆だったら そんなに年の差は さほど気にならなかったかもしれない。 もっとも、 俺達は最初から気にしていないが。 《母さん、 俺達は本当に愛し合ってるんだ》 スピーカーを解除し、耳にあてて話し出した。 《紫音……》 少し、気まずいムードのまま電話を切った。 あれ以上、母さんと話してたら 怒鳴っていたにちがいない。 『はぁ~』 無意識にため息が出た。 龍煌を愛しいる。 『紫音、寝室に行くぞ』 俺の今の気持ちに気付いてるのだろう。 何も言わずに二人で寝室に向かった。 あの後、明け方まで 離してくれなかったがそれが嬉しかった。 今日は月曜日だが創立記念日で休みだ。 しかし、龍煌は仕事だ。 『このまま、龍煌が 帰って来るまで居ていいか?』 母さんと気まずい…… 『本当なら、帰さなきゃ いけないんだろうけど 紫音が居たいならいていいぞ』 『ありがとうな。 気をつけていってらっしゃい』 玄関まで見送った。 『いってきます』 短いキスをして龍煌は仕事に行った。 *~*~*~*~*~*~*~*~*~*~* それは、弟さんから来た電話で発覚した。 龍煌が仕事に行き、午前中は のんびりと過ごしていた。 お昼頃、突然、スマホが鳴った。 ディスプレイに 表示されていたのは“啓毅さん” 龍煌の弟で母さんの恋人だ。 電話に出ると慌てた様子で 母さんの居場所を訊かれた。 《啓毅さん、落ち着いてください》 あの後、何があったんだ? 《今日、由姫梛さんと 買い物に行く約束をしてたんだ》 啓毅さんの話によると 今日は朝から買い物に行く 約束をしていたのに 迎えに行ったら家にいなかったらしい。 俺は一つ思い当たることがあった。 恐らく、母さんは土狩の家に 無理やり連れて行かれたに違いない。 母さんの父親である土狩功夫は 俺と死んだ父さんをとにかく嫌っていた。

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