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「なぁ、それって地毛?」 ハジメちゃんに言われた席に座るとすぐ、隣から声をかけられた。そちらを見てみると頬杖をついてこちらを見つめる、耳に沢山のピアスがあいた金髪の少年。 「そうだよ」 「目も?」 「うん」 まぢかよすっげぇー、そう頬杖を付いたまま緩く笑う少年は笹倉要というらしい。笑った時の八重歯がちょっと可愛い。 チャイムと共に一時間目のハジメちゃんの生物の授業が終了する。初めての教室で受ける授業は通信での授業と内容は変わらないが、自分以外の生徒がいるというのが新鮮だった。 で、さっきから目の前にいる俺をめちゃくちゃガン見しているこの少年はなんだろう。 チャイムと同時に凄いスピードで俺の目の前に現れてから、ずっとこの状態だ。ちょっと鼻息が荒い。どうしたものかと見ていると、隣から声がかかる。 「凌、程々にしとけよ」 「無理だよ要!!やっと、やっときた王道主人公だと思ったのに、、、っ!なんで!なんで変装してないのぉおぉおお!!!しかも!!あの!TOKIWAグループって!!!!それは隠しといて後後に然るべきイベントでうっかり素敵な攻め様に暴かれる秘密でしょーーーーっ!?!?」 「!?!?」 え、何この人。・・・何この人!!いきなり大声でよくわからない事を叫び始めた。怖い。なんで要くん普通にしてるの?え、何この人。 「ほら、常磐が引いてるぞ」 「あぁああああ!ごめんね常磐君!あまりに君が理想の王道総受け主人公にぴったりだったもので興奮しちゃって!!!俺姫路凌って言うんだよろしくね!」 「よ、よろしく」 要くん曰くこの姫路凌は腐っているらしい。腐ってるって何、ゾンビ?こんな生き生きとしてマシンガントークなゾンビはいないと思うけど。 その後もなんの問題も無く授業は行われ、休み時間には色々な人に声をかけられ(姫路くん率高め)、気付けば昼休み。 食堂に行くという要くんに便乗して、一緒に食堂に連れて行ってもらうことにした。何故かまた鼻息を荒くした姫路くんも一緒。要くんと姫路くん、系統は全然違うけど同室で結構仲がいいみたい。意外だ。 食堂を利用する生徒は多いようで、なかなか混みあっていた。入口付近にある券売機で食券を買い、カウンターに持っていくと厨房からどんどん料理が運ばれていく。食券とか初めて見た。オーダーを取る必要がないし、料理は自分で運ぶからウェイターはいない。厨房には食べ盛りの男子高校生のためにフライパンを振るう料理人が30人程。よくこんな大人数の料理を少ない人数で捌いているなと感心する。 「なんかマックとかで並んでハンバーガー買う時の気分」 「・・・常磐の坊ちゃんがマックに行くのか?」 「本当普通なら金持ち学校の食堂って言えばタッチパネルが付いてて料理はウェイターが運んで来るでしょ。そこでいつもはお坊ちゃん達の横暴な態度にウンザリしてるウェイターのイケメンのお兄さんに王道君が"ありがとう"って笑顔でお礼とか言っちゃってキュンっみたいな!」 また何かのスイッチが入ってしまった姫路くん。ブツブツと何かを呟き続けているのでとりあえず放置。受け取った料理を持って辺りを見渡すが、混んでいて席が見つからない。どうしようかと考えていると、 「あの!良かったらこの席使って下さい!」 「え、いいの?君達ご飯まだじゃない?」 「僕達向こうに友達がいるので相席させてもらうから大丈夫です!」 近くの席に座っていた二人組はそう言い席を譲ってくれた。何だか悪いなぁと思いつつもお礼を言い、有難く席に座らせて貰う。ここの学園の生徒は優しいなぁ。 「イケメンってこういう時便利だな」 「常磐君ナイス!チワワ系男子に席を譲られるなんて、小さいけど良い萌えをありがとう!!!」 「どういたしまして?」

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