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だって男の子だもん

食事会は二時間程で終了し、今日は授業も無く解散となり各々自由に過ごす。明日が土曜日という事もあり、元気な者はそのまま外泊届けを出し山を降り街へと行ったり実家に戻る者もいた。が、大半の生徒は朝から走り回った疲れで、寮に戻り休息をとっている状態。 自称体力60代の俺も勿論、寮に戻り自室で寛いでいる。そして嵐ちゃんはまだ戻ってきていないので、今は珍しく一人だったりする。 この一週間、いや編入や入寮の手続きなどでバタバタしていたこの三週間程、あっという間だった。夜はしっかり寝ているが肉体的には勿論精神的にも、自分では気づかないうちに気疲れしていたのだろう。身体が重くて動きたくない。 しかし困ったことに脳は興奮状態が続いているのか眠くならない。普段はいくらでも寝ていられるのに。そして更に頭を悩ませるのが眠れない原因の一つだと思える、下半身の疼き。 別に今はそんな気分ではない。なのに何故か元気な俺のムスコさん。いや、確かに忙しくて放ったらかしだった。でも今じゃない。今じゃない!! 「・・・寝れないじゃんっ」 もぉ〜・・・。俺は一人でスるのが苦手なんだ。というより、一人でシた経験がほとんどない。今までは定期的に誰かと行為を行っていたし、自慢にならないが俺は一人でイくには相当の時間がかかる。むしろイく前に諦める。だから苦手というより出来ないと言った方が正しい。 「このままじゃそのうちちんこ爆発する・・・」 「何馬鹿なこと言ってるんだよ」 いつの間にか帰ってきていた嵐ちゃんに俺の呟きが聞かれてしまった。そんな呆れた顔をしないで欲しい。俺は今珍しく本気で悩んでいるのに。 「スるなら部屋でやれよ」 そう言い残し自室に入ってしまった嵐ちゃん。もしかするとベッドに横になれば寝れるんじゃないかという希望を込めて、俺も自室に篭ってみようかな。そう思うが身体が重く動く気になれない。天井を見つめぼーっとしていると、先程まで眠く無かったのが不思議なくらい自然と瞼が下がってくるのを感じた。あ、これは寝れる・・・そう感じた時には既に瞼は閉じきっていた。 (嵐太郎視点) 自室のベッドに転がる。レイラが来てからは寝る時以外は大体共同スペースにいるので、こうして何をするでもなく自室にいるのは何だか不思議な感じだ。 どんだけ綺麗な顔をしていても、中身は普通の男。ま、多少世間知らずでズレた所もあるが。溜まるものは溜まるのだろう。 一応気を利かせて部屋に入ってみたが、共同スペースからは物音も無く、レイラが自室に戻った様子もない。 余計な気遣いだっただろうかと思いつつ、ついレイラが一人でしている姿を想像してしまう。 あの白い肌がほんのり色付き、切なげに眉を顰めて自らを慰める細い指先。快感に潤んだあのアメジストの瞳にみつめられようものなら・・・ 「・・・たまんねぇな」 思いの外リアルな想像をしてしまいため息が漏れる。初めはただ見た目がタイプだった。まだ一週間だが、一緒に生活をしていく中で、少し我儘だが会って間もない俺に心を開き甘えてくる姿が、可愛くて仕方なく思えてきた。 三兄弟の末っ子だと聞いて納得する位には甘えるのが上手で、しかし甘えるだけでなくよく気の利く男でもある。周りのことがしっかり見えているのだろう。 レイラと接して負の印象を持つものは居ないのではないかと思わせる程に、驚くべきスピードでこの学園に馴染んでいくのを感じる。 色々な交流を深め、初めての体験に笑顔を見せる姿を目撃する度に、それを独り占めしたい気持ちが生まれる。 (俺もだいぶこじらせてるな・・・) まさか自分がここまで一人の人間に想いを寄せるとは、先週までは全く思っていなかった。しかもこんな短期間で。 数日前に勢いでキスをしてしまってから積極的に距離を近づけてみている。しかし最初こそこちらを意識していたレイラだが、すぐに当たり前のように受け入れてしまい、今ではキスをしても特に変わった反応を見せない。俺の顔は好きなのか頻繁に褒めてくるが、キスした時の様子を見るに恋愛感情は無さそうだ。残念ながら。 (嵐太郎視点終了)

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