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likeとlove
あれから熱が下がるのに四日かかり学校を休んだ。教室に置きっぱなしだった荷物は要と凌が届けてくれ、かなり心配を掛けたみたいで凌の反応が少しウザかったのは内緒。
あの日から変わった事がある。それはまず、学校にいる間殆どどこに行くにも要か凌、若しくは二人共が必ずいる。元々一緒に行動する事が多かったけど、更にだ。トイレにも着いてくるし、ちょっと用があって騎麻に会いに行ったり、職員室に行ったり、何処にでもだ。
それから、学園内で嵐ちゃんに会う確率が上がった。今まではお昼にたまに食堂で見かけるくらいしか学園内で会うことは無かったのに、最近では一日に最低二回は遭遇する。
そして最後に、あれから毎日嵐ちゃんと一緒に寝るようになった。熱が下がるまでの数日は心細さから一緒に寝てとお願いしていたが、元気になった今も変わらず一緒に寝ている。細身だけど身長はある俺と、身長も厚みもある嵐ちゃんが寝るには狭かったベッドも、実は先週ダブルベッドに変更済だったりする。本当はキングサイズを置きたかったけど、流石に寮の部屋には収まらなかったので断念。
「え、レイラ君と結城先輩っていつの間にくっついたの!?俺聞いてない!!」
「別に付き合ってないけど?」
その話をした時の凌の飛びかかるような勢いには驚いた。久々に見る鼻息の荒い凌に何だか出会った初日を思い出す。
「いやいや、一緒の部屋で一緒に寝てて?しかも学園内会う時の結城先輩のあの好きな子を見つめる表情で!?絶対結城先輩レイラ君の事好きじゃん!!」
「俺も嵐ちゃん好きだよー」
「相思相愛っ!!!!」
「凌、うるせぇ」
テンションが上がりすぎて要からお叱りを受ける凌。実際嵐ちゃんは俺の事を好きだと思う。そして俺も間違いなく嵐ちゃんが好きだ。
「俺、要も凌も好きだよ?」
あと騎麻と響ちゃん、委員長改めこのくんも好き。そう言うと何故か要に溜息をつかれた。
「凌が言ってた結城先輩の好きは恋愛感情の好きだろ」
んー、嵐ちゃんが俺を恋愛感情で好き?そうなのだろうか。実は俺、今まで彼女は何人かいたけど普通の好きと恋愛感情の好きの違いがいまいちわからなかったりする。
好きな人は好きだし、それ以外の人は嫌い、もしくは知らない人だ。確かに好きな人の中でも更に好きというのはあるけど、それが恋愛感情かと言われると、多分違う。そう言うと、
「キスしたいとか触りたいとか抱きしめたいとか!そういう気持ちがある好きは!?」
「んー、可愛い子にはキスしたいし、おっぱい触りたいって思うけど」
「はいっ!それはただの欲望です!!」
このおっぱい星人め!と何故か罵られた。え、男ならおっぱい好きでしょ普通。凌はお尻派なのかな。お尻も良いけどやっぱり俺はおっぱいかなぁ。大きさよりも形と柔らかさが大切。大きくても垂れてたら駄目だし、控えめでも触り心地が良ければ問題ない。
「いや、お前のおっぱい談義はいいから。つかまずさぁ、レイラってノーマル?」
「え!もちろん男もOKだよね!?愛に性別は関係ないよね!?」
そういえば今まで聞かれたことが無かった質問だ。多分この学園に初等部からいる二人からすると忘れていた事実なのかもしれない。世の中では普通、恋愛は男女でするものだという事を。まぁ最近では同性愛も少数派とは言え増えてはいる。それでもやはりカップルは男女を表す言葉だ。
「今まで女の子としか付き合ったことないよ。でも男が嫌って訳では無いから多分バイかなー。二人は?」
「俺は恋愛対象は女の子!観察対象は男同士のホモップルだけど!」
「俺はゲイだな。女には勃たねぇ」
まさかの発言。あんだけ男同士に騒いでいる凌がノーマルで、全然興味の無さそうな要がゲイだったとは。というか稜、今さっき愛に性別は関係ないとか言ってたくせに。
二人はお互いに知っていたのか驚いた様子はない。人間イメージだけではわからないことがいっぱいだな、うん。
「要のタイプは?俺とかは?」
「お前は無理。俺は中性的なのよりどっからどー見ても男だってわかる奴が良い」
「え、なんか今告ってないけど俺フラれた!」
何かショック!!
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