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ファンクラブからの呼び出し?
「という理由で、昨日から嵐ちゃんと付き合う事になりました〜」
次の日教室に着いた俺は早速要と凌に報告した。
「やっとか」
「うわわわっ!おめでとーー!!何何この急展開!?ゴールデンウィークに会った時は何も言ってなかったよね!?どういう流れでそうなったのかちょっとそこんとこkwsk!!!」
うんうん、予想通りの反応だ。とりあえず昨日の付き合うに至るまでの話を大まかに話す。勿論俺が号泣した所は恥ずかしすぎるのでガッツリ省かせてもらったけど。
「ま、ざっとこんな感じかな」
「ご馳走様です!!で、同室者から恋人になって何か変わった?」
いや、ご馳走様ですって何。気にしちゃダメか。んー、何か変わったのかと言われると、多分何も変わってない。
昨日もあの後は軽くご飯を食べて、いつも通り嵐ちゃんの膝枕でソファでだらだら過ごし、いつも通り一緒のベッドで寝て、いつも通り今日も嵐ちゃんのキスで朝起こされた。結果何もかもいつも通り。
「あ、でもいつもよりキスしてくる回数多くなったかも」
「いや、まずいつもキスしてたのかよ」
「付き合う前から人目を忍んでこっそりキスを交わす二人・・・。軽い戯れのつもりがいつしか本気になってしまった結城先輩は欲望のままにレイラ君を押し倒し・・・!!!」
何勝手に物語作ってんだと言いたいところだけど、実際に押し倒されて、しかも流された経験があるため作り話だとも言いきれない。凌の妄想力恐るべし。
チャイムが鳴ったので話は一旦終了。それぞれ席に着く。
俺達の関係は変わらない。変わったのは周りからの俺達の呼び名だけで、俺達には別に元々友情とか愛情とかの区別なんか無かったんだと思う。まあ、ほとんど毎日キスしてた仲だし?
ただ嵐ちゃんと一緒に居たくて、触れていたくて、大切にしたくて、誰にも渡したくない。それをどう言葉に表せば良いかが分からなくて、存在する言葉にあえて当てはめたら、それが愛だったんだろう。ただそれだけの事だ。
放課後、部活前の凌と要の三人で教室で喋っていると、廊下が少し騒がしい事に気づく。
「レイラ」
「あ、嵐ちゃん!」
珍しく一年の教室に姿を現した嵐ちゃんに教室内がザワつく。あれ?俺嵐ちゃんと何か約束してたっけ?
「この後、俺のファンクラブの連中と会ってくれないか?一応お前の事話したら、一度会って話したいって煩くてな」
「へぇー!嵐ちゃんのファンクラブ!全然いーよー」
嵐ちゃんのファンクラブと言えば、確か嵐ちゃんに憧れを持つ、男の中の漢を目指す人達の集まり、だったっけ?俺に話って何だろう。
「要、凌、そういう事だから俺行くね〜また明日〜!」
近くにいた二人に声をかけ、嵐ちゃんと一緒にファンクラブの人達と約束してるらしい寮のトレーニングルームへと向かう。待ち合わせ場所まで何だか男臭い感じでちょっと笑える。
「要、あれってファンクラブからの呼び出し!?レイラ君大丈夫かな!?!?」
「結城先輩が呼びに来る位だから大丈夫だろ」
教室でそんな話がされている事を全く知らない俺は、そういえばファンクラブに入ってる人と話したことないなーなんて呑気なことを考えながら歩いていた。
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