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「随分と短くなったな」 メールで安ちゃんに髪を切ってもらうことは伝えていたので、あまり驚いた様子のない嵐ちゃん。長さを確かめるように頭をわしわしと撫でられるが、いつもよりもするすると指が通る。 「どう?」 「長いのも良いけど、短いのも良い。似合ってる」 「ありがと〜」 うんうん、嵐ちゃんならそう言ってくれると思った。久々に短くなった髪にとても満足だ。ただの思いつきだったけど、良い気分転換になった。 頭を撫でていた手が首筋まで降りてきて何かを考えるような様子の嵐ちゃんに首を傾げる。どうしたんだろう。 「髪型だけ見ればヤンチャな感じなのに首筋が全開で少しえろいな」 嵐ちゃんのこういう発言には慣れた。多分嵐ちゃんはそんなことばっか考えてるから、見た目にもえろさが滲み出てるんだと思う。みんな騙されてるぞ。 「あ、嵐ちゃん球技大会何に出る?」 今日のホームルームの時間での事を思い出す。梅雨がもうすぐ明けるという来週に行われる、球技大会の種目決めが行われた。 「俺は毎年バスケだな」 「一緒だ!俺もバスケになったよー」 嵐ちゃんと一緒に騎麻もバスケに出るらしい。響ちゃんは別でテニスに出るんだとか。とても似合う。 「お前バスケなんてやったらすぐ吹っ飛ばされるんじゃないか?」 「それ要にも言われたから」 そんな簡単には飛ばされないけど、流石に嵐ちゃんや騎麻のように体格の良い人間にぶつかられると一溜りもないだろう。やはりそうなるとウェイトのある人にはかなわない。 「俺は遠くからの遠距離攻撃派だから大丈夫」 態々身の危険を侵さなくても遠くからだって点は取れる。だけど、2-Sは嵐ちゃんと騎麻がいるのか。身長的にも強敵だけど騎麻の運動神経も知っている俺としては、あまり戦いたくない相手だ。 しかも嵐ちゃん達は去年バスケで優勝したらしい。殆どクラス変えをしてもメンバーの変わらないSクラスなので、今年も去年と同じメンバーなんだとか。それはかなり手強い。 「ーというわけで、2-Sは去年の優勝メンバーで今年も出るそうです!」 次の日、体育の時間はそれぞれの種目に分かれ練習を行うことになった。今はバスケに出る五人で体育館の隅に集まり作戦会議中。 ちなみにメンバーは俺、要、バスケ部のみっちゃん、ゆっきー、バスケ経験者の大ちゃん。 「俺達もメンバーは悪くないんだけどなぁ」 「いやでも、会長って運動神経超人級だよな」 「結城先輩も万能だし」 「バスケ部の先輩も出るって言ってたぜー?」 初等部から学園にいるためみんなだいたいの実力は把握済みのようだ。 「ここは実力値未知数のレイラがどれだけ動けるかにかかってるんじゃないか?」 チームのキャプテン的存在のみっちゃんが期待の眼差しでこちらを見てくる。 「とりあえず試合でもしてみる?」 話しているよりも実際にしてみた方が実力はわかるだろう。近くで休憩中だったクラスメイトに一時的に来てもらい3対3に分かれる。俺のチームは要とゆっきーだ。 「要、ゆっきー、」 始まる直前に二人を呼び止め、小さな声で周りに聞こえないように耳打ちをする。 「そんなことして大丈夫かよ」 「大丈夫だいじょーぶ!よろしくね!」 相手チームからのボールでスタートだ。

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