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優勝しちゃうかもよ?

「お前バケモノかよ」 10分間の試合を終えて最初に掛けられた言葉がこれだ。バケモノって・・・他にもっと言い方があると思う。 始まってすぐに大ちゃんがドリブルでゴールに攻めて行き、止めに入ったゆっきーを交わしてゴール下のみっちゃんへとパスをする。やはり経験者達は動きもパスもスピードがあるなぁと呑気に観察する。そのままシュートが決まり、先行得点を取られた。 しかし、相手チームの勢いはここまでだった。ボールを持ったゆっきーが要にパスをし、そこにすかさずマークに入ったみっちゃんだが、ボールはゴールとは真逆の方向へと飛んでいく。パスミスだと思われたそれは、実はゆっきーがボールを持った時点で反対に向いて走り出していた俺の元へと届く。 受け取ったボールをすぐさま高く放り投げる。そして高く弧を描いて落ちるそれは、そのままリングの中へと吸い込まれていった。 その後も至る所からシュートを決める俺に要もゆっきーもボールを集めてくる。受け取ったボールを全てリングに収め、たまには自分からもボールを奪いに行く。 18-7で俺達の圧勝だった。 「待て待て待て、聞いてないぞレイラ!!」 「レイちゃん会長並の超人技じゃん!」 みっちゃんと大ちゃんが信じられないものを見るような目で詰め寄ってくる。騎麻は確かにスポーツ万能だ。が、バスケなら騎麻と1対1で勝負した場合、勝率は7割5分くらいで俺が勝つだろう。 「俺ストリートバスケばっかやってたからね、あれって普通のバスケより無法地帯じゃん?」 やっぱりストバスの本場はアメリカだけど、ヨーロッパでもバスケは人気だ。小さな頃からカエラ達とストバスに行って遊んでいた俺の動きは、チームに入って練習しているプレイヤーには予想が難しく対応しづらいらしい。 「レイラがボール持ったら体当たりでもしない限り止められないぞあれは・・・」 「体当たりはファールだから」 お互い味方で良かったと声を合わせる面々。体当たりなんかされたら俺は軽々とふっ飛ぶぞ。 「って、これ優勝もいけるんじゃないか?」 全員がこちらを見る。まあ、ボールさえ確保出来れば点を取る自信はある。だけど、みんな大切な事を忘れていると思う。 俺は、体力がない。 俺が活躍出来るのは20分間の試合の中で、頑張っても15分・・・いや12分くらいだろう。フルで動き回るのはほぼ100%不可能だ。しかし、盛り上がっているみっちゃん達にそれを伝えると、 「5分くらい俺らでどうにかするよ!それまでにバンバン点稼いでくれ!」 笑顔で肩を叩かれる。いや、5分じゃなくて8分ね。むしろ試合時間の半分くらいは俺は居ないものと思っていてほしい。 「死ぬ気で20分間走りきれ」 要はたまに俺に対してすごくドSになる。

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