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そうだ、引越ししよう

「へぇー!じゃあバスケは優勝の有力候補だね!」 「凌のサッカーはどう?」 「俺達もなかなかいい所まで行くと思うよ!」 体育の時間が終わり、外でサッカーをしていた凌と合流する。実は球技大会でも優勝すると景品があるらしく、歓迎会以上の盛り上がりを見せている。 「そういえば歓迎会の時のお願い券使った?」 お願い券。凌に聞かれるまですっかりと忘れていた。そういえばそんなものもあったな・・・。 「凌は使ったの?」 確か誰かのデートを一日観察するとかだっけ?嫌な願い事だ。 「それがデートに密着はやっぱ許可が降りなくてさー、」 まあ、当たり前だろう。本当にそれをお願いした凌には驚きだけど。 「代わりに寮の部屋に本棚増築してもらった!」 凌は読書が好きで前に部屋に遊びに行った時にも、部屋には大量の本が山積みにされていた。あの量が入る本棚といえば、なかなかのサイズになるだろう。 「やっとリビングが片付いたわ」 「最近部屋から溢れちゃってたからねー」 同室の要も部屋が奇麗になったと嬉しそうだ。 俺もせっかくもらったお願い券なので、何かに使いたい。何がいいかなー・・・あ、一つ思いついた。 「嵐ちゃんと一緒に一人部屋の方に引越ししてもらおっかな」 生徒会や役職持ちだけに与えられる一人部屋は、二人部屋よりも区切りが少ないので部屋が広々としている。元々の広さも二人部屋より少しだけど広く、何よりお風呂場がゆったりサイズだ。 現在俺の部屋は寝室、嵐ちゃんの部屋は荷物置き状態で特に自室の括りのない状況だ。 「で、騎麻に聞いたら使ってない一人部屋あるし、嵐ちゃんが良いならいいよーって」 却下される可能性も考え、先に騎麻に聞いてみると大丈夫そうだった。騎麻とも部屋が近くなるので、その分安心でもあるらしい。 「なら引越すか」 「あっちならキングサイズのベッド置けるよー!」 よし、決まりだ。部屋はクリーン済みで荷物の移動も学園側がしてくれるらしいので、明日学校に行っている間にでも引越しは完了出来るみたい。 「引越しするならついでに部屋の模様替えでもするか?」 「いーね!だったら土曜日に久々に街の方に降りて買い物行こうよ!」 「そうだな、たまには外出するか」 久々の外出にうきうきする。学園に来てから数回街へは遊びに出かけたけど、ここ最近は雨が続いていたので休日も部屋に篭もりっぱなしだった。天気予報によると土曜日から梅雨明けの予報になっているので丁度良い。 「うわー、久々に晴れたと思ったら急に暑くなったなぁ・・・」 予報通り晴れた土曜日。初夏を感じさせる気温に少し気の引ける思いだ。日光が得意じゃない俺は、暑いのも苦手。日に当たるとすぐに肌が赤くなる。一応出かける前に日焼け止めをたっぷりと塗ってきたけど、心配なのであとでもう一度塗り直そう。 黒のスキニーに上は白いTシャツにダメージの入った薄手の黒いニットを重ね着し、足元は歩き易い赤のスニーカーで纏めた俺の横で、黒のジョガーパンツに黒いスニーカー、ゆったりめの白のロゴTシャツを合わせた嵐ちゃんが暑そうにTシャツの袖を捲っていた。 「今でこれとか、夏どうなるんだよ」 嵐ちゃんも暑いのは苦手なようで、まだ街についたばかりなのに若干ぐったりしている。

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