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新居へようこそ

「さ、ここが今日からお前のお家だよ〜」 一通り買い物を終えた俺達はペットショップで子犬を引き取りタクシーで学園まで戻った。タクシーの中で寮の管理人の玄さんに連絡はしていたので、そのまま部屋まで子犬を連れ帰る。 「気に入ったティノー?」 タクシーの中で付けた子犬の名前を呼ぶ。柔らかな白金の毛色に因んで、イタリア語で白金を意味するプラーティノから"ティノ"と名付けた。 ピンポーンとチャイムが鳴り、嵐ちゃんが玄関へと向かう。 「お邪魔します!」 「うわ、本当に犬連れて帰ってる」 「レイラ君久しぶりー!」 声を聞き振り返るとそこには生徒会のメンバーが揃っていた。 「みんな揃ってどうしたの?」 「ゴールデンウィークに撮影したやつが完成したから、みんなで見ようと思って持ってきたんだ」 そう言いのいちゃんが持っていた数冊の冊子を机の上に広げる。そういえば撮影の時に、記念に冊子にしてくれるとのいパパが言っていたのを思い出す。 「あの時はケイは来れなかったけど写真見たいって言うから、どうせならって思って二人の新居に遊びに来ちゃった」 「突然押しかけちゃってごめんねレイラ君」 「そうなんだね!全然いーよー」 とりあえずソファやカーペットにそれぞれ好きに座ってもらい、嵐ちゃんがグラスと飲み物を運んでくる。ティノを騎麻に預け、俺もキッチンの棚に仕舞ってあるお菓子を探しに行く。 「随分と可愛い住人が増えたもんだね」 「本当に可愛いですねー!」 生徒会の癒し系コンビの響ちゃんとケイが騎麻の膝の上のティノを優しく撫でる。ティノは緊張した様子も無く、大人しく頭を撫でられていた。いい子。 「理事長もよく許可くれたな」 「まあ、レイラのおねだり攻撃に勝てる大人はそうそういないからね」 「理事長もレイラ君には適わないってことか〜」 俺がお菓子を用意している間に嵐ちゃんがゲージを組み立て終えてくれ、その中にふかふかの毛布を敷きティノを中に入れる。長時間車に揺られて疲れていたのか、すぐに毛布の上で丸くなり寝る体制を取り始めた。可愛い。 「じゃ、早速見てみよう!」 冊子を手に取りまみちゃんが最初のページを開く。そこには単体やペアで撮ったもの、待機中の談笑している姿など、様々な写真が一冊に閉じ込められていた。 「わ、この騎麻先輩かっこいい!」 「この嵐太郎色気出すぎじゃない?」 「こっちの響ちゃんもセクシー!」 「レイラ君のこの表情!」 お互いの姿を褒め合いつつ、みんな少し気恥しそうに写真を見進める。 「やっぱレイラはモデルをやってるだけあって、写真のオーラってか、迫力が違うな」 「うん、騎麻達も一般人離れしたレベルだけど、レイラ君はなんかもう次元を越えちゃった感じ」 次元を越える、それは実は撮影の度に言われる言葉だったりする。元々の珍しい髪や瞳の色がカメラを通して見ると、更に幻想的に、現実離れして見えるらしく、異次元を写している気持ちになるとか。まあ、我が家にはこの顔いっぱいいるんだけどね。 で、その写真もどこか幻想的で不思議な印象を放つものになる。なのでカレンちゃんのT.KRNのモデルをする時は、口元まででカットしたり目元を隠すようにして印象を和らげていた。 なので今目の前にあるような、全身がしっかりと写った状態のモデルの写真は、自分でもあまり見たことが無かったりする。 確かに俺、天使かも・・・と自分で恥ずかしい事を思ってしまう程には、幻想的な雰囲気を漂わせているものだった。

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