58 / 311
3
「バスケは順調に勝ってて午後は2-Sと決勝だ」
「サッカーも午後は準決勝の試合からスタートだよ!」
「ごめん、テニスはケイしか勝ち残ってないわ」
「バレーも午前の最後の試合で3-Eに負けちゃった〜」
午前の試合が終了し、教室でそれぞれの種目の成績を確認しつつ昼食をとる。今日は食堂の料理人による弁当が全校生徒分用意されているので、みんなでわいわいしながらのご飯は楽しい。
「午後も試合が残ってる奴は気合い入れろ!出番の無い奴はそれぞれの種目にバラけて応援で盛り上げるぞー!!」
『おー!!!』
体育委員のみっちゃんの掛け声にみんなで一斉に拳を振り上げる。1-Sはとても仲が良い。
「レイちゃん体力の方はどんな感じ?」
「疲れては来てるけど今のとこアドレナリンで押し切れそう!!」
「よし!次の決勝は頼んだぞ!!」
次はとうとう決勝戦。予想通り対戦相手は騎麻と嵐ちゃんのいる2-Sだ。負けるつもりは無いけど、予選のように簡単に勝つことは難しいだろう。
「燃えるね」
「よう、しっかり勝ち抜いてるじゃねぇか」
「嵐ちゃんもね!」
お昼休憩が終わりとうとう体育館ではバスケの決勝戦が始まろうとしている。予選でも多かったギャラリーが、体育館の2階まで埋め尽くす勢いだ。
騎麻のファンクラブの人や嵐ちゃんの漢気会の人、冬弥やあっきー達の姿もあって、それぞれを応援する声が飛び交う。
「俺も負けないからね」
「嵐ちゃんと一緒に騎麻もやっつけちゃうから!」
ジャンプボールはゆっきーと嵐ちゃん。身長は殆ど変わらない。一瞬先にボールに指先の届いた嵐ちゃんが思い切りボールを弾く。
「騎麻っ!」
弾いた先にいた騎麻がボールに手を伸ばした瞬間、騎麻とボールの隙間に入りボールを奪い取る。そのまま猛スピードでゴールまで駆け上がり、シュートを放つ。音もなくネットを揺らし落ちるボールにギャラリーからの歓声がどっと湧く。
「すげぇー!!!」
「開始5秒で得点!!」
「会長VS天使ちゃんの常磐対決は天使ちゃんが一歩リードー!!!!」
放送部のテンションの高い謎の実況が体育館に響く。
「俺、この試合に合わせてコンディション絶好調だから!」
嵐ちゃん達に向けてのドヤ顔が止まらない。近寄ってきた要達とハイタッチを交わす。
ただ騎麻達がこのまま俺達に調子に乗らせくれるはずは無かった。
点を取って取られてを繰り返し、点数はどうにか4点差でこちらが優位だが、すぐに逆転されてもおかしくない点差だ。
それもこれも、俺にマンツーマンでついた嵐ちゃんが、思っていた以上に上手い。長い手足で行く手を阻み、なかなかボールを持たせてくれなかった。正確には抜くことは出来るけど、俺と同じく先輩達にマンツーマンでつかれている要達からパスが貰えない。
(これは自分で取りに行くしかないか・・・)
まずは目の前の嵐ちゃんをどうにかしなきゃね。そう思い嵐ちゃんに視線をチラリと向けるとバチっと目が合う。
「簡単には行かせないぜ?」
ともだちにシェアしよう!