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学生の務め
楽しい事の後には辛いことも待っているらしい。その逆も然り。
「ぬあぁぁあぁぁあ!!!」
「凌うるさい」
「うるせぇ凌」
「すみません!!」
只今要と凌の寮部屋にて期末テストの勉強会中。
事の発端は今日の昼休み。元気がトレードマークと言っても過言ではない凌が、初めて見る程静かで元気が無かった。
「凌どうしたの?」
「・・・ょうが、」
「ん?」
「テスト勉強が進まない!!!」
学生にとっては避けては通れない、休み前の一大イベントが期末テストなんだとか。俺は既に大学まで飛び級で卒業しているので、高校の授業はおさらいでしかない。古文や漢文、日本史は少し苦手だけど、それでも軽く授業の復習をすればどうにかなるだろう。ぶっちゃけ余裕。
「こいつ心配性だからテスト前はいっつもこんな感じなんだよ」
頭を抱えて机に向かって唸っている凌を見て、隣に座った要がほっといていいぞと声をかけてくる。
「こんなんなってても毎回Sクラスに残れるくらいには良い成績とってるから」
「要は大丈夫なの?」
まあでも、金髪にピアスだらけの見た目はヤンチャな要が、実は真面目で授業もしっかり受けているのは知っている。二人とも中等部からずっとSクラスなのは以前に聞いたことがあるので、成績上位者なのは間違いないだろう。
「お前は大丈夫なのか?TOKIWAグループの御曹司でも、成績悪いとクラス落ちの可能性はあるかもしれないぞ?」
Sクラスに在籍するには家柄が異常に良いか、成績上位者になるかだと言われている。が、大体家柄の良い生徒は自分の家のプライドもあるので、成績自体も良いらしい。なので結局Sクラスは成績優秀者の集まりになるんだとか。
別に成績に拘るわけではないけど、あまり悪い成績は取らないに越したことはないという事だろう。
そうなると俺ももう少し気合い入れて勉強した方が良いのかな?テストのレベルも出題方式も知らないので、勝手に何とかなるだろうと思っていた。なんだか要の言葉に少し心配になってきた。
「ならさ、今日の放課後一緒に勉強しない?部屋に今までのテストとかも残ってるから今までの傾向とかなら教えれるし!で、俺に英語と数学を教えてください!!!!」
「お前それが目的だろ」
呆れたように要が言うが、俺としても有難い申し出なので凌の誘いに乗ることにした。
「そこ間違ってるよ」
「え、どこ?」
「ほら、X=3になってるから途中の数値がズレてる」
本当だ、と数値を直し始めた凌を見て俺も手元の教科書へと目を戻す。ふんふん、坂本龍馬は拳銃の二丁持ちなんてワイルドだなぁ。
「レイラ、ここの訳ってどうなる?」
「これはね〜英語の諺だね。日本語だと"人は一人では生きられない"かな」
「へぇ」
黙々とペンを走らせる要と、時々唸りながらも苦手科目を徐々にこなす凌。とりあえず教科書を眺めてたまに質問に答える俺。
「あぁああああ!!!」
「次はお前かよ!!」
「どうしたのレイラ君!?」
飽きた。
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