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そうだ、別荘に行こう!
「よっしゃ終わったァァァァ!!」
「夏休みだー!!!」
「ゥオォオォォオ!!!」
「はい、みんな落ち着けー」
三日間のテストの最終日、最後の科目が終わった瞬間に上がる雄叫び。ハジメちゃんがなだめるがみんな聞いていない。
「テストの結果は来週には張り出されるからなー。うちのクラスは大丈夫だとは思うが、一つでもある赤点があったら夏休みに補習だぞー」
ハジメちゃんが話している間もみんな頭の中は夏休みの事でいっぱいといった感じでそわそわしている。俺も例外ではなく、夏休みの一ヶ月をどう過ごすかを頭がフル稼働で考え中。
「とりあえずうちの別荘に来ない?」
「とりあえずが急だな」
「行きたーい!!」
日本にある別荘の中に海も山も近い、夏に遊ぶに持ってこいの場所があったはず。そこに行こうと要と凌を誘ってみた。
「あれやってみたい!スイカを素手で叩き割るやつ!!」
「夏といえばだな」
「いやいや、素手では割らないよね!?」
「夏の代名詞の一つだよね〜」
「あれ!?」
そうと決まったら騎麻達にも声を掛けよう。やっぱり遊ぶなら人数が多い方が楽しい。
「というわけで常磐の別荘に行こう!」
「行こー!!」
声をかけ集まったメンバーは嵐ちゃん、響ちゃん、このくん、安ちゃんに要と凌を入れた六名。残念ながらまみちゃん、のいちゃん、ケイと冬弥とあっきーにも声をかけたが、みんな夏休みは家の手伝いや家族で旅行など既に予定があった。
「いいね、中等部の時に行ったとこ?」
「そうそう、響也と嵐は前に行ったことあるとこだね」
「あの海岸沿いのとこか」
どうやら騎麻達は前にも同じ別荘に遊びに行ったことがあるようで、中等部の時の話で盛り上がっている。
「俺も行っちゃっていいの〜?」
このくんと一緒にいた安ちゃんが周りの様子を伺いながら尋ねてくる。このくんはSクラスなので騎麻達ともよく行動を共にしているけど、クラスの違う安ちゃんは少し気まづいみたい。
「全然いーよー!」
「変な気使うなよ安吾」
クラスは違っても生徒会と風紀は交流も多いので、気にすることは無いと思う。そう伝えると安心した様子を見せる安ちゃん。意外と人見知りなのかな?
「海で泳いだりー、川で遊んだりー、夜は肝試しもしてー、BBQもしたいよね!あとスイカ割りも!」
「それは楽しそうだね」
「花火もやらなきゃでしょ」
花火!忘れていた!夏に花火は欠かせない。
「じゃあ当日は○○駅に迎えに行くから、時間はまた連絡する」
基本的に俺がやりたい事を発案し、騎麻が計画を立てる。こういった役割分担は十六弥くんと亜津弥くん、玲弥ちゃん達の関係とも似ているかも。
予定は夏休みに入った最初の週の三日間。天羽学園は通常の高校より一週間早く夏休みに入る。なので別荘があるのは夏は賑わう場所だけど、比較的人が少ないだろうという予測だ。
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