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「元気だなお前ら」 「もー!二人共置いていくなんて酷いよ!」 続々と海の中へと入ってくる面々。先程安ちゃんと二人がかりで浮輪と格闘していた凌も合流し、みんなで海水の冷たさを楽しむ。 「嵐ちゃんもっと沖の方行ってみよ〜」 「だったらお前も浮輪持ってけ」 そう言い沢山持ってきた浮輪の一つを頭から被せられる。プカプカと浮くそれに内側から捕まると前にいる嵐ちゃんが泳いで沖へと運んでくれた。周りに人が居なくなる程進んだ所で泳ぐのを止めた嵐ちゃんがこちらを振り向く。そのまま俺の頭をグッと引き寄せ口を合わせた。 「しょっぺぇ」 「嵐ちゃんも」 いつもと違う塩っ辛い唇に二人ともしかめっ面になるが、同時にぷっと噴き出す。 「こんなとこでチューしてたら他の人に見られちゃうよ」 「遠目じゃお前男か女か分からないから大丈夫だろ」 「え、ひど!」 そんなことを言う嵐ちゃんにバシャバシャと水を掛けると笑いながら嵐ちゃんが海の中を逃げる。浮輪に動きを制限された俺の後ろに回ると器用にそのまま嵐ちゃんも浮輪の中へと入ってきた。かなり大きめの浮輪なので、一緒に入ってもまだ空間が余る。 「っ、ちょっと、嵐ちゃん!?」 後から抱き締めるように腰に手を回した嵐ちゃんがあろう事か水着の中に手を入れてきた。そのまま中にあるソレを握られやわやわと揉み込まれると声が漏れる。 「あっ・・・だめだって!っん」 「はいはーい!そこまでですよー沿岸警備隊でーす」 「「!?」」 急に聞こえた自分達以外の声に驚き振り向くと、そこには浮輪に掴まって泳ぐ騎麻と、このくんの姿が。 「嵐太郎、公共の場で昼間っから堂々と盛るな」 「嵐、うちの可愛いレイラに二人の時なら兎も角俺の目の前で手を出すのは許しません!」 学園のトップ二人に同時に怒られ流石に大人しくなった嵐ちゃんと共に、そろそろお昼にするというので浅瀬へと戻る。冷たい海水のお陰で反応しかけた俺の下半身も大人しくなり、なんとか変質者にはならずに済んだ。 お昼のためにみんなで連れ立って海の家に向かう。が、そこでちょっとした騒ぎが。 「みんな高校生?良かったら私たちと一緒にビーチバレーしない?」 「この辺に住んでるの?」 「きゃーっ近くで見ると更にイケメン揃い!」 頼んだ焼きそばやフランクフルト、唐揚げなど料理を待っているとみるみる集まってくる女女女。 「俺達今からご飯なんで・・・」 「ちょっと、あの、通して貰えますか?」 「えー!だったら一緒に食べようよ!」 きっとみんな自分に自信がある子達ばかりなのか、ビキニから溢れる胸を腕や背中に押し付けながら迫ってくる女子大生と思われる集団に捕まった。しかもこれで六度目という、断っても断っても新しいグループに囲まれる。 これ以上騒ぎになると海の家の人にも迷惑がかかると判断し、出来上がったものを受け取るとすぐに逃げるように海の家をあとにした。 「みんな大丈夫?」 「女怖ぇ・・・」 「なんかどさくさに紛れて色々触られた・・・」 テントに戻りやっと一息つく。こういう状況にあまり慣れていないのか、要や凌、意外なことにこのくんはかなりげっそりとしていた。他のメンバーは上手く交わしたり、相手にしなかったりと反応も慣れていたので、よくある状況なんだろう。 「このくん女の子苦手?」 「苦手では無いんだが・・・」 「悠仁はね、こんな見た目だけど意外とシャイなんだよ〜レイくん」 そう言う安ちゃんは女の子の扱いにかなり慣れていた。聞くと安ちゃんはお姉ちゃんが三人もいるらしい。 「確かに今では泣く子も黙るイケイケ風紀委員長だけど、昔の悠仁って人見知りで俺達ともなかなか話してくれなかったよな」 「懐かしいね。俺達が話しかけても固まっちゃって、」 「で、顔を赤くして逃げていく」 「それは初等部に入学したての頃だろ!?」 騎麻響ちゃん嵐ちゃんの三人に懐かしむようにいわれ、恥ずかしそうに顔を赤くするこのくん。いつもの落ち着いた雰囲気とは違うこのくんに何だか笑いが込み上げる。 「あははっこのくん今も赤いよ!可愛いー!」 「委員長意外だな」 「まさかの近衛委員長男前受け説!?!?」 もう見ないでくれ・・・と両手で顔を押さえて隠してしまったこのくんが更に可愛くて、意外な一面を知ってしまった。

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