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え、じゃがいも一袋100円?
その後また海で暫く遊んでから一度別荘へと戻った。順番に軽くシャワーを浴びてから買出しに向かう。この別荘にいる間の三日間は自分達でご飯をつくることになっているのだ。
「見てよ!このお肉、3パックで1000円だって!」
「こっちの野菜も1袋100円って、どうなってるの!?」
「ねぇ、この味の素っていうのはどんな味なのかな?」
スーパーに行ったことのない俺達は食材のあまりの安さに驚きが隠せない。見た事のない調味料や聞いたことのない食材に興味津々だ。みんな思い思いの食材を手に持ち集まる。
「ちょっとちょっと!そんなに色んな食材集めて一体何の料理つくるつもり!?」
「さっき簡単に作れるカレーにするって決めましたよね!?」
テンションの上がっている俺達を呆れたように見るのは安ちゃんと凌。俺達が持ってきた食材を二人がどんどん違う籠へと仕分けて行く。
「これは全部要らないから、ほらほらみんな元あったとこに戻してきて〜」
半分以上の食材が安ちゃんにより突き返される。そのままみんなで食材を戻していき、足りない材料を安ちゃんと凌が籠へと入れる。二人は家でも料理をするらしく、スーパーの食材の位置も大体わかるらしい。
「うちの道場は下宿の奴とかもいてみんなで当番制でご飯作るからね。スーパーもしょっちゅう行ってるよ」
「俺もみんなの家ほどお金持ちじゃないから普通にスーパーくらい行くよ」
そう言う二人に俺達は完全に後ろをついて行くだけの状態。そのままお会計を済ませ別荘へと戻る。
「はい、じゃあ俺と凌くんでカレーは作るから、響也くんと悠仁はサラダで、騎麻はご飯、要くんはお皿とかの用意で、結城はお風呂の準備をお願いします!」
「はい!安ちゃん俺がいません!」
「レイくんはなんか俺のイメージで家事させるの怖いのでみんなの応援しててください!」
「らじゃー!」
実際俺は家事全般出来ない自信があるので、大人しく安ちゃんに言われた通り応援係に徹しようと思う。みんなそれぞれの役割に分かれて動きだし、俺もとりあえず嵐ちゃんについて風呂場へと向かう。
別荘の浴室はみんなで一緒に湯船につかれる程に広い。普段は使っていない別荘だけど、定期的に管理人が来て部屋の掃除や空気の入れ替えをしてくれている。なので浴室も軽く水で流してお湯を溜めるだけで使える。
「さっきも思ったけど、でっかい風呂だな」
「家族で入れるようにしてるからね〜。あとでみんなで入ろー!」
軽く浴槽を洗いお湯を入れていく。ここの浴槽はお湯がいっぱいになると自動で止まるので、お風呂の準備はこれでお終いだ。
「あっという間だったね」
「だな、戻るか」
脱衣場に戻り濡れた足を置いておいたタオルで軽く拭いている嵐ちゃんの背中に勢いをつけ、飛び乗った。
「ぅわっ、危ねぇな」
「へへっ嵐ちゃんこのままみんなのとこまでGO!」
はいはいと言って嵐ちゃんは俺を軽々とおんぶしたまま歩いていく。いつもより高くなった視線が新鮮だ。そのままみんなのいるキッチンへと戻ると、何だかいい香りが。
「嵐達も終わったのか」
「騎麻もご飯終わりー?」
「洗ってボタン押すだけだからね」
与えられた役割がすぐに終わってしまった嵐ちゃんと騎麻と一緒にキッチンの様子を覗く。中では安ちゃんと凌がテキパキと野菜を切ったり炒めたりしていて、カウンターでは響ちゃんとこのくんが切った野菜を盛り付けている。特に手伝うことも無さそうだ。少しするとお皿を準備し終えた要も加わり四人でキッチンを眺める。
「もぉ〜そこで見てるだけなら先にお風呂でも入ってきなよ〜」
「みんなで入ろうと思って」
視線が気になるのか安ちゃんにお風呂を勧められる。確かにそろそろお湯も溜まる頃だけど、折角なので終わってからみんなで入りたい。
「俺達も後は保温でどうにかなるから、ご飯炊けるまでにお風呂行っちゃおう!」
そう言う凌の言葉を聞きサラダを作り終えた響ちゃん達も連れて浴室に向かう。海の後は軽くシャワーをしただけなので、ゆっくりと浸かりたい。
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