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やっぱり怖い

周りに注意をはらいながらお寺の裏の祠へと進む。木々に囲まれひっそりと佇むそこには先に訪れた騎麻達のものと思われるカードが置かれていた。 「これを持ち帰れば良いんだな」 「・・・ねぇ、このくん」 「どうした?」 このくんがカードを拾い上げ、ポケットに仕舞うのを見ながらある事に気付く。 「俺達、凌達とすれ違ってないよね?」 「・・・そうだな」 先程悲鳴が聞こえたはずの凌と安ちゃんのペアと、普通ならどこかですれ違うはずなのに、俺達はこの祠に辿り着くまでに二人の姿は無かった。カードは3枚あったのでここまで二人が辿り着いた事は間違い無いのに、だ。 この辺りは暗いが道も狭いので人が通って気付かないはずが無い。では、二人はどこに行ってしまったのか。 このくんと無言で顔を見合わせながら、背筋が冷える感覚に身震いする。 ガサッ 「「っ!?」」 背後の草むらから物音がしビクリと震える。そしてゆっくりと振り向くとーー・・・ 「「ギャァァアァァアァッッ」」 「ぅえっ・・・ヒック、うっ、う"〜」 「ごめんね、そこまで驚くとは思わなくて」 「ちょっとスリルを足そうかと思ってさ」 「悪い」 嵐ちゃんに抱き着いて号泣中の俺と、放心状態で固まったこのくんに謝る騎麻と響ちゃんと要。 草むらの物音に恐る恐る振り向こうとした瞬間、背後から三人が襲いかかってきたのだ。急な事で暗くて誰かも分からず、キャパオーバーした俺達は今の状態に陥った。 「だから止めとけって言っただろ。映画の時点でこいつ等大分ヤバかったんだから」 俺の背中をポンポンとあやす様に叩きながら嵐ちゃんが少し呆れ気味に三人に言う。 「いや、安吾と凌が割りと平気だったからいけるかと思って」 「最悪腰を抜かすくらいかなって」 「むしろこういうの平気なタイプかと思って」 三者三様の言い訳を並べる。俺達の横で安ちゃんと凌が平気じゃなかったから!と声を荒げているがそんな事を気にする余裕が無い。 「う〜・・・きぉ、きらいっ」 「俺だけ!?レイラごめんーーーっ」 「やだっ」 馬鹿馬鹿っ本当に怖かった。飛び掛ってきた騎麻に肩を掴まれた瞬間は、もう確実に死ぬと思った。このくんなんてまだ放心状態から戻らず安ちゃんが声を掛けても、か細い返事しか返ってこない。ちゃんと反省して! やっと落ち着いてきた俺は嵐ちゃんに手を繋がれた状態で別荘まで戻る。このくんも安ちゃんと騎麻に支えられながらどうにか自力で歩いている。 「レイラ君本当にごめんね?」 「ん、もう大丈夫」 最初は恐怖に対する怒りも強かったが、肝試しを盛り上げるためにやったことではあるので、もう別に怒ってはいない。ただ突然の事だったとはいえ号泣してしまったので、落ち着いた今としてはとても恥ずかしい。 「レイラ、怖かったら今日一緒に寝るか?」 「・・・嵐ちゃんと寝るからいい」 「そっか・・・」 さっきの嫌い発言がショックだったのか騎麻はちょっとしょんぼりしていた。

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