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別荘二日目
別荘二日目。今日は別荘の裏にある山に流れる川に来ている。海とは違うさらさらした水は頂上付近からの湧き水で、冷たく透き通っていてとても綺麗だ。
「ひゃっほーいっ」
ザッバァァーンと豪快に水飛沫を上げながら岩場から川へと飛び込む。飛び込んだ先は底が深くなっていて勢いのまま水の中に沈んでいく。一気に世界と隔離されたように音が無くなり、自分が纏う空気の泡が無数に目の前に広がった。
「ぷはっ!きっもちー!!!」
「レイくーん、次俺いっくよー!」
冷たい水はとても気持ちが良く、先程から何度も岩場からのダイブを楽しんでいる。岩の上に立つ安ちゃんに場所を空けるように泳いで移動し、飛び込むスペースをつくる。そこに宙返りで飛び込んだ安ちゃんが水面に触れると同時に大きな水飛沫が上がった。
「あははっ超たのしー!!」
「要も回って回ってー!」
次に岩の上に立った要へと声を掛けると、後ろ向きに立った要が大きく身体を反らすように後ろに飛び、バク宙で川に飛び込む。先程の安ちゃんよりも大きな水飛沫が上がり、沢山の水が降りかかった。それすら楽しく笑い声が響き渡る。
「おーい!そろそろ昼の準備するぞー!」
先程まで一緒にダイブしていた騎麻達が、いつの間にか陸へと上がりこちらに呼び掛けてくる。そういえばだいぶ腹が減ってきたなと思い、みんなで泳いで陸へと向かう。今日のお昼は河原でBBQだ。
「誰か火おこしてー」
「あ、俺やります」
そう言い要が慣れた手つきで炭や枝を組み、火をおこす土台を作り始めた。あっという間に炎が燃え上がる。
「おぉ!要すごい!!」
「要はね、意外とアウトドア好きだからね〜っ」
普段はどちらかと言うと気だるい系の今時の子なのに、まさかそんな趣味があったとは。そういえば昨日の砂浜にテントを張るのもかなり手際が良かった。
「見て見て〜っニジマス捕れた〜!」
どこかに行ってると思えば安ちゃんが素手で魚を持って歩いてくる。この川は水が綺麗なので鮎やニジマスなど様々な魚や生物がいる。
「え、道具とかないのにどうやって捕ったの?」
そういえば、響ちゃんが言うように川に釣竿や網などは持ってきていない。安ちゃんは一体どうやって魚を捕獲したのだろう?
「魚が泳いでるとこ目掛けて飛び込んだら捕れたよ」
「いやいや普通捕れませんよ!?」
「安ちゃんすごーい!!」
俺も挑戦してみようと、安ちゃんと一緒に岩場から水面を覗き込む。流れに逆らうように泳ぐ数匹の魚を見つけた。
「ほら、今だよ!」
安ちゃんの掛け声に合わせ一匹の魚目掛けて飛び込む。 頭の方からバシャンと水に入った瞬間に、すぐさま視界に入った魚の尾鰭に手を伸ばす。
「安ちゃん!捕れた!!」
「レイくんさすがー!!」
手の中で元気に跳ねるのを逃げないようにしっかりと押さえ陸へと泳ぐ。少し鼻に水が入ってツンとして痛い。
「・・・あの二人野生の熊か何かなの?」
「凌、ああいうのは気にしたら負けだ」
その後も数匹の魚を捕まえ、捕れた魚は塩焼きにしてBBQの時に一緒に食べることにした。要がBBQ用とは別に石を組んで焚き火をし、その周りを囲うように串に刺した魚を並べる。雰囲気は無人島でサバイバル中のイメージ。
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