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あっという間の三日間

「さ、忘れ物とか無い?」 スイカを食べ終わり少し遊んだあとは別荘に戻りシャワーを済ませる。夕方には家に着くようにしたいので、そろそろ別荘を出発しなくてはいけない。 騎麻と手分けして忘れ物が無いか確認し、キャンピングカーに乗り込む。三日間なんてあっという間だった。みんな行きのキャンピングカーの時よりも、日焼けでいい色をしている。 動き始めた車の中で初めは会話の弾んでいた俺達も、暫くすると急に襲ってきた睡魔に負け、気付いた時にはみんな眠っていた。三日間暑い日差しの中外で遊び続けたから、疲れが溜まっていたんだろう。 「そろそろ着くぞー」 起こしに来た十六弥くんの声で目的地が近い事を知る。寝起きのぼーっとした状態のままなんとなく隣を見ると、珍しく眠そうな表情の嵐ちゃんが。いつも俺より遅く寝て先に起きるので見た事のない姿に、思わずiPhoneを取り出しカメラを起動する。 カシャッ 「・・・なに」 「眠そうな嵐ちゃん初めて見た」 「・・・そう」 まだ覚醒しきってないのか喋るスピードも遅く、こちらに体重をかけてもたれてくる。・・・ちょっとかわいい。撮った写真を"嵐ちゃんフォルダ"に保存し、もう一度隣を見ると完全に目を覚ました嵐ちゃんがこちらを見ていた。 「俺も"レイラフォルダ"あるぞ」 「まぢで」 俺にもたれたままiPhoneを片手で操作し、そのフォルダを見せてくる。そこには寝ている姿や何でもない時、みんなで爆笑している時の姿が大半をしめていた。 「ちなみにこっちは"非公開フォルダ"」 「っ!嵐ちゃんこれはダメでしょ!!」 そこに映し出されたのは風呂上がりや、着替えの最中などの肌色多めの写真に混ざって所々にある、"最中"や"事後"の写真。初めて見た自分の快感に溺れた表情に顔が赤くなる。 「・・・俺、こんな顔してたの」 「実物はもっとえろいぞ」 「本当やめて」 確かにえろい。自分で見てもえろい。本当やだ。いつ撮ったのかなんて今まで全く気づいていなかった。何やってんだ嵐太郎この野郎。 「絶対誰にも見せないでよ」 「消してって言わないとこが流石レイラ」 「・・・嵐ちゃんは消さないでしょ」 よく分かってんじゃん、とニヤニヤ顔の嵐ちゃんを睨みつけていると車が止まったのを感じた。どうやら駅に着いたみたい。 集合場所と同じこの駅はみんなの家の中間で、それぞれ家からの迎えが来てくれているらしい。送っていくという十六弥くん達に気を使ったみんなが、先に迎えを呼んでいたのだ。 「とても楽しかったね」 「お二人も運転ありがとうございました」 「気をつけて〜」 「レイラ君、また学校でー!」 「じゃあな」 みんながキャンピングカーを降りそれぞれの自分の家の車へと乗り込んで行く。 「レイラ」 最後に残っていた嵐ちゃんが手招きをするので車を降り近づく。どうしたのかな。 「来週、家へ来ないか」 「嵐ちゃんの家?」 「そう。ーーー家族に紹介したい」 嵐ちゃんの家族。会ってみたい。 「俺もどんな反応をされるかわからない。でも、お前との事は知っていてもらいたい」 そう言う嵐ちゃんの表情に昨日のような不安は見えず、何か吹っ切れたような雰囲気だ。今後嵐ちゃんと一緒にいるためには、嵐ちゃんの家族にもしっかりその事は知っていてもらいたい。なら、この誘いを断る理由なんてない。 「来てくれるか?」 「勿論!」 丁度一週間後に約束をし、嵐ちゃんが車に向かうのを見送ってから俺も車内に戻る。嵐ちゃんの家族、どんな人達なんだろう。

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