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家族というものは
あの後、みんなでお昼を食べながら色々な話をした。嵐ちゃんの小さい時の話や学園の話、俺の家の話など。嵐ちゃん達はみんなどこか雰囲気が似ていて、すごく落ち着く。
「今日は良かったら泊まっていきなさい」
別に家に帰るのもそこまで時間もかからないけど、折角なので泊まらせて貰うことにした。家には連絡済なので今日はずっと嵐ちゃんと一緒だ。
「凛ちゃんも嵐ちゃんも晴さんにそっくりだね」
「本当にね、ちょっとくらい私に似ても良いのに」
そう嵐ちゃんのママ、麻耶さんが少し拗ねたように言うけど、嵐ちゃんの笑った顔は麻耶さんに似ていると思う。
「何度かTOKIWAの社長は顔を見たことがあるけど、レイラ君はお母さん似かな?」
「俺も見たことあるけど、TOKIWAの社長って雄のフェロモンの塊みたいな人だよな」
確かに俺はどちらかと言えばカレンちゃん似かな。
「あ、でもカエラは両方に似てるって言われるし、サハラは十六弥くんって言われるからどっちだろう」
「それはご兄弟かしら?」
「こいつ三つ子なんだよ」
「「「え!?」」」
あらら、隠すつもりは無いけど嵐ちゃんにあっさりバラされてしまった。成長と共にどんどん変化の出てきた俺達は、元は同じ遺伝子なのに不思議だ。別に三つ子だからそっくりじゃなきゃ嫌だ!なんて事はないので気にしたことは無いけど。
「ちなみに母親はあのモデルでデザイナーのカレン・エインズワースだぜ」
「え!私大ファンよ!」
「というか、あの二人が夫婦だったのか!」
「恐るべしTOKIWA・・・」
意外と知られていないTOKIWAの事情にさっきから驚きっぱなしの晴さん達。別に秘密にしている訳では無いのに、TOKIWAの情報は極端に表に出ない。
それはTOKIWAで働く社員達がみんなお互いのプライベートを大切にする人達で、変に世間に勘繰られたり付き纏われるのを嫌うから。社員同士はお互いの家族とも仲が良いし、年に数回家族も参加型の社内パーティも行っているから俺達とも交流が深い。
TOKIWAは大きな会社だから働いている社員の数も莫大なのに、TOKIWAの社員と出くわした事のある人は極端に少ないという不思議。みんなプライベートで関わる人にわざわざ仕事の話をしないからだ。
「そんな、TOKIWAの人間すら話さない事を俺達が色々聞いていいのか?」
「嵐ちゃんは既に俺達には家族みたいなものだから、晴さん達も俺達の家族だよ?家族に家族の話をするのは何も問題ないよね」
ノープロブレム、そう言うとみんな少し驚いたような表情をするけど、すぐに優しく微笑んでくれる。TOKIWAは、家族との繋がりを大切にしてお互いを信じるのがモットーの、会社というより大家族みたいなものだ。だからそれが違う企業の社長でも、俺が家族だと思った人達は他の人達にとっても身内も同然ということ。
「凄い原理だけど、十六弥さん達や騎麻を見ているとレイラの言う通りだなって思うよ。常磐家はとことん身内を信頼してる」
「嵐ちゃん流石、よくわかってる!」
家族は勿論親戚も社員も、友人や恋人、全てはお互いを信頼してるからこそ絆は深まる。
その後も楽しくみんなで過ごし、気づけば夜になっていた。客室を用意してくれるというのを嵐ちゃんが別に自分の部屋でいいと断ったので、今日は久々に嵐ちゃんと一緒に寝れる。嵐ちゃんの部屋は寮での部屋と雰囲気が似ていて、初めて来たのになんだか懐かしい。
「嵐ちゃん、認めて貰えて良かったね」
「あぁ、本当にな」
二人でベッドに寝転がった状態でお互い顔を見合わせる。そのままどちらともなく顔を寄せ、そっと唇が重なる。
「レイラ、好きだ」
「んっ、俺も、嵐ちゃんが大好きだよ」
徐々に深くなる口付けの間にお互いの気持ちを口に出す。引き寄せられ嵐ちゃんの上に跨るように乗り上げた状態のまま、何度も何度も繰り返される熱いキスに頭がじんじんと痺れていく。
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