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※ 物理的我慢

俺の動きが止まった一瞬の隙に更に嵐ちゃんが遠慮なく、しかし慎重に綿棒を押し込む。目の前の信じられない光景にショックで動けない俺に構うことなくどんどん手を進める嵐ちゃん。押し込まれたそれはいつの間にか端の膨らみを残して、そのほとんどが俺の体内へと入っていた。 「細いしたっぷり濡らしたから痛くないか?」 「っ痛くはないけど、なんか、怖い」 嵐ちゃんの言う通り見た目のインパクトに対して痛みは殆ど無い。ただ普通なら何かを入れる場所でもないそこに深く刺さったそれに恐怖が芽生える。嵐ちゃんは飛び出た先端を掴むと次はゆっくりと先程押し込んだ綿棒を引いていく。その途端、 「んァああっ」 入れる時には感じなかった強い刺激が身体に突き刺さるように襲いかかる。ビクビクと震える身体と刺激に驚きながらも、これは危ないと咄嗟に察する。 「抜く方が気持ち良いみたいだな」 「っだめっ、ぁ、らんちゃっ、あぁっ」 俺の静止の声など聞かない嵐ちゃんがゆっくり、しかし何度も綿棒を抜き差しするように動かす。その度に襲う快感に何とか耐えようとするけど、跳ねる身体は抑えられずベッドの上で身体を震わせる。 繰り返される動作に絶頂を迎えそうになるが、塞がれたそこからは勿論何も出ない。収まることの知らない熱が身体の中をぐるぐると回る。 「これならイかなそうだな」 「・・・イかないんじゃなくて、イけないんだけど」 やっと手を止めてくれた嵐ちゃんが俺の息が整うのを待つ。擽るように汗の滲む頬を撫でられ、イくことの出来ない身体にはそれさえ刺激になる。 「嵐ちゃん悪趣味。俺のちんこ可笑しくなったらどうすんの」 「大丈夫だって、もっと太くて長いのだっていけるらしいし」 確かに痛くないからもっと太いのも入る気もするけど、想像するだけで怖い。絶対嫌だ。 俺が落ち着いてきたのを見て嵐ちゃんがローションを垂らした指を後ろへと埋める。慣れてきたこの行為に息を吐いて力を抜く。拡げるように指を動かす間も熱いキスを交わす俺達。 「っはぁ、ん」 「ん、可愛い」 「嵐ちゃん、も、いれて、」 耐えきれず強請る俺を笑いながらも、後ろから出ていく指に代わり嵐ちゃんの熱いそれが押し付けられた。毎回嵐ちゃんはゆっくりと、優しく、味わうように俺の中へ入ってくる。この瞬間がとても気持ち良く、とても幸せだ。 「これ抜いて」 「まだ駄目。俺が一回イってからな」 いつもなら俺のお願いを聞いてくれるのに。そう思いながらも徐々に違和感も無くなってきていたそれはあまり気にならない。ゆるゆると腰を動かし、動いて良いよとアピールする。 「っは、・・・ん、ふ、」 嵐ちゃんが動くのに合わせ声が漏れる。気持ち良い。俺の好きな所をぐりぐりと抉られ、全身に痺れるような快感が駆け回る。たまに漏れる掠れた声が嵐ちゃんも感じている事がわかり更に興奮する。 徐々に強く、速く動き始めた嵐ちゃんに快感が増す。いつの間にか奥へと入り込んだ先端が俺をまた限界へと追い込んでくる。しかしそこでハッとする。 「っあ、ぇ、待って、んっ、イっちゃうって!」 これではイってしまう。イけないのにイく。わけのわからない恐怖に必死に嵐ちゃんにしがみつくけど、止まるどころか更に動きが速くなる。 「やっ、あ、んァああっ」 「っく、」 イった。正確には塞がれたそこからは何も出ていないのに、それでも俺はイったのだ。俺の締め付けに嵐ちゃんも我慢が出来なかったみたいで、ビクビクと震える腹の奥に熱いものが広がる。 え、俺は出せてないのに。

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