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二学期が始まった

それから二週間。あっという間に夏休みは終わって俺達は学園に戻ってきた。 「じゃあティノは常磐の本家にいるのか」 「そう、あそこなら常に人いるし庭も広いし・・・」 実は夏休みに連れ帰ったティノがそのまま本家で暮らすことになってしまった。この一ヶ月で本家の人にも慣れ、広い家の中や庭を自由に駆け回れるので、ティノにとっては寮の室内に篭っているよりずっと良いだろう。本当は一緒に寮に戻りたかったのだけど、子犬だったティノも一ヶ月で一回り大きくなり、これからもまだまだ成長する。その事を考えると狭い室内で暮らすのは可哀想という事になり、置いてくることを決意した。 「でも寂しい〜〜〜」 ほとんど毎日一緒に過ごしたこの二ヶ月を思い返すと、ティノのためとはいえ寂しくて仕方ない。毎日本家からティノの写真を送ってもらう約束だけど、俺は写真よりあのもふもふの毛を生で見て触りたいのに。 「まあ、週末には外泊も出来るし会いに帰れば良いだろ」 「そうだよね・・・」 金曜日の夜から外泊をすれば週三日はティノに会える。そう思って頑張るしかない。あ〜俺の癒しが・・・。iPhoneを取り出しロックを解除する。待ち受け画面に設定された俺イチオシのティノの写真を眺めながら、溜息を吐く。 「・・・重症だな」 嵐ちゃんが慰めるように頭を撫でながらボソッと呟いた。 「おはよう。みんな元気だったかー?」 久々の教室で会った一ヶ月ぶりのクラスメイト達は、みんな少し日焼けしていて夏休み気分が抜けていないのか何だか妙に浮き足立っている。そんな生徒を眺めるハジメちゃんの全くと言っていい程夏休み前と変わらない姿に、ああ学校が始まったんだなと実感する。 「夏休みは楽しめたか?」 相変わらず隣の席の要が別荘の時より更に日焼けした顔でこちら見てくる。小麦色の肌に金髪にピアス、何だか見た目のヤンチャ具合が増したなぁ。 「楽しかったよ〜別荘の後も家族でキャンプ行ったり嵐ちゃんちにも何回も遊び行ったし」 「アクティブに遊んだ割には全く焼けてないな」 「確かにね」 まあ日焼け止め塗りたくって完全防備で遊んでるからね。要と話してる間にいつの間にかホームルームは終わり、始業式のために体育館へと移動していく。 全校生徒が集まり人でごった返した体育館も、空調設備がしっかりしているおかげで暑くはないのが有難い。違うクラスや違う学年の生徒に久しぶり〜、元気だった?と度々声を掛けられながらも式が始まるのを待つ。 「みなさん静かにして下さい。只今より天羽学園二学期の始業式を始めます」 今回も司会を務めるケイがステージ脇のマイクの前に立って話し始めた。開式の挨拶から始まり理事長の話、生徒会長の話、風紀委員からの諸注意と知り合いが次々に登場する。 みんな休み明けだとは思えない程のキリッとしていて流石だなぁ。騎麻なんて一昨日まではデレッデレの顔で真斗に引っ付いてたのに、あの緩んだ顔はキッチリとしまい込んで生徒会長の顔になっている。このくんも別荘ではほんわかしていたのに今は完全に風紀委員長モードだ。 式は特に何も起こることなく平和に終わった。今日は授業も無いのでこのまま解散になるけど、明日からは通常通り授業が行われる。一ヶ月の夏休みは長いようで一瞬で終わった。 休みが終わったのは残念だけど、二学期には楽しみもある。体育祭に文化祭。二学期はお祭りの集まった学期だから!

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