88 / 311

秋だ!祭りだ!体育祭だ!

「はい、じゃあ今から体育祭の種目決めをしまーす」 体育委員のみっちゃんが黒板に種目を書き出し始める。どんどん右から左へと種目の名前が伸びていきーー。 「へぇ~、体育祭の種目ってあんなにあるの」 「他の学校は知らないけどあんなもんだろ」 そうか、あれが普通なのか。100m走とリレー、二人三脚はわかる。 「借り人競走って何?」 「札を引いてそれに書いてあるお題に合う人を連れてゴールしたら勝ちっていう競走」 「仮装障害物競走は?」 「仮装して色々な障害物を越えながらゴールを目指す競走」 「騎馬戦は?」 「三人で騎馬を組んで上に乗った奴が鉢巻を取り合う戦い」 「ムカデ競走は・・・」 「もうあとは凌にでも説明してもらえ」 見捨てられた。もう説明する気が無いとでも言うようにiPhoneを弄り始めてしまった要を横目に、少し離れた凌の元へ移動する。教室の左前に座り教室を眺めていたハジメちゃんと目が合ったけど、凌の隣に座り込むとまた教室を眺め始めた。 「どうしたの?」 「要に見捨てられたから種目の説明をして欲しいのです」 「あ、レイラ君体育祭初めてだもんね!」 そう言うと凌は全部の種目の大まかなルールを説明してくれた。要と違って凌は優しい。要と違って。 「ちなみにレイラ君には是非仮装障害物競走に出て欲しい!!」 「王道だから?」 「YES!王道だから!!!」 凌の考えることなんてお見通しだぜ。仮装障害物競走か・・・。さっきの要の説明だとカードを引いて出た衣装に着替えて障害物をクリアしつつ速くゴールしたら勝ちっていう、簡単な内容のレースだったはず。 みっちゃんがさっき一人最低二種目、多い人で四種目まで出場出来ると言っていた。どうせなら沢山の種目にでたいけど、体力の事を考えると種目選びがかなり重要になる。 「ちなみにレイラはリレーは決定してるからな!」 「!」 急に、名前を呼ばれて驚いた。みっちゃんが黒板のリレーの所に俺の名前を勝手に書き始める。別に問題はないので良いけど俺に決定権は無いのか。俺の後に要、凌、みっちゃん、ゆっきーの名前が続いて書かれる。 「リレーって出る人決まってるの?」 「まあ、基本は足の速い順に五人選ぶからね」 「へぇ〜、凌って足速いんだ」 「・・・一応サッカー部だからね」 その後は種目ごとに希望を取り人数が多ければジャンケンをし、どんどん定員が埋まっていく。運動神経に自信がある人は走りやパワーがメインの種目、自信の無い人は技術や運任せの種目へとバランス良く分かれたので、意外とあっさりと種目決めは終わった。 結局俺はリレーと仮装障害物競走と騎馬戦と借り人競走の四種目に決まった。そして点数には加点されないらしいけど、楽しそうなので応援合戦にも出る事にした。 「応援合戦ってやっぱ"がくらん"ってやつ着るの?学生の戦闘服!」 「なんでレイラ君ってちょいちょい変な情報持ってるの」 「十六弥くん情報!」 学生は闘う時にはがくらんを着るものだって言っていた。十六弥くんも学生の頃はがくらんの進化版の"ちょーらん"を着て隣の学校と陣取り合戦をしたんだって。もちろん十六弥くんが勝利したらしい。流石。 「ちょーらんの背中に刺繍を入れてオシャレも楽しんでたって言ってたよ」 「いやいやいや!まず十六弥さんそんなことする時代の人じゃないよね!?」 体育祭はくじ引きで三学年合同チームを作る。俺達は1-S、2-C、3-Aで赤組になった。他にも色は白、黄、青、緑がある。 「ちなみに赤はここ三年連続最下位だ!俺達でその連敗ストップさせるぞー!!!」 『おぉぉぉー!!!!』 みっちゃんの言葉にみんなが拳を突き上げて答える。本当にうちのクラスはノリも団結力もある良いクラスだ。

ともだちにシェアしよう!