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父親は一人で十分

「赤組の大将は小野寺さんかよ」 放課後の顔合わせでの話をすると、微妙な顔をする嵐ちゃん。大将の事を知ってるみたいで、表情的に余り仲は良くない感じ?嵐ちゃんがそんな反応をするのは珍しい。 「仲悪いの?」 「別に元々ほとんど会話もした事ないな。ただ、お前の熱狂的ファンなのは知ってる。・・・付き合いだした頃に一回教室に乗り込んできたからな」 「うわぁ〜」 何でも俺と嵐ちゃんが付き合いだしたことを聞きつけた大将がその真意を確かめに2-Sに乗り込んだらしい。全然そんな話知らなかった。何やってんだ大将。 「事実だって言ったら涙目で"常磐レイラを幸せにしてくれ!"って言って去って言ったけどな」 「大将は俺の何なんだよ・・・」 「雰囲気的には娘を嫁に行かせる父親みたいだったけどな」 随分人騒がせで熱血な父親だなぁ。俺の父親はすでに十六弥くんがいるんだけど。まず俺は娘じゃないし。大将はやっぱり悪い人では無いんだけど、少し暑苦し過ぎるんだよな〜。あまり今までに関わったことの無いタイプの人間なので、絡み方がわからないのは事実。これから毎日応援合戦の練習で会うことになるんだけど。 「まぁ、何かあったらすぐ言えよ。赤には晃太もいるだろ」 「そう!晃太くん久々に会った!」 嵐ちゃん率いる漢気軍団(笑)の代表の晃太くんも、俺と同じ赤組だった。夏休み前に数回トレーニングルームで会ったけど、夏休みを挟んで約一ヶ月半ぶりに姿を見た。相変わらずの鍛えられた体と武士のようにキリッとした顔は俺の外国人の血を擽る。晃太くんとは応援合戦でも一緒なので嬉しい。 「そういえば嵐ちゃんは体育祭何出る〜?」 「棒倒しと騎馬戦とリレー」 「あ、俺も騎馬戦とリレー出るよ!」 同じ種目が二つもあるのか。しかも騎馬戦とリレーは体育祭の種目の中でも、盛り上がる注目度の高い種目らしい。嵐ちゃんが相手なら絶対に楽しめるに違いない。 ま、今回も球技大会の時のように俺が勝たせてもらうけどねー!今から楽しみになってきた。 「俺四種目と応援合戦出るから流石に体力作りしなきゃ〜」 「じゃあ今から俺と夜の運動でもするか?」 「ふはっ嵐ちゃんその誘い方は親父臭い!」 ニヤニヤしながら腰を抱いてくる嵐ちゃんに思わず吹き出す。言っていることはただのエロ親父なのに、無駄にイケメンな顔で甘い声を出してくるんだから笑わない方が無理だ。 「で、どうする?」 「ん〜、お誘いに乗っちゃおうかな?」 「そうこなくちゃな」 顔を見合わせると同時に吹き出した。そのまま嵐ちゃんに抱き上げられ、寝室へと移動する。 一時間後ーーー。 「いや、これ体力つくとかより前に俺死んじゃう・・・」 「お前本当に体力ないな」 毎回SEXの後に指一本動かす気力もない俺とは逆に、軽く運動した後のような余裕のある嵐ちゃんを軽く睨みつける。そんな俺を笑いながら頭を撫でてくる嵐ちゃんを、いつかは逆の立場にしてやりたい。 「明日から朝ジョギングでもしようかな」 「起きれるのか?」 「嵐ちゃんも一緒にしよ〜」 多分一人じゃ起きられない。し、危ないとか言って付いてくるのは分かっている。 が、結局次の日二人して朝起きれなかった俺達はいつも通りの時間に目覚めた。むしろいつもよりも少し寝坊したようでジョギングは出来なかったけど、教室まで猛ダッシュをすることになったので、プラスマイナスではプラス1くらいにはなっただろう。うん。

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