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キュートなの?セクシーなの?

『さぁ、次の種目は借り人競走です!選手は勿論応援席のみなさんも油断は出来ませんよーー!!おっとぉ!借り人競走には生徒会からは会計の山野井選手、書記の蜂須選手!!そして4月に我が天羽学園に降り立った天使こと常磐レイラ選手も出場するようです!!!是非!是非僕を借りて下さァァァァァいっっ』 いやいやいや!放送部の人、完全に私情挟みまくったアナウンスは止めて!アナウンスに便乗した生徒が至る所で俺を借りてーと声を上げている。保護者席では十六弥くんや社員が腹を抱えて笑っているし・・・。俺このあと本当に誰かを借りなきゃいけないのに、すごくやりずらい。 そのままグラウンドが盛り上がっている状態で競走は始まり、最初の組がスタートした。一斉に走り始め少し離れた所に置かれたカードを引く。そこに書かれたお題を確認するとみんな四方に散っていった。 お題を見せながら生徒席や保護者席のテントの前を走り回る姿に、確かにこれは選手だけじゃなく応援側も気が抜けない。 しかもお題にそった人を見つけた後もゴール前にはまたカードが置かれており、そこに書かれた課題を借りてきた人と共にクリアしてゴールしなくてはいけない。 『1位でゴールしたのは緑!ここで体育委員によるお題のジャッジが入ります!!』 「お題は"バスケ部の二年生"、クリアです!!」 『1位は緑組だァァァァ!!!』 レースは次々と進み近づいてくる出番にそわそわと落ち着かない。アナウンスは今1位でゴールしたのいちゃんの実況で盛り上がっている。 とうとうやってきた自分の組。横に一列に並び体育委員の声に合わせスタートの体制を取る。 「位置について、よーい・・・」 パンッッ 高く鳴り響くピストルの音と同時に走り出すと、一番でカードの位置へとたどり着く。目の前の一枚を拾い上げ書いているお題を確認するとテントに向かって走り、目当ての人間を探す。 「嵐ちゃん!」 探していた嵐ちゃんを見つけると大きな声で呼ぶ。周りにいるクラスメイトをかき分けて嵐ちゃんが俺の元へとやってきた。青組は敵だけど、今は協力してもらおう。 「嵐ちゃん一緒に来て!」 近くに来た嵐ちゃんの手を掴んで問答無用で連れていく。俺の走るスピードに合わせて嵐ちゃんもスピードを上げ、ゴール前のカードの元へとつくとその中の一枚を引く。 「"お姫様だっこでゴールにGO!"」 読み上げながら嵐ちゃんに向かって手を伸ばす。さあ嵐ちゃん俺の腕の中へどうぞ! 「・・・いや、それはキツいだろ」 「大丈夫!早く行かないと負けちゃうから!」 なかなか渋ってゴール手前でもたついている間に他の組が近づいて来ている。このままでは1位を取られてしまう、そう俺が焦り出した時ーーー。 「っうわ!嵐ちゃん!?」 「別にどっちがやるとか書いてないだろ」 急に浮いた体に驚き咄嗟に目の前の大きな体に抱き着く。俺を抱き上げたままゴールへと向かう嵐ちゃん。え、何か違くない? 『なんということでしょう!!1位は赤組の常磐選手!青組の生徒、結城嵐太郎に抱かれてのゴールです!!本来敵のはずの両者ですが、絵面的にはナァァァァァイスっ!!!』 「う"うー、俺だって嵐ちゃん抱っこするくらい出来るのにーーー」 「出来ても俺がやられたくないんだよ」 俺を抱き上げたままゴールテープをきった嵐ちゃんがそっと俺を地面に下ろす。ぶすくれる俺の頭をぐりぐりと撫でる嵐ちゃんだけど、確かに俺にお姫様だっこされる嵐ちゃんの絵面はきつい。でも面白さは有ると思うんだけどなぁ〜。 「お題を確認します」 そう言い近づいてきた体育委員にお題の書かれたカードを見せる。カードと嵐ちゃんを見比べた体育委員が一つ頷きマイクのスイッチをつける。 「お題は"泣き黒子がセクシーな人"、クリアです!!」 そう、俺が引いたお題は"泣き黒子がセクシーな人"だった。響ちゃんも泣き黒子があるけどセクシーと言われたらやっぱりここは嵐ちゃんだろう。響ちゃんも魅力はたっぷりだけどセクシーとは"性的魅力"。えろさ全開の嵐ちゃんの方がしっくりくる。 1位でゴール出来、得点も1点差ではあるけど青組に勝つことが出来た俺はルンルンでテントに戻った。しかしそこで何故か涙目の凌に肩を掴まれ詰め寄られている今。 「なんで!!なんで結城先輩にお姫様だっこでゴールっていう最高のシュチュエーションなのに!!!なんでお題が"好きな人"じゃないんだよぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 ぇぇええぇえぇ・・・

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