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戦だー!!

ふくらはぎまである黒く長い長ランにダボッとしたゆとりのある黒いズボン、お腹の辺りを覆う真っ白なサラシ。真っ赤な長い鉢巻を頭にしっかりと巻き気合いを入れる。 「行くぞっっ!!」 『オォォォォオオーー!!!』 勢いよく飛び出し練習した通りの位置につくと音楽に合わせて一斉に動き出す。腕を高く振り上げ体を回し声を上げながら次々とポーズを決めつつ新しい配置へと動く。左右から3m程の大きな旗を振るフラッグパフォーマンスで盛り上げ、更に大きく体を使い動く。 大将と晃太くんが手を組み構える位置へとスピードをつけ走り込む。そのままスピードを落とさないまま二人の構えた手に足をかけ、飛び上がる勢いに合わせ二人も俺を上へと投げるように力を入れる。 宙に放り出された俺は体を丸め二回転。背中から落ちる俺を二人が受け止める。そこから演舞の組手を始めた二人から離れ、俺は後ろに控えていた体操部を含んだ五人とスペースを大きく使い側転バク転バク宙のオンパレード。 約4分間の短いようで長い持ち時間を精一杯動き切り、乱れた呼吸をどうにか整える。応援団の21人全員で深く一礼するとグラウンドから大きな歓声があがる。 『ありがとうございました!!!』 やり切った達成感と周りからの歓声でアドレナリンがすごい。一緒に演技をした凌や他のみんなと抱き合ってお互いを労う。沢山練習してきたけど、今日の演技が一番良い仕上がりだったと思う。 「このままのテンションで騎馬戦もいってみよーう!!」 『うぇーーーいっ!!』 ノリの良いチームメイトに俺のテンションも更に上がる。急いで衣装を元のカラーTシャツに着替え準備をする。騎馬戦は棒倒しと同じくらい盛り上がる競技で、テンションの上がっている生徒は上半身裸で出場したりするらしいけど、俺はちょっとでも日光から肌を守りたいので脱がない。 「レイちゃんがんばろうね!」 「ガンガンに攻めていくから落ちんなよ?」 「このメンバー球技大会を思い出すな〜」 ゆっきーとみっちゃんと大ちゃん、要は居ないけど球技大会で一緒にバスケに出たこの三人と騎馬戦ではチームだ。クラスの中でも身長も身体能力も高いこの三人の組む騎馬は赤組全体の中でもかなり高さがある。 目指すは1位、俺達の作戦としては手っ取り早く強い奴から潰す!! 『先程の応援合戦、どのチームも素晴らしい演技でしたね!そして次に行うのは騎馬戦、男達の熱き戦いが再び巻き起こります!!!』 「うわ、会長達の騎馬でかっ!」 「うちのキャプテンと山野井先輩と結城先輩って・・・、みんな190cm越えかよっ」 「いやうちの騎馬だってそこまで高さは変わらない!強気で行くぞ!」 みっちゃん達が言う通り敵陣の中で頭一つ飛び抜けて見えるのは騎麻を上に乗せた嵐ちゃん達の騎馬だ。サイズ感覚で言うと周りがMなら騎麻達は間違いなくXL。なんかもう反則じゃないかな。 「位置について、よーい・・・」 パンッッ 無数の騎馬が中央に向かって走りぶつかり合う。俺達の騎馬にも無数の敵が集まってき、俺の鉢巻を奪おうと手が伸びてくる。と、思ったらその手は鉢巻ではなく俺の腕やハーフパンツから出る足へと向かい、 「やばい、レイラ君の生足!」 「すべすべ!すね毛とか全くないじゃんっ」 「セーラー服も良かったけど体操服もなかなか・・・」 「、ひっ」 ジリジリと迫ってくる変態達に鳥肌が立つ。近づいてくる手を払い除けるが、どいつもこいつもニヤニヤしやがって・・・。 「あぁーっもう止めろ気持ち悪いっ!!」 「っレイラ、暴れるな!」 変態達の態度にぷっつんした俺は腰を浮かし、伸びてくる周りの手を避けつつ跳ね除け、相手の鉢巻をどんどん奪い取る。先頭のゆっきーの上に乗り上げる勢いで目の前の変態達に襲いかかる俺を、後ろの二人が止めようとするが両手を組んでいる状態ではどうにも出来ず、ただただ崩れないように耐える。 「ふんっざまーみろ」 目の前の敵の鉢巻を全て奪い満足した頃には俺の腕には色とりどりの鉢巻が5本集まっていた。満足した俺はゆっきーにかけていた体重を後ろの二人へと戻す。 「レイちゃん前!」

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