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「勝負だよレイラ!」 「騎麻!!」 ゆっきーの声で視線を前に向けると俺達の3m程前で足を止めた騎麻達の姿が。騎麻を支える騎馬の先頭は嵐ちゃんで、さっきの変態達とはまた違ったニヤニヤ顔でこちらを見てくる。その好戦的な視線に俺も同じくニヤニヤした顔で見返す。 何を合図にした訳でもないが、お互いが同時に近付きぶつかる手前で俺と騎麻が手を伸ばす。鉢巻を狙った手をガシッと捕まれ両手を組んで取っ組み合いの形になった。が、高さで負けている分騎麻が上から力を掛けてき、このままでは鉢巻まで手が届かない。 「ゆっきーバック!」 「ほいよ!」 一旦後ろに下がるが嵐ちゃんがそれに合わせて近づいてくるのであまり距離が開かない。上から覆われるようにされてはどうしてもこちらの方が不利だ。これは勢いでいくしかない。そう思った俺は、 「ゆっきー!ごめんねっ!」 「ぇ、っん"ん!」 「ちょっとレイラ!?」 どうしても騎麻達よりも高さを出したい俺は、最終手段として、ゆっきーの肩に片足を掛けた。そのまま行けるところまで立ち上がり騎麻よりも高い位置から青い鉢巻目掛けて手を伸ばす。 「雪成踏ん張れよ!!」 「ちょ、レイちゃんやばいって!!」 「レイラ早く戻ってっ」 俺の体重のほとんどはゆっきーの右肩にかかっている。崩れそうになる騎馬をどうにか支えてくれている三人の叫び声を聞きながら、俺の行動に驚き一瞬動きが止まった騎麻から鉢巻を奪い取った! 「よっしゃぁぁぁあ!!!」 『白熱していた青組VS赤組の常磐対決は、劣勢と思われた赤組の常磐レイラが青組の鉢巻を奪ったぁぁぁあ!!!騎馬の上に立ち上がるというまさかの攻撃に流石の会長も手が出せなかったのかぁぁぁあーっ!?!?』 俺が騎麻の鉢巻を奪ったとほぼ同時に終了の笛が鳴り、騎馬戦が終了した。鉢巻を奪われるとそれまでに奪ったポイントも無くなるので、勝敗は生き残った騎馬の持つ鉢巻の数がポイントになる。俺達赤組は生き残った騎馬が3体に対しポイントは13ポイント。青組は一番ポイントを持っていた騎麻達が俺に鉢巻を奪われため7ポイント。白組は6ポイント、黄組は3ポイント、緑と桃はなんと全滅の0ポイント。 「やった1位だーっ!」 「ったく、お前危なすぎだから」 「よく俺踏ん張った〜」 「お疲れ様ゆっきー」 疲れた〜と俺に覆いかぶさるように体重をかけて休むゆっきーにごめんねと謝ると、勝てて良かったね〜とゆっきーが緩く笑う。 「とりあえず俺最後のリレーまで休憩〜」 そう言うゆっきーやみっちゃん達とテントに戻り椅子に座ると、急に体が重く感じた。やっぱり一日中外にいるとかなり体力が減る。晴れた今日みたいな日は尚更だな〜。 「レイラ君お疲れ!会長に勝つなんて流石だね!!」 「周りの慌てようは凄かったけどな」 戻ってきた俺に声をかけてくる凌と要。二人ももう残る種目は最後のリレーだけなので、ゆっくりと体力温存中。 「なんかレイラ君ちょっと焼けた?」 「うぇ〜まぢか〜」 赤いよと言われ頬っぺたを触るとほんのり熱く、日焼けして熱を持っているのかもしれない。いやだなぁ、焼けてたら今晩のお風呂は悲惨なことになる。念の為持ってきていた日焼け止めを取り出し全身に塗り直す。 「あ、見て見て。堂屋先輩出てるよ」 凌が指さす方向を見ると確かにそこには白組の安ちゃんの姿が。足を紐で結び二人三脚で走ってきた道を安ちゃんが加わり三人四脚で戻っていく。するとまた反対側で一人加わり四人五脚になり、また先程の位置で一人加わり・・・。最終的に六人まで増え倒れ込むようにゴールしていった。なんというか、最初の二人三脚のペアへの負担がすごい競技だ。 『とうとうやって来ました、天羽学園体育祭の最後を締める競技、色別対抗リレー!!!この種目で1位を取ればまだまだどのチームにも優勝のチャンスがあるかも!?!?気合い入れて最後の種目いってみよぉぉぉぉおうっっ!!!』 さぁ、泣いても笑っても次で勝負が決まる。優勝をもぎ取ってこようじゃないか!

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