104 / 311
今夜は宴会
「ほらほらレイラこれも美味しいから食べな」
「あ、これお前好きなやつだろ」
「レイラ、野菜も食えよ」
「こっちの料理もとってあげるわね」
食堂にはタイミングよくお昼ご飯の用意がされていた。流石常磐家の使用人。みんな仕事が出来ますねー。ちなみに常磐家での食事は基本的に大皿に盛られたブュッフェ式。みんなでそれぞれ取り分ける。
そしてさっきの麻紀くんの発言のせいでみんながいつも以上に俺に沢山食べさせようとする。普段なら平気な量も、ここ最近の食事で胃が縮んでいたのかかなりキツい。ただそんな事はお構い無しの大人達プラス嵐ちゃんは、次から次へと料理を盛ってくる。
「今回の帰国の目的は?」
「明後日学会の公演があるんだよ」
「それに十六弥達も帰ってるって聞いて、私達も折角なら帰ろうかなって」
うんうん、うちの家族はみんな仲良しだな〜。ということは今夜は宴会か。
「よし、嵐ちゃん逃げよう」
「は?何からだよ」
「逃がすわけねぇだろ」
嵐ちゃんを連れて逃げなきゃ、そう思ったのに逃亡は開始する間もなく失敗した。十六弥くんがにやにやしながらティノを抱き上げてこちらを見てくる。
「ティノを人質っ・・・犬質にとるなんて卑怯だぞ!!」
「わざわざ言い直すなよ」
だって、だって夕方には亜津弥くんだって帰ってくる。ということは今日の宴会にはこの常磐家最強三兄弟と言われている、十六弥くん亜津弥くん玲弥ちゃんが全員いるわけで。この三人が揃った宴会なんて、そりゃもう大変なんてもんじゃない。しかも今日はその餌食になるのが俺と嵐ちゃんの二人だけ!!風月もいるけど十六弥くん達は女の子に甘い!!男女平等はどこにいった!!!
「だって酔っ払ったらみんなで俺のこと苛めるじゃん!!」
「あらレイラそんなこと言うの〜?ちょっと昔のレイラの失敗談を酒の肴にしたり」
「成長の確認のために裸にひん剥いたりするくらいだろ」
何ちょっと軽く戯れてるだけでしょ?みたいなノリで言ってるんだか。実際はそんな可愛いものじゃ全然ないのに。嵐ちゃんにそんな姿見られたくないし、もしかすると意外とSっ気のある嵐ちゃんも一緒になって俺を苛める可能性すらある。
「あ〜あ、今日は久々にお前らにも酒を解禁してやろうと思ったのにな〜」
「!!」
「今日は大人揃ってるし?つか、俺達お前らの歳には余裕で宴会三昧だったし?」
「それは駄目でしょ」
「ま、そんなに嫌なら今日は逃がしてやるけどよ」
むむむ〜っ。普段はなかなか酒を飲ませてくれないのに、今日に限ってそんなことを言ってくるなんて。ぶっちゃけたまにしか飲まないけど、俺は酒が好きだ。だって十六弥くんの子供だもん。未成年飲酒禁止とか言うけどここは常磐家、つまりこの家の中での法律は、今この中で一番偉い十六弥くんが全て。十六弥くんが良いって言ったら全てがOK!!
「ら、嵐ちゃん酒好き?」
「好きだな」
「この不良めー!!!」
今日の夜は宴会で決まりだ。久々だしいっぱい飲んでやる。自分も飲んでいいとなると急に楽しみになってきた。大体酔っ払いVSシラフだから大変なだけで、酔っ払いVS酔っ払いなら問題ないんじゃないか?きっとそうに違いない。
「本当、レイラって単純で可愛いよな」
「ね、ついつい構いたくなるのよね〜」
「素直でいい子だよね」
「・・・お前も大変だな」
そう言い頭を撫でてくる嵐ちゃん。何が?
十六弥くんから解放されたティノがてくてくとこちらに近付いてくる。無事に帰ってこれて良かったね。十六弥くんも犬質を取るなんて悪い大人だなぁ。
「とりあえず夜まで何する?ティノと散歩いく?」
「そうするか」
夜は宴会で構ってあげれないかもしれないからね。昼間のうちにしっかりとティノと遊んでおこう。
ともだちにシェアしよう!