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そろそろ限界

怪我をしてから十日。先週のうちに外れる筈だったギブスは念の為にとまだ外されていない。流石に背中の打撲は痛みも大分治まったので、そろそろ左肘も解放して欲しい。 特に不自由することも無いと思っていても、やっぱり固定された状態は不便だ。何よりも不満なのは、この十日間、嵐ちゃんと一度もシていない。 数ヶ月前までは平気で二週間近く放置していた俺の下半身も、嵐ちゃんと付き合い出してからは三日も放置されることが殆ど無かった。つまり、俺は今すごく欲求不満。 元々俺よりも性欲の強いはずの嵐ちゃんだけど、怪我をしている俺に手を出すようなことはしない。し、流石に俺も相手をすることは出来なかった。でも今は背中の痛みもほんのり残ってはいるけど殆ど完治しているし、ギブスも本当なら外れている状態なので無茶をしなければ問題ない。 「むしろ嵐ちゃんだってそろそろ我慢出来ないと思うんだよね」 「・・・俺に言われてもなぁ〜」 校内を見回り中だった安ちゃんを発見した俺は、話しながら一緒に校内を散歩中。 「安ちゃんとこのくんはどうしてるのかなと思って」 「ぇ」 いきなり歩くのを止めてしまった安ちゃんを不思議に思い振り返ると、驚いた表情のまま固まっていた。その顔は徐々に赤くなっていき、最終的にはりんごのように真っ赤になってしまった。 「大丈夫?」 「・・・レイくん、いつから知ってた?」 「ん〜、知ってたとかってか、なんとなくそうなんだろうな〜って」 知ってたかどうかというのは、安ちゃんとこのくんの関係のことだろう。安ちゃんの赤い顔を見れば、二人が付き合っているのは間違ってはいないと思うけど、反応からしてみんなには内緒なのかな。 「誰にも言ってなかったのに・・・」 まあ、直接聞いていなくても騎麻や嵐ちゃん、響ちゃん辺りは気づいていると思うけど。俺よりも二人との付き合いも長いわけだし。むしろなんで隠してるんだろ? 「だって、今更ってか、恥ずかしいじゃん」 そういうものなのかな。よくわからないけど、赤くなって恥ずかしそうにしている安ちゃん可愛い。 「このくんってなんかむっつりそう」 「そうなのかな〜、いや、そうかもな〜」 なんか普段は風紀委員長としてクールで真面目だけど、一旦火がつくと止まりませんよって感じ。今みたいに恥ずかしがってる安ちゃんに興奮して、更に恥ずかしがらせるようなことをさせて反応を楽しむような?ま、あくまで俺の勝手なイメージだけど。 その後は校内を歩きながら、お互いの話を色々聞きあった。誰にも言っていなかった分、話したかったことが沢山あったのか、安ちゃんからは次々とこのくんの話が出てくる。 「レイくんが結城を誘えば、一発で解決じゃない?」 「ま、そうなんだよね」 最終的に最初の俺の欲求不満の話に戻り、そういう結論にいきついた。というか元々考えるまでもないレベルの話だったんだけど。 にしても、いつもはお互いにそういう気分になった時や、嵐ちゃんのエロエロな雰囲気にあてられて行為がスタートするので、あまり俺から誘うということはしたことが無いかもしれない。 よし、今晩は俺から誘ってみるか。 「じゃ、上手くいくといーね」 「ありがと〜」 寮まで送ってくれた安ちゃんにお礼を言い別れる。さあ、待っていろよ嵐ちゃん。今夜は寝かせないぜ!!

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