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今回も満足です

「もう、一歩も動けない・・・」 結局お互いが満足するころには日付けも変わっていて、満足感とそれを上回る疲労に指一本動かす気になれない。そんな俺の横でにこにこと髪を弄ってくる嵐ちゃんは、相変わらず体力ゼロの俺とは比べものにならないタフさ。トレーニングルームで同じように鍛えている筈なのに、この違いはなんなんだろうな。 「明日にはギブス外れるんだろ?」 「・・・今日ので悪化してなきゃね」 途中から盛り上がり過ぎて怪我の事など気にせずに平気で腕に力を入れていたので、実は若干左肘が痛むのは内緒だ。まあ、元々一週間で外れる予定だったし大丈夫だとは思うけど、意外と怖い保健医の顔がチラチラと頭を過ぎる。 今週末には文化祭の本番。準備も殆ど仕上げの状態で、前日には衣装の最終チェックという名のクラスでのお披露目がある。最終も何もまだ何を着るかも知らされていないけど、かなり細部まで採寸しているから着れないことはないのだろう。 「結局まだ何の衣装かわからないのか?」 「騎麻やこのくんがチェックしてる筈だから、変な衣装では無いと信じてるんだけどね」 それでも自由が売りの校風なので、安心しきれない部分もある。そこは迅を信じるしかない。 「でも嵐ちゃん達のクラスに負けないためには、むしろちょっと攻めた衣装の方があり、かも?」 「おい、あんま変なサービス精神出すんじゃねーぞ」 だって2-Sはケイ以外の生徒会メンバーにこのくん、そして嵐ちゃんというイケメン揃いのクラスだ。何もしなくても勝手に客が押し寄せるのなんて簡単に想像が出来る。 別に1-Sが負けているとは思っていないけど、準備期間に殆ど応援しかしていない俺としては多少体を張る覚悟はある。 「噂じゃ俺の体育祭の時の生足&セーラー服の写真の購入率過去最高らしいよ」 「あの写真部が生徒向けに販売してるやつか・・・」 イベントの度に写真部が撮影した写真は生徒にも販売される。そして体育祭での俺のハーフパンツ姿や仮装障害物レースの写真の売れ行きが異常らしい。嬉しくはない。 ちなみに俺は十六弥くん達が撮ってくれた写真を大量に貰ったので、写真部の写真は買っていない。その中には競技中の風で盛大にスカートがめくれてパンチラ状態の写真もあった。・・・それを撮っていた時の十六弥くんの心境がちょっと気になる。 翌日の放課後、無事にギブスが外れた。久々に自由になった左肘も多少の痛みはあったが、骨は順調にくっつき始めているので問題はないらしい。まだ無理な動きや重い物を持つのは出来ないけど、文化祭で料理を運んだりする分には大丈夫だろう。 ギブスを外す際に一緒に背中の具合を診るために服を脱いだ時の、保健医の顔が一瞬引き攣ったけど、原因はすぐにわかった。 「仲が良いのは良いことだけど、限度はわきまえなさいね」 「!」 どうやら昨日の嵐ちゃんとの情事の痕が至る所に残っていたらしい。俺達の関係は知っているけど、教師としても大人としても反応に困っているようで、流石に気まづい。俺にだって人並みの羞恥心はある。 ギブスの代わりにサポーターを肘に付け、念の為に湿布の予備も貰う。何時もは少しそのまま保健室でまったりしてから帰るけど、先程の会話の気まづさで今日はすぐに寮へ戻ることにした。 それにしても、前に全裸を見られたことがあるのに、今の方が恥ずかしいのは何でだろう・・・。

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