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下もよく見て歩こう

どんっ 「わっ」 「おっと、ごめんね、大丈夫?」 賑わった校内を歩いている最中、腰辺りに何かがぶつかった衝撃を受けた。その後に聞こえた声の方を見ると初等部の生徒がよろけて転びそうになっていた。咄嗟に体を支えたため転ぶことは無かったけど、今日は小さい子がいっぱい居るから気をつけなきゃなぁ。 「大丈夫、ありがとうお姉ちゃん」 「え」 「ぶはっ」 お ね え ち ゃ ん 確かに小さな時はよく女の子に間違えられた。小さな時は。流石にここ数年は間違えられた事が無かったので、なかなかの衝撃を頭にくらった気持ちで少年に向き合う。 「お兄ちゃんだからね!」 「え、女の子じゃないの?」 「くくっ」 「嵐ちゃん笑いすぎ!!」 なんで疑うんだよ少年!!百歩譲って女顔だったとしても身長も声も男だろ!!それに今日は学園の生徒しかいないんだから、女の子が居るはずないじゃないか・・・。頭にハテナを飛ばしている目の前の少年に、もう一度男だと伝える。不思議そうにするのを止めてくれ。 「つかお前マサじゃねぇか」 「あ、嵐太郎くん!」 なになに、嵐ちゃんと少年は知り合いなの?初等部に知り合いがいるなんて意外と交友関係広いな〜。 「こいつ貴一の弟だよ」 「間宮真咲です!」 「へぇー!まみちゃんの弟かー!」 なんとなんと!のいちゃんの次はまみちゃんの弟くんか。言われてみると何処と無くまみちゃんと顔の雰囲気が似ている気がする。今6年生らしく、まだまだ抜けない少年ぽさが強いけど、まみちゃんをうんと幼くした感じ。可愛いなぁ。 「マサ、今日はユキは一緒じゃないのか?」 「!そうだった!嵐太郎くん、ユキ一緒に探して!」 ユキというのはマサくんと同い年の、今度はケイの弟くんらしい。途中まで一緒にいたのに気付いたらはぐれていたんだとか。で、探している最中で俺にぶつかったみたい。 へぇ~みんなお兄ちゃんなんだな〜。 とりあえず三人でユキくんとはぐれたらしい玄関ホール周辺を探す。すると、案外すぐにユキくんは見つかった。 「マサ!」 大きな嵐ちゃんが目印になったのか、向こうから見つけてくれたのだ。 150センチくらいのマサくんと並んで10センチ程大きいユキくんこと、蜂屋ユキ。ふんわりした髪にキリッとした顔立ちの将来有望そうなイケメンだった。 え、想像してたケイの弟像と全然違うんだけど。 「はじめまして、蜂屋ユキです。レイラ君ですよね?ケイから聞いたことあります」 話し方も元気いっぱいのケイとは違って静かでクールな感じ。兄弟でも雰囲気ってこんなに違うんだな〜、面白い。 二人に近くの出店でクレープを買ってあげ、別れた頃には休憩時間が終わろうとしていた。一時間の休憩はなかなか短い。 「嵐ちゃんのクラス、明日の休憩時間に行くね」 「ああ、俺もそうする」 結局お互いのクラスには明日行くことになったので、また教室まで嵐ちゃんに送ってもらう。 残り時間は二時間。相変わらず1-Sのコスプレ喫茶店はなかなか繁盛しているみたいで、満席状態だった。 「お!レイラ戻ったか!早速だけど上着脱いでお前指名のチェキ入ってるから頼むわ!」 戻って早々に入った指名に急いで準備をする。残りの時間も頑張って売上に貢献してやるか〜。

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