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事件発生
「はい、お待たせ」
俺達の目の前には嵐ちゃんと響ちゃんが運んできてくれた色とりどりの和菓子と、抹茶のシフォンケーキにみたらし団子、羊羹、いちご大福と様々な甘味が並んでいる。
「うまっあまっ!」
「超美味しいんだけど!」
「これ手作り?」
すげぇー。普段あまり食べない和菓子だけど、今食べているものの味が一流なのはわかる。めちゃくちゃ美味しい。
「流石に全部が手作りではないよ。クラスに老舗の和菓子屋の息子がいるからお願いしたんだ。」
やっぱりプロの味か〜。それにしても美味しい。甘いものに目がないカエラなんか、響ちゃんが教えてくれたその和菓子屋の息子と握手までしてる。
「この後はどうするんだ?」
「お腹はあんま減ってないから体育館の方のイベントでも覗きに行こうかな」
第一体育館では実行委員会主催のイベントが次々に行われているらしい。今が何をしているかは知らないけど、良い時間潰しになるだろう。本当は第二体育館でやっているバスケ部のフリースロー大会も出たかったけど、一応ギブスは外れたとはいえ怪我人なので止めておく。
「会長!」
注文した甘味を食べ終わりそろそろ教室を出ようとした頃、実行委員の腕章を付けた生徒が慌てた様子で教室に入ってきた。呼ばれた騎麻が接客を一旦やめ、その生徒に近づく。
「なになに、何か問題?」
「ぽいね〜」
「騎麻も大変だな」
生徒会長はいつも引っ張りだこだなぁ〜。生徒会長の騎麻の姿を初めて見るカエラとサハラは興味津々。俺も天羽学園に来るまでは真斗や風月にデレデレの甘々の騎麻ばっか見てたし。
そんなことを話していると何故か騎麻がこっちに近寄ってきた。そして、
「ちょっとレイラ、協力して!」
「どうしたの?」
騎麻の話によると、次の体育館で行われる予定だった外部からのバンドが、交通事故の渋滞に巻き込まれ到着が遅れているらしい。元々大枠で時間をとっていたため、次のイベントを前倒しするにも準備が間に合わない状態なんだとか。
しかしそれを知らない生徒や一般客は既に体育館に集まってしまっている状態で、どうしたらいいのかわからなくなり騎麻に助けを求めに来たようだ。
「協力って何すればいいの?」
「レイラはーー・・・」
騎麻に言われるままに急いで体育館に向かう。休憩時間内には戻れなさそうなので、教室にいる要に連絡を入れたら、電話越しに迅の騒ぐ声が聞こえたけど、聞かなかったことにしよう。流石に学園の生徒ではないカエラやサハラに手伝わせるわけには行かないので、二人とは教室で別れた。
「騎麻こっちこっち!」
体育館に着いてすぐにバックステージに向かう。そこには先程も教室にいた響ちゃんとまみちゃん、騎麻が電話で連絡して集めた安ちゃんが既にいた。
「軽音部から楽器借りてきた!」
「楽譜も準備OKだよ!」
「照明は演劇部に任せてきたよ〜」
「よし!あとは俺達だけか!」
幕の降りたステージの裏で騎麻がギター、響ちゃんがキーボード、まみちゃんがベース、安ちゃんがドラムをそれぞれ手にする。そして俺の前にはマイクスタンドが。
そう、今から俺達は結成して1分のこのメンバーで、遅れているバンドが着くまでの時間を繋ぐのだ。
「じゃ、かなりの即席バンドだけど、いっちょ盛り上げに行きますか!!」
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