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クリスマスパーティー

「カエラ!サハラ!」 11時を少し過ぎた頃に家に戻った亜津弥くんと華南ちゃん、二人の手伝いをしていた風月。そしてその30分程後にはカエラとサハラも本家に到着して常磐家勢揃い。 「ただいまレイラ〜っ」 「文化祭ぶりだな」 久々、と言っても文化祭から一ヶ月も経っていない。が、プチホームシックを経験した俺からすると、お兄ちゃん二人に会えたのが嬉し過ぎて飛び付く。それはなんとなく二人も同じようで、もしかしたら同じような感情に文化祭後になっていたのかも。三つ子の以心伝心的な。 家族が揃ってからは一旦昼食をとることにした。みんなが集まった時恒例の、15人で大きなテーブルを囲む。決めている訳ではないのに自然といつも同じ席順になるから面白い。俺の右側にはカエラ、左にサハラが並ぶのもいつも通り。 「この後俺と亜津と麻紀は料理の仕込み、カレン達は衣装の続きな」 ご飯を食べつつこの後の段取りを決める。TOKIWA全体のパーティーなどはお手伝いさんや使用人の人達が準備をするけど、今回のようなホームパーティーの場合、準備までは俺達がやる。パーティーが始まったら料理の配膳などはやって貰ったりするけど、自分達で出来ることは自分達でするのが決まり。 「俺達もいつも通りの分担でいくよ」 準備をする時の役割分担は大体決まっていて、十六弥くん亜津弥くん麻紀くん達"パパチーム"は料理。カレンちゃん華南ちゃん玲弥ちゃん達"ママチーム"は、カレンちゃんがパーティー用に用意した服の最終準備。騎麻真斗は音楽の用意で、柚乃風月はテーブルセッティング。で、残りの三つ子&双子は会場の飾り付けが役割だ。 「和紗と愛紗はツリーの飾りを頼む」 「「は〜いっ」」 「俺達は高い所や小物の準備だな」 「「了解」」 カエラに言われた持ち場へと俺達もそれぞれに分かれた。身軽な俺が脚立に上がり、下にいるサハラから次々と渡される飾りを飾っていく。 クリスマスリースやサンタがモチーフの飾りは可愛い。見ているだけで何だかわくわくしてくるのは俺がまだ子供だからなのか。いや、年齢に関係なくクリスマスはわくわくするイベントだと思う。 今日俺達以外でパーティーに来るのは嵐ちゃんと生徒会のみんなとその兄弟、要と凌。そしてカエラとサハラと風月の学校の友達がそれぞれ数人ずつ。流石にアメリカのスクールなので柚乃達の友達は来ない。本当はこのくんと安ちゃんも誘いたかったけど、二人は今日デートなので邪魔したら悪い。 それにしても今までのパーティーでも友達を呼ぶことは多かったけど、俺とカエラとサハラの友達は大体共通だった。それが今回はそれぞれの友達、というのが珍しいというより初めて。今までが常に一緒にいたから、出会う人間が同じだったので当たり前と言えば当たり前だけど。俺の知らない二人の友達に会うのが楽しみだ。 「嵐ちゃーん!」 パーティーの準備はみんなで手分けしたおかげで一時間ちょっとで終わった。パーティー自体は17時からの予定だけど、家の近い嵐ちゃんが一番に到着。みんながまだ来てないのをいい事に、朝分かれたばかりの嵐ちゃんにキスをする。飛び付いた俺をふらつくことなく受け止める嵐ちゃん、流石。 「今日は随分可愛くしてるじゃん」 「でしょ〜」 いつもは基本的にモノトーン系というか、黒ばっか着てる俺だけど、今は赤×緑のチェックのパンツに白のゆったりめのニットを着ている。これはカレンちゃんが今日のパーティーのために用意したもの。他のみんなもどこかに赤×緑のチェックを取り入れたコーデをしている。 パーティーを行う際は、毎回カレンちゃんがみんなの服を用意してくれるのが恒例になっている。なにかしらのドレスコード的なのを決めていて、今回はクリスマスカラーで統一したみたい。 「これ」 「わ!これ文化祭の時の和菓子じゃん!」 「気に入ってたみたいだから頼んどいたんだよ」 手渡された包みには文化祭の時に嵐ちゃんのクラスで出していた和菓子屋の名前が書かれていた。とても美味しく是非十六弥くん達にも食べさせたいと思っていたから、思わぬ手土産にテンションが上がる。 その後10分程した頃から次々に招待していたそれぞれの友人達が訪れ、17時になる少し前に全員が揃った。 「じゃあ少し時間は早いけど、折角全員揃ったからさくっと始めるぞ」 会場になっている大広間を見渡しながら十六弥くんがグラスをかかげる。その場にいる全員が手に持っているグラスを高くかかげ、 「今日は俺達常磐家主催のホームパーティーに参加してくれてありがとう。折角のクリスマスイヴだ。羽目外して行こうぜ!乾杯!!」 『かんぱ〜い!!!』 十六弥くんの合図に合わせてグラスを交わす。大人達はシャンパンを、子供達はシャンメリーを。流石に未成年の人数の多い今日は俺達にお酒は解禁されなかった。残念。

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