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「カレンさん!今回のコレクションも最高でした!!」
「あら!見てくれたの?ありがとう貴一君!!」
興奮気味の声が聞こえ視線を向けると、そこにはカレンちゃんとまみちゃんの姿が。カレンちゃんの大ファンであるまみちゃんが、久々の生カレンちゃんに大興奮している。俺も今回のコレクションのデザインはかなりいいと思う、うん。
「レイラ君!今日も一段と可愛いね!!」
「!っ、びっくりした〜・・・」
急に掛けられた声に思わずビクついた。ちょっと恥ずかしい。しかしそんなことはお構い無しの声の主は、ニコニコと満面の笑みで俺の事を見下ろす。
「相変わらずだね鷹」
「ありがとうございます!」
「褒めてねぇよ」
真斗の友人として今回兄ののいちゃんと共にパーティーに参加している鷹。悲しいことにやっぱり身長が俺より高い。鷹はどうやら俺の顔が好きらしく、やたらとアピールしてくる。そのアピールが無駄にストレートで、無駄にセクハラ紛いだから困る。ほら、今も笑顔で今日の下着の色を聞いてきた。阿呆だ。
「鷹、お前阿呆だったんだな・・・」
「鴇さん、こいつは阿呆ですよ」
「あれ〜?鴇君も真斗もひどいなぁ!」
言葉の割りに全く周りの反応を気にしていない様子。別に直接的に何かやってくるわけじゃないからいいんだけど、いや、ちょっとお尻を触ってきたりはするけど。そんくらいなら俺は別に気にしない。けど、嵐ちゃんは別みたい。
「鷹」
「あ、嵐太郎君久しぶ・・・っっ!!」
「程々にしとけよ」
嵐ちゃんからの拳骨を頭にくらった鷹が声も無く蹲る。怒るまではいかないけど、面白くはないって感じの様子。ほら、嵐ちゃんって俺の事大好きだから。
(それにしても・・・)
少し離れた所で料理を囲みながら楽しそうに会話をしている兄弟へと視線を向ける。カエラの通う奏海学園は共学だ。そんなカエラに招待された男女の友人風間祐太朗くんと卯花ももちゃん。
そして窓際でサハラを囲むようにソファで寛ぐ左郷学園の二人。宇佐蓮司くんと丸矢匠くん。
どちらのグループも楽しそうだ。
「どうした、お兄ちゃんが構ってくれなくて拗ねてんのか」
「・・・要って俺のこと幼稚園児くらいの扱いする時のあるよね」
「レイラ君この料理めっちゃ美味しい〜!」
そりゃよかった。十六弥くん達も頑張った甲斐が有るね。
別に拗ねている訳じゃない。さっきそれぞれ自己紹介をした時も、どちらの友達もとても雰囲気の良い人達だったし。みんなが仲良くしているのも嬉しい。
「いや、なんかカエラもサハラもやっぱ俺と好み似てるなぁと思って」
「好み?」
「人の好み」
二人の友達に会うのはどちらも今日が初めてなのに、すぐにわかった。俺あの四人と絶対仲良くなれる。というかさっき少し会話しただけだけど、めっちゃ気が合う。むしろもう好きだ。
「ぶっちゃけ共通じゃない友達って会うの初めてだったから、仲良くなれるのかなって思ってたんだけど」
「お前なら誰でも仲良くなるだろ」
いやいや、俺意外と人見知りするよ?たぶん。
「みんないい人そうで安心。流石俺のお兄ちゃん見る目がある」
「結局ブラコンかよ」
また後でみんなのとこにいってみよう。もっと話して仲良くなりたい。
それから約一時間。初めは学園ごと、学年ごとで楽しんでいたのが、いつの間にかその区切りを越えて盛り上がり始めた頃。さっきまで机を囲んでお酒を飲んでいた大人達が動き始めた。
「腹もだいぶ満たされてきた頃だし、そろそろクリスマスパーティーらしいことをしようか」
亜津弥くんが立ち上がりみんなに見えるように手に持った綺麗に包装された包みをかかげる。
「みんな事前に用意しているプレゼントを持って輪に集まって」
みんなそれぞれ持ってきたプレゼントを手に言われた通り輪になる。これから始まるのはクリスマスパーティーの定番、プレゼント交換だ。一応小学生なんかも混ざっているので、プレゼントは"お小遣いの範囲で買えるもの"という決まり付き。
そしてプレゼント交換の面白いところと言えば、誰にどのプレゼントが行くか分からないというところ。プレゼント選びの難易度が一気に上がる。だって、自分のプレゼントが十六弥くんに行くかもしれないし、真咲やユキ達小学生に行くかもしれない。年齢も性別もバラバラというのはなかなか難しいのだ。
用意が出来た所で騎麻と真斗が昼間に用意していた音楽がかかり始めた。そのクリスマスの定番曲に合わせて時計回りにプレゼントを回していく。子供に混ざって笑顔でプレゼントを回していく大人達の姿が、なんだかシュールでちょっと可愛い。
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